上 下
23 / 101

初めての討伐クエスト! (※戦闘編)

しおりを挟む
 冒険者ギルドで依頼を受けた俺達は、ルンルン気分で門へと向かう。

 「クエスト楽しみだね。ルル」

 「キャンッ!」

 ルルも張り切っているのか、尻尾をブンブン振っている。

 プルンッ! プルンッ!

 プル太郎もやる気らしいが、その身体でどうやって戦うんだ?

 「……てか、俺のパーティー戦えるのか?」

 「キャンッ!」

 プルンッ!

 2匹共、「戦えるよぉ!」と返事をしてくれるが正直言って不安しかない。

 う~ん……ルル達のレベルも上げたいし戦闘経験を積ませたいからなぁ~。もしもピンチだったら、マジック・リボルバーで援護しようか。

 そう思った数分後に門に着いた。

 「こんにちわ!」

 「キャンッ!」

 プルンッ!

 おおっ⁉︎ 俺に言われなくても返事が出来るようになったかぁ。2人共偉いぞ! 人じゃないけどさぁ!

 「おう! カイリの嬢ちゃんに従魔達かぁ。今日はどうしたんだ?」

 「今からキバネズミの討伐と薬草の採取をしに行きます!」

 「ん? ……キバネズミの討伐?」

 門番のおじさんが顔を顰めさせながら俺を見つめて来るので、顔を引いてしまった。

 何だろう? 俺、何か変なことを言っちゃったか?

 「……まぁいい。冒険者ギルドの規則を考えれば、最初はそういった仕事になるだろうな。もう知っていると思うがキバネズミはこの外壁周辺で簡単に見つかるから、遠くに行く必要はないぞ」

 「あ、そうなんですか」

 本当にポピュラーな魔物なんだな。

 「……おい。もしかしてお前、そんなことも知らずにキバネズミを討伐しに行こうとしたのか?」

 ヤバイ! 門番が俺のことを怪しんでいるかもしれない!

 「し、知ってますよ! チュ……本の知識で人の住処の近くで見つかるぐらいはぁ……知っていますからぁ…………ねぇ?」

 ルルに向かってそう言ったら、困ったような顔で見つめられた。どうやらルルも同意を求められても困るらしい。

 「……まぁいい。キバネズミに街の外壁を傷付けられて困っているからな。倒して貰うに越したことはない」

 「はぁ……そうなんですか?」

 「ああ、ヤツらはキバを研ぐのに街の外壁を利用するからな。少し先にヤツらが研いだ後があるから、探す次いでに確認してみな」

 「わ、分かりました」

 乗り切れた……のか?

 「それと、薬草ならそこら辺の草むらを……いや、お前の場合は鑑定目があったな。それを使えば簡単に見つかるから頑張って来い」

 「あ、はい」

 マヌケな返事をしたところで、頭の上に乗っかっているプル太郎が「早く行こうよ!」と言わんばかりに跳ね始めた。

 「分かった! 分かったから……行くから跳ねるのを止めてくれ。それじゃあ門番さん。行って来ます」

 「おう。気を付けろよ」

 街の外に出ると鑑定目を使い、薬草がないか草原を見回してみる。

 その辺に生えているって言ってたから、もしかしたらすぐにぃ……あった!

 道から外れて早速薬草を見つけたので摘み取る。

 「先ずは1個目。向こうにもある」

 数珠繋ぎに薬草を取って行き、自分で使用する分と冒険者ギルドに納品分と合わせた目標数20本を早々に手に入れられた。

 「薬草の方は終わり。キバネズミを倒しに行こうか」

 「キャンッ!」

 プルンッ!

 やる気に満ちている2匹と共に、キバネズミを探しに壁に沿って歩き始める。

 「キバネズミ……キバネズミ……ん? もしかしてこれがキバネズミが研いだ跡なのか?」

 外壁に弧を描くように何か硬いものを擦り付けた跡を見つけたので、近付いてよく見てみる。

 う~ん……なるほど。1回や2回だけじゃなく、何度も擦っている感じだなぁ。

俺がそう思っていると、ルルがその研いだ跡に鼻を近付けてスンスンと嗅ぐと、俺の方を見つめて来る。

 「もしかして、キバネズミの臭いを覚えたのか?」

 「キャンッ!」

 ルルが「そうだよ!」と言いたそうな鳴き声を上げると、地面を嗅ぎ周り始めた。

 「キャンッ! キャンッ!」

 ルルが壁沿いに向かって「向こうにいる!」と言いたそうに吠えた。

 「向こうに行ったんだな? よし! 行ってみよう!」

 「キャンッ!」

 ルル先導の元、壁に沿って進んで行くと壁に身体を付けて何かをしている魔物を見つけた。

 「キャンッ!」

 「え? もしかして、あれがキバネズミなのか?」

 チワワとかダックスフンドのような大きさで、身体に似合わないと思えるような太めで長い牙の……ネズミ(?)が壁に牙を擦り付けていた。

 「何か、ネズミと言うよりもマングースっぽい見た目をしている」

 「キャンッ?」

 ルルが「何それ?」と言いたそうに吠えたところで、向こうも俺達の存在に気付いたらしく、こちらに身体を向けて大きく口を開けた。

 あれがキバネズミの威嚇行動だな。

 「よし、ルル! キバネズミと戦うんだ‼︎」

 「キャンッ!」

 ルルは俺の言葉に返事をするかのように吠えると、臨戦態勢に入る。

 ルルが危なくなった時の為に、マジック・マグナムを持っておこう。

 マジック・マグナムを右手に持つと、左手でキバネズミを指さした。

 「いけルル! 体当たりだぁ!」

 「キャッ……キャンッ?」

 ルルが「え?」と言いたそうな顔で俺を見つめて来るので、俺もルルと同じような顔になってしまった。

 「ルル……もしかして体当たりを覚えてないの?」

 「……キャン」

 「……うん」と言いたそうな吠え方をするので、肩を落としてしまった。

 体当たりがない……って、そうだよ! ポケ○ンの世界じゃないから、体当たりが無いのは当たり前だよなぁ!

 「ルルの思うがままに戦ってくれ。もちろん、危なくなったら俺の元に戻って来るんだ」

 「キャンッ!」

 「分かった!」と言いたそうな鳴き声を上げた後、ルルがキバネズミ目掛けて走り出した! キバネズミも自分に向かって来るルルに対して攻撃を受ける構えをする。

 「ルル! 相手は防御態勢に入っているからカウンターに気を付けろ!」

 俺の言葉を聞いたのか分からないが、キバネズミの背中に回って背中に噛み付いたのだ!

 「いいぞルル! って、プル太郎ぉ⁉︎」

 俺がルルを褒めたら、プル太郎がルルの元へと行ってしまった。

 「戻って来いプル太郎!」

 プルンッ!

 「自分も戦える!」とでも言いたいそうに身体を震わせた後、宙に魔法陣と思える水色円盤を形成すると、その中から小さな水の塊が出て来てキバネズミに勢いよく当たった!

 「チュウッ!?」

 キバネズミはプル太郎の攻撃が痛かったのか怯んだ。

 「い、今のもしかして……魔法を使ったのか?」

 プル太郎が使った攻撃が分からない……俺に教えて、チュートリアルさん!

 説明
 先ほどカイリ様のスライムが使った攻撃は初級の水魔法、技名アクアボールです。
 初級魔法なので、水の適正がある方なら誰にでも扱えます。

 ……やっぱり魔法だったんだ。

 そうこうしている内、ルルとプル太郎が協力して戦った為なのかアッサリとキバネズミを倒してしまった。

 「オオ~ッ⁉︎ ルル、プル太郎! よくやったぁ‼︎」

 「キャンッ!」

 プルンッ!

 誇らしげに返事をした後、俺の元に駆け寄って来る。

 「よ~しよし! いい子だぁ~っ!」

 頑張ったルルを褒めてあげるが、ちょっと気になってしまうところがある。何処がって? それはね、プル太郎の水魔法のとばっちりをルルが受けてたから、身体がビチョビチョになってるんだよなぁ~。

 2匹のことを褒めてあげていたら、水浸しになっているルルが身体を大きく捻って水気を取ろうとして来た。

 「わっぷっ⁉︎」

 ルルと近かった為、俺の方に飛んで来た。しかもルルは悪びれもせずに俺に甘えて来るのだ。

 ああ~、服が濡れちゃうってぇ~!

 「もぉ~……仕方ない。プル太郎。ルルの身体を乾かせる?」

 プルンッ!

 プル太郎は「うん!」と言いたそうに身体を震わせると、触手を伸ばして俺達の服に着いた水気と汚れを取ってくれた。
 プル太郎、超便利ぃっ‼︎
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

のんびり、まったり、モノづくり ~お嬢様は錬金術師~

チャららA12・山もり
恋愛
王都の高級道具店で働いているサラ・メアリー・ヴィリアーズ。 しかし、女店主のアリーシャから、クビを言い渡される。 「サラ、あなたクビね。いくら努力をしようが、人にはもって生まれてきた才能というものがあるの。あなたには調合のセンスはないし、あなたが作った道具もこの店にはふさわしくないの」 そうしてサラはアリーシャの経営する高級道具店をクビになった。 だが、異世界からやってきたレンと知り合うことでサラは自信をとりもどしていく。 公爵令嬢、錬金術師、調合、異空間収納、亜人、ダンジョン。 すこしの勇気を持てば、何かが変わる。

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

エレメント ウィザード

あさぎ
ファンタジー
エレメントを司る精霊を使役する魔術師(ウィザード) 『言霊』で精霊を呼び、力を借りることで魔法を詠唱することができる魔術師(ウィザード)は誰もが目標とし憧れる存在であった 魔術師(ウィザード)になるべく、切磋琢磨しあう学園にある1人の少女が転校してくる 魔術師(ウィザード)を超える上級魔術師(ハイウィザード)並の魔法力を持つ彼女は、圧倒的な力で周囲を驚愕させた しかし、彼女は魔術師(ウィザード)に必要な『言霊』を唱えることができない大きな秘密を抱えていた なぜ彼女は精霊を呼べないのか。彼女の過去が世界を揺るがす大きな渦へと姿を変える 訳あり主人公と、個性豊かなキャラクターが織りなすシリアス王道ファンタジーをお楽しみください

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

処理中です...