上 下
90 / 101

女神様と一応女神様が降臨!

しおりを挟む
 教会の扉をコンコンッ⁉︎ と叩いたら、中にいたお年寄りの男性が少し開いて顔を覗かせた。

 格好からして牧師さんかな?

 「こんにちわ」

 「こ、こんにちわ」

 「お祈りでしょうか?」

 「えっとぉ~……そんなところです」

 「キャンッ⁉︎」

 ルル……「女神様に会いに来た」なんて言ったら、怪しまれるだろう。
 まぁルルは狼だから、この人に伝わらないだろうけど。

 「そうですか。わざわざお越しくださり、ありがとうございます。私がお祈りをする場所へご案内致します」

 「ありがとうございます。…あ、でもぉ~……」

 ルル達の方に顔を向けると、牧師さんが言いたいことを察したのかニッコリ笑顔で答える。

 「従魔達も入れるので、ご心配入りませんよ」

 「よかったぁ~」

 ブンゼの件でルル達が希少性を認知してたから、目を離している隙に奪われるんじゃないか? 何てことも頭を過ぎったりもしてる。

 「行こうか、みんな」

 「キャンッ⁉︎」

 プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 「ハ~イ!」と返事をするルル達と共に教会へと入った。
 教会の中はやっぱりゲーム世界と同じような感じの作りで、女神の像が並んでいる前で2人のシスターが両手を組んで祈りのポーズをとっている。

 多分あれが日課なんだろうな。

 「あちらが女神様達の像になります。お祈りをする際は彼女達のように手を組み祈りを捧げて下さい」

 「わかりました」

 まぁ曲がりなりにも使徒のようなものだし、やっておこうか。

 俺はそう思いながら女神像の前に行き、祈りを捧げる。

 サクラ様の言う通り教会にやって来ました。手紙の内容の詳細をお教えして頂けないでしょうか?

 「カイリさん! どうして私に頼らないんですかああああああああああああっ‼︎⁉︎」

 …………何か聞こえて来た気がするけど。

 「…うん、気のせいだろう。俺の祈りが足りなかったんだきっと……うん!」

 「カイリさんの為に私目の前に来ましたよ! 無視しないで下さい‼︎」

 
 ……おや? 身体がグワングワン揺れているような気がする。地震でも起きているのだろうか?

 「私がカイリさんの身体を揺らしているだけですよぉ! 無視しないで下さい! あのときのことは謝りますからぁ‼︎」

 「サクラ様、目の前にいる人を天界に帰す方法をお教え頂けないでしょうか?」

 「私が邪魔って言いたいんですか‼︎」

 「うん、邪魔」

 「そこは即答するところ! あとカイリさん酷い‼︎」

 「酷くはないと思うが? てかお前ここに何しにここに来たんだよ」

 「実はですね。カイリさんの従魔についてお話しをしようと思いまして……」

 「ああ~……それならサクラ様から話を聞くから、話さなくていいや」

 「うわああああああああああああんっ!⁉︎ カイリさんが私に冷たいよおおおおおお‼︎」

 エイリィンがその場に座り込んで泣いてしまった。

 「エイリィン……泣いているだけじゃ人は強くなれないんだぞ。どっかの歌手で、涙を流した分だけ強くなれるよ。って歌ってたし」

 「カイリさんのせいで泣いているんですよおおおおおおっ‼︎⁉︎」

 あ~…ホントめんどくさい子。

 「カイリ、その辺にしておくんじゃ」

 おっ⁉︎ この声は!

 「サクラ様、お久しぶりです!」

 「うむ、久しぶりじゃな」

 プルンッ⁉︎

 「~~~♪」

 プル太郎とファニーちゃんが、「この人達が女神様なの?」と言いたそうにしている。

 「そうだよ。和服を着たこの人が恩人のサクラ様で、こっちで泣いているツルペタがエイリィンだ」

 「私を呼び捨て! 私女神様ですよ‼︎」

 「とんでもねぇ、わたしゃ神様だよ。って言った人をテレビのコントで観たことがあるけど」

 「コントじゃなく本当の女神様ですよ!」

 はいはい。もうイジったりしないからさ、そんな涙目で訴え掛けてくんなよ。

 「あ、ああ……エイリィン様が我々の目の前に現れて下さいました!」

 「奇跡です……ああ、エイリィン様ぁああああああああああああ!」

 シスター達はそう言ってエイリィンの周りに集まると拝み始めた。

 「……お前って、慕われていたんだな」

 「信者に慕われない女神が何処にいるんですかぁ⁉︎」

 「探せばいるさ」

 俺とエイリィンがそんなやり取りをしていると、牧師さんがサクラ様に近付く。

 「あの……貴女様は?」

 「妾のことか?」

 「はい。神々しさからして神様なのは理解出来ますが、何ぶん私の勉強不足の為、貴女様の名前が浮かんで来ないんです」

 「知らなくて当然じゃ。妾はこの世界とは別の世界の神様じゃよ」

 「この世界とは別の世界……他世界の女神様が降臨なされたってことですかぁ⁉︎」

 「そうじゃ。理解が早くて助かるのぉ。因みに目の前にいるカイリが、妾の世界の人間じゃった」

 「何とまことですか⁉︎」

 「ああ…女神に仕えてよかったぁ……」

 「女神様のお姿が見れたら、もう…死んでもいいです」

 彼らはそう言うと祈りのポーズを取った。

 イヤイヤイヤイヤ……ちょっとちょっとぉ⁉︎

 「サクラ様!」

 「何じゃカイリ?」

 「俺が転生者って言うことをバラしていいんですか⁉︎」

 「此奴らは熱心な信者じゃから安心せい。おい、お主達」

 「はい、何でしょうか?」

 嬉し涙を流しながら言う姿に、ちょっと引いてしまう自分がいた。

 「ここで妾達が会ったことと、カイリが転生者なのは秘密にするのじゃよ」

 「はい! このことは死ぬまで黙っていることに致します!」

 「私も!」

 「私もです!」

 「はい! 私も女神様に誓ってお約束致します!」

 みんな信仰心があるなぁ~……。

 そんなことを思っていたら、服を引っ張られた。

 「ん? …どうしたのファニーちゃん?」

 「~~~♪」

 あの人誰? あの人って……あれ⁉︎

 「知らない間に1人増えてない⁉︎」

 エメラルド色の髪色の女性が、ルルとプル太郎を抱いてヨシヨシしている!

 「あらぁ~……初めましてカイリさん。私、大地を司る女神アンロネーゼですぅ。以後お見知り置きを」

 「はぁ……ご丁寧にどうも。あの、質問よろしいでしょうか?」

 「はいぃ…。何でしょうかぁ?」

 「いつからそこにいたのですか?」

 「う~んとぉ……カイリさんがエイリィンさんを泣かしているときに来ましたぁ」

 ああ…その時からルルとプル太郎と一緒に遊んでいたのか。

 「ア、アンロネーゼさん⁉︎ いつからそこに?」

 「お話しが進んでないように見えたのでぇ、私が行って説明をすることにしましたぁ」

 ああ~…そう言えばルル達の進化について、何も説明を受けてないかったな。

 「話からして察していると思いますがぁ。この子達はある程度レベルが上がると、進化できるようになるのですよぉ。ルルちゃんの場合は…意外と早くあと2レベル上がれば進化出来そうです」

 「マジですか⁉︎」

 「ホントですよぉ。ただし、一度進化してしまいますと元に戻すことが出来ないので注意して下さいねぇ」

 「そうなんですか?」

 「はい。従魔は進化が枝分かれしている場合が多いので、ルルちゃんがどのような進化をして行きたいのか、相談しながら選んで下さい」

 エイリィン…お前サラッと話に入って来たな。

 「ゲームをやったことがあるお主ならわかっていると思うが、従魔が進化すれば強くなる」

 まぁそれは当たり前のことだよな。

 「ただし! 進化先によってはステータスが大きく変動してステータスの成長の仕方も変わるから、その都度ステータスを確認した方がよいぞ!」

 「進化先によってはぁ、もう進化出来なくなるのもあるので注意して下さいねぇ。もちろんそのときは進化先があるのかどうか記載しますよ」

 「ああ~、それは便利だなぁ……ところで」

 俺はエイリィンの方に顔を向ける。

 「涙で酷いことになってるぞ。ほら、ポーションを飲んで治せ」

 飲んで治るかどうかわからないけど。

 「カイリさんのせいでこうなったんじゃないですかぁ⁉︎」

 その後、何故かエイリィンに理不尽に怒られた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

解析の勇者、文字変換の能力でステータスを改竄して生き抜きます

カタナヅキ
ファンタジー
高校一年生となったばかりの「霧崎レア」は学校の授業中、自分の前の席に座るクラスメイトの男子が机から1冊の書物を取り出す。表紙は真っ黒でタイトルさえも刻まれていない書物をクラスメイトの男子が開いた瞬間、表紙に魔法陣が浮き上がり、教室は閃光に包まれた。 次にレアは目を覚ますと、自分の他に3人のクラスメイトが床に魔法陣が刻まれた煉瓦製の建物の中に存在する事を知り、さらにローブを纏った老人の集団に囲まれている事を知る。彼等が言うにはここは異世界の「ヒトノ帝国」という国家らしく、レアを含めた4人の高校生たちは世界を救う勇者として召喚されたという。 勇者として召喚された4人は「ステータス」という魔法を扱えるようになり、この魔法は自分の現在の能力を数値化した「能力値」最も肉体に適している「職業」最後に強さを表す「レベル」を表示する画面を視界に生み出せるようになった。だが、レア以外の人間達は希少な職業に高い能力値を誇っていたが、彼の場合は一般人と大して変わらない能力値である事が判明する。他の人間は「剣の加護」「魔法の加護」といった特別な恩恵を受けているのに対し、レアだけは「文字の加護」と呼ばれる書き記された文字を変換するという謎の能力だった。 勇者として召喚された他のクラスメイトが活躍する中、レアだけは帝国の人間から無能と判断されて冷遇される。しかし、様々な実験を経てレアは自分の能力の隠された本当の力に気付く。文字変換の能力はステータスにも有効であり、彼は自分の能力を改竄して馬鹿にされていた人間達から逆に見上げられる立場となる―― ※文字変換シリーズの最初の作品のリメイクです。世界観はこれまでのシリーズとは異なります。

神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜

和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。 与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。 だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。 地道に進む予定です。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

 社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依
ファンタジー
 山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、 残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして 遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。  そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を 拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、 町から逃げ出すところから始まる。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

弟のお前は無能だからと勇者な兄にパーティを追い出されました。実は俺のおかげで勇者だったんですけどね

カッパ
ファンタジー
兄は知らない、俺を無能だと馬鹿にしあざ笑う兄は真実を知らない。 本当の無能は兄であることを。実は俺の能力で勇者たりえたことを。 俺の能力は、自分を守ってくれる勇者を生み出すもの。 どれだけ無能であっても、俺が勇者に選んだ者は途端に有能な勇者になるのだ。 だがそれを知らない兄は俺をお荷物と追い出した。 ならば俺も兄は不要の存在となるので、勇者の任を解いてしまおう。 かくして勇者では無くなった兄は無能へと逆戻り。 当然のようにパーティは壊滅状態。 戻ってきてほしいだって?馬鹿を言うんじゃない。 俺を追放したことを後悔しても、もう遅いんだよ! === 【第16回ファンタジー小説大賞】にて一次選考通過の[奨励賞]いただきました

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

処理中です...