サバゲーマーズ!

青空鰹

文字の大きさ
上 下
14 / 63

14.ツーマンセルとトランシーバー

しおりを挟む
 「ちょっとしたコツ?」

 「そう…ほらあそこのネット側にいる人をよく見て」

 男性が指をさした方向を見ると、バリケードに隠れている男性が2人いた。

 「彼らは俺と一緒に来た友人達なんだ」

 「あ…そうなんですか」

 「それで、彼らが見ている方向をよく見て」

 「向いている方向?」

 そう言えばぁ……戦っている彼の友人達はそれぞれ別方向を見ていて、時々様子を見るために相方が見ている方向をパッと見ている。

 「……何か、自分が見ることが出来ない方向を仲間に任せている感じがしますね」

 「うん。やっぱり1人じゃ対処出来ないことがあるから、仲間や近くにいる人やなんかとあんな風に連携を取るのが大事なんだ。ツーマンセルは大事だよ」

 「ツーマンセル?」

 ※鈴木が疑問に思っているツーマンセルについて俺が教えよう!
 ツーマンセル。英語読みにすると Two man cell と書く。
 ツーマンセルは簡単な話。2人1組で行動することだ。
 3人ならスリーマンセル。4人ならフォーマンセルと呼ばれる。
 ……まぁ本物の軍人達はツーマンセルになれるようにするため、偶数で部隊を編成することが基本だ。だから奇数の部隊編成は基本的にやらないと思ってくれ。

 「知らなかった!」

 「まぁ普段から聞くような言葉じゃないからね。そろそろ前に出るみたいだよ」

 片方の人が何かを話すと銃を構えながらバリケードから出て進み、その後に続くようにもう1人が付いて行く。

 「あれがツーマンセルで基本的な動きね」

 「えっ⁉︎ でも……前の人やられちゃったら、どうするんですか? 戦力が落ちません?」

 「それでいいんだよ」

 「……え?」

 「前を進んでいる人がやられたら、後続の味方はこの先に敵がいると察知するでしょ? だから、余計な犠牲を出さずに敵がいるってことを仲間に知らせられるって思わないかい」

 「あっ⁉︎」

 確かにそうだ! 横並びだったら2人撃たれて終わることがあるかもしれない!

 ※ツーマンセルで動く場合は前を進む人を盾にするように後に続くのが基本的な動きだ。
 戦術によってひし形や四角の形のフォーメーションを取ることもあるが……身も知らない人と連携を取るのは難しい。だからこういったことは基本やらないと思ってくれ。
 それで話を戻すが、時と場合によっては別れて行動したり、離れた位置で周囲を索敵しながら並走して前線を上げたりすることもあるし、2つのルートで別れている場合はそれぞれの片方づつ別れて行動してから合流することもある。
 そして片方が見つけた敵を撃って顔を出させないようにしている間に、もう片方の味方が先に進んだりもする。
 だから状況によって仲間とどう連携を取るのかを、想定していた方がいいぞ。

 「戦術って色々あるんですね」

 「まぁね。でも十中八九使うとは限らないから、ツーマンセルはこんな感じに動くって覚えておけばいいよ」

 YouTubeに載ってそうだから、後で検索してみようか。

 そんなことを思いながら彼の友人を見ていたら、片方が敵との撃ち合いで負けてしまった。

 「あちゃ~……撃ち負けたかぁ」

 「あ、でも残った方は敵が先にいると気付いたみたい!」

 「そうだねぇ~」

 男性が間の抜けたことを言った直後に、その人は撃たれてやられてしまった。

 「ああ~…アイツも撃たれてやられちゃったかぁ~……」

 「あっ⁉︎ 敵が進み始めた!」

 「向こうは2人だけしかいないことを確認出来てたんだろうね。ほら、腰辺りにトランシーバーを持ってるでしょ。あれで他の味方から、情報を貰ってたんじゃないかな?」

 「トランシーバー……ってことはあの人達の行動は筒抜けだったんですか⁉︎」

 「筒抜けって訳じゃないけど、僕の友人が進んでいる姿を他の場所から見たんじゃないかなぁ? って思ってる。その証拠にまた連絡を取ろうとしているし」

 ※トランシーバーについて!
 トランシーバーを使えば離れた位置にいる仲間と連絡が取れる。なので戦況の情報交換などでは便利アイテムだ!
 しかし使用する際は、自分と別ルートで進んでいる味方が大体どの位置にいるのか把握しないと意味がないので、自分は今どの辺りにいるのか、また味方はどこら辺にいるのか連絡を取り合った方がいいぞ!
 それと注意点なのだが、トランシーバーは野外フィールドでは基本的に使用可能だが、場所によっては使用不可能なフィールドがある。例えば……デパートの中にあるフィールドとかな。
 だからそこら辺も各サバゲーフィールドのレギュレーションに記載されているので、確認することを推奨する!

 「トランシーバーって便利なんですねぇ~」

 「うん、便利だよ。…だけどもでもね。ヘッドセットとか付けてないと周りにやり取りが聞かれちゃうから、トランシーバー買うときは一緒に買った方がいいよ」

 ※イヤホンを買っているヤツなら分かっていると思うが、トランシーバーの通信ボタンを押さず、イヤホンに付いているボタンを押して会話するものがある。なのでそちらを購入することをオススメする。

 「最近じゃスマホを使った通信アプリもあるけど、充電が早くなくなるし、ケータイ電波次第で通信状況が悪くなるからトランシーバーを使うことにしたんだ」

 「そうなんですかぁ~」

 勝平は関心したような様子で男性の話を聞いていたのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

AIアイドル活動日誌

ジャン・幸田
キャラ文芸
 AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!  そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

御伽噺のその先へ

雪華
キャラ文芸
ほんの気まぐれと偶然だった。しかし、あるいは運命だったのかもしれない。 高校1年生の紗良のクラスには、他人に全く興味を示さない男子生徒がいた。 彼は美少年と呼ぶに相応しい容姿なのだが、言い寄る女子を片っ端から冷たく突き放し、「観賞用王子」と陰で囁かれている。 その王子が紗良に告げた。 「ねえ、俺と付き合ってよ」 言葉とは裏腹に彼の表情は険しい。 王子には、誰にも言えない秘密があった。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...