13 / 13
第12話
しおりを挟む
ベルジア教頭が窓を突き破って二階から落ちて行った事件・・・・いや、“アヒョウッ!! 教頭先生、窓からブッ飛んで大骨折事件”とセレス先生が訳の分からない命名したされた事件から五日経った。
現在俺はダリット先生の話を頬杖を付きながら聞いている。
「ホント・・・・凄いのか、おかしいのか分からない学校だな。ここは」
俺がこう言うのも無理はない。何故なら、あの事件の起こった当日は休校になったのだが、二日後に通常通りの授業やってるんだから驚き物だ。
普通なら、長い目で見て一週ぐらいは休校になってると思うが、これもセレス先生の力なのか、はたまた帝国が何かしら関わったのか・・・・まぁ、どちらにしても俺には関係ないけどな。
「でだ、授業の遅れを取り戻さなければならないから、今週の休日も授業がある事を忘れるなよ!」
『エェ~~~~~ッ!?』
あんな事件があったのに、コイツらはホント元気だなぁ~。
「何言ってんだお前らは! あの事件のせいで授業が遅れてるんだ。我慢しろ!」
「先生、休日に生活用品を買いに行きたかったですけど!」
「私も買い物行きたぁ~い!!」
「帝都を観光出来ると思ってたのに~~~!!」
「美味しそうなお店見つけたから行きたいよぉ~~~!!」
ブーブー文句言う生徒に、ぶちギレたダリット先生は机を叩く後に怒声を浴びせる。
「日用雑貨なんざ大概購買に売ってるから良いだろっ!! それに観光なんざ何時でも行けるだろ!! もういい、帰りのホームルームは終わりだ。解散!!」
そしてそのまま教室を出て行ってしまった。
あ~あ、出てったよ。・・・・まぁ良いや、家に帰って宿題でもやるか。
そう思いながら立ち上がった時に朝、言われた事を思い出す。
「そう言えば今日、セレス先生に放課後来るように言われてたっけな」
気が進まないけど行くか。
「ハァ~・・・・ダルい」
そう言いながらカバンを持って教室を出ると、リッシュとレイラの二人が待ってましたと言わんばかりに近づいて来た。
「やぁ、シュンくん。待ってたよ」
「・・・・シュンくん」
コイツらも物好きだなぁ~。
「お前ら俺の事を待ってたのか?」
俺が呆れながら言うとレイラが恥ずかしそうに答えてくる。
「うん、リッシュ皇子様がね。どうせならシュンくんと一緒に帰ろうって言ったから付いて来たの」
何でレイラは恥ずかしそうにモジモジしてるんだ?
「そうだよ。僕が彼女を誘ったんだ。もしかして嫌だったのかな?」
「いや、嫌じゃないけど」
「けど?」
「俺はこれから理事長室に行かなきゃ行けないんだ」
「そうなんだ。残念だったねレイラさん」
「理事長先生に呼ばれているのでしたら、仕方ないですよ」
二人は下を向いて残念そうにしている上に、スゴく重たい雰囲気を醸かもし出している。
・・・・・・仕方ないな。
「理事長室に一緒に来るか?」
「「えっ!?」」
二人は驚いた顔をしながら、俺の顔を見て来る。
「僕たちが付いて来て良いのかい?」
「そうだよ。セレス理事長に迷惑掛かるんじゃないかな?」
「あ~、その心配はしなくて良いと思う。多分セレス先生の事だから、二人を気にしないと思うぞ」
それに、コイツを連れてった方が良いかもしれないし。
「・・・・そう? ならシュンくんに付いて行こーっと!」
「付いて来てくれ」
「分かったよ!」
「ウゥ~・・・・ウゥ~~~」
二人は俺の後を付いて来るが、レイラは不安そうな声で唸っている。
「大丈夫だよレイラさん。セレス先生に怒られるのはシュンくんだから、気にしなくて良いと思うよ」
「ウゥ~~~~~・・・・・うん、分かった」
俺はリッシュのその言葉を聞いた瞬間に、理事長室に一緒に来るか? と言ったのを後悔してしまった。
いまさら帰ってくれ。何て言えないよな・・・・・・。
「二人共着いたぞ。準備が出来てるか?」
「僕は大丈夫だよ!」
「わ、私も大丈夫です・・・・はい」
レイラの方に不安を感じるが・・・・なる様になるか。
コンッ! コンッ!
『はい~、どちら様ですかぁ~?』
「俺です。シュン・カミカワです。他にも二人もいるんですが、一緒に入っても大丈夫ですか?」
『気にしないので、どうぞぉ~!』
「失礼します」
そう言った後に扉を開いてから、理事長室の中に入って行くと、リッシュとレイラの二人も後に続く様に入って行く。
「失礼します」
「し、失礼しましゅ!」
あ・・・・レイラが噛んだ。しかも気にしてるのか、顔を真っ赤にさせて恥ずかしそう。
「あらぁ~、シュンくんはお友達を連れて来たのですかぁ~」
「まぁ、友達・・・・なのか? 二人が俺と一緒にいたそうにしていたから連れて来たんです・・・・ダメでしたか?」
「いいえ~、聞かれて困る事じゃないですからぁ~、ここに居て良いもですよぉ~!」
セレス先生に怒られなくて良かった。
「ありがとうございます・・・・で、話ってあれですか。ベルジア先生の事ですかね?」
「そうですよぉ~~~! あの、アヒョウッ!! 教頭先生、窓からブッ飛んで大骨折事件ですよ」
「はぁ・・・・そうですか」
セレス先生はそのネーミングを気に入ってるのか?
「・・・・アヒョウ!! 教頭先生、窓からブッ飛んで大骨折事件って何? ちょっとおかしくない?」
「セレス理事長は可愛いネーミングを付けるのが好きなんですよ・・・・多分」
リッシュとレイラがヒソヒソ話をしているよ。しかも聞こえるし。
「実はですね~、ベルジアさん達の調査が終わりましたぁ~。シュンくんの言う通りファドムの協力者でしたよぉ~!」
「そうですか。それは良かった」
「はい~、ベルジア先生達の自白とぉ~、自宅と学校にあった証拠がありましたぁ~。いやぁ~、解決して良かったですぅ~」
やっぱり俺が思っていた通りだったか・・・・。
「どうしてシュンくんはぁ~、ベルジアさんが協力者だと分かったんですか?」
「ちょ、ちょっと待って下さい!!」
「どうしたんですかぁ~?」
「もしかして今回起きた侵入者事件って、シュンくんが解決したって事で理解して良いんですか?」
「う~~~~~ん・・・・」
困った顔をしながら首を傾げた後に、紅茶を一口飲んでからニッコリと答え始める。
「その通りですねぇ~!」
「「えぇ~~~~~!!」」
「スゴイよシュンくん! お手柄だよ!!」
「やっぱりシュンくんって、スゴイ人だったんですね!!」
二人はそう言いながら俺に近づいて来るので少し驚いてしまう。
この反応は予想してなかったな。
「・・・・セレス先生に話したいんだが、静かにして貰って良いか?」
「あ、ゴメン!」
「ごめんなさい。ちょっと興奮しすぎちゃいました」
「まぁ、良いけど。それで何でベルジアが犯人って分かったかと言うと、実は・・・・」
「「実は?」」
「最初は確信何て無かった」
「「えぇ~~~!?」」
「当てずっぽうで犯人と決め付けていたんですかぁ~?」
驚いているリッシュとレイラに対して、セレス先生は冷静だった。
「いや、そうでもないですよ。訳を話すと長くなるんですが、ファドムを捕まえたあの後日、ベルジア教頭に、ファドムが捕まった。と言う報せた瞬間に何故か様子がおかしくなった。とダリット先生から聞いたんです」
「確かにあの時様子がおかしかったですねぇ~。てっきり私は体調が優れなかったと思いましたぁ~」
「その上、俺を見かけると恨むような目で見てくるので、もしかしたらと思って探りを入れてみたら、名前誰でしたっけ? まぁ良いや。あの壁に打ち付けられた先生と二人でファドムの事を話し合っていたんです」
「その二人の会話は、ファドムが捕まって良かったぁ~。って話じゃなかったんですかぁ~?」
「違います。昨日ファドムが捕まったから自分達が協力者だとバレるのも時間の問題かもしれない。だから、この帝国から早く逃げた方が良い。と言う話でした。まぁ、その話し合い結果は、欲の方が勝まさったみたいですけど」
「なるほどぉ~、だからあの時私に提案したんですね。私の部屋に来たら閉じ込めて、憲兵さん達がアナタの家や自宅を調べている。と嘘を彼らに言う作戦をぉ~」
「はい」
自白して罪を認めるかどうか賭けてみたんだけども、結果的に二人共重傷になって連行される形にしまった。まぁ、ベルジア先生も相手を考えていれば、あんな風にならなかったものを・・・・。
「え!? じゃあ、ベルジア教頭先生が窓から落ちて行ったのって・・・・」
「セベルジア教頭がレス先生に魔法を撃とうとしたから、逆に撃たれてああなった」
「エェ~・・・・」
怯えた様子でセレス先生を見つめるレイラだが、その本人は自慢気な顔をしていた。
「エヘヘ~、後悔はしていませんよぉ~!」
いや、あれはやり過ぎだ。反省と後悔をして欲しい。
「そして今回のシュンくんにはぁ~、ご褒美がありますよぉ~~~!」
「ご褒美ですか?」
「はい~! 先ずはレベナント魔法学園を守って頂いたお礼としてぇ~、感謝彰状を授与しまぁ~す!」
手のひらから丸められた紙をテーブルに出す。
「次に皇帝陛下からぁ~、お礼金200万ルクと名誉勲章と爵位の授与でぇ~す!」
そう言った後に袋とバッジみたいな物を机に置くが、今度は乱雑だった。
「最後に冒険者ギルドからぁ~、98万ルクでぇ~す!」
あの事件一つでこれだけ貰えるのか・・・・大げさだな。
「す、スゴイよ! シュンくん勲章どころか爵位まで貰えるなんて、ホントスゴイよ!!」
「お母様がシュンくんに爵位を授与するってどう言う事なんだ? まさかシュンくんの事を・・・・」
興奮しているレイラ対して、リッシュはアゴに手を当てて考え始める。
「どうぞぉ~、受け取ってくださぁ~い!」
・・・・なるほどね。
「セレス先生」
「はい~、なんでしょうかぁ~?」
「全部いらないので返して下さい」
「「エェ~~~~!!?」」
リッシュとレイラの二人の驚いた声が部屋に響き渡る。
「それはどうしてですかぁ~?」
「表彰状一枚なんて使い物にならないし、バッジや爵位なんて貰ったら帝国民になるって事だから断るんだよ」
「なるほどぉ~! でも98万ルクを返す意味は何ですか?」
「冒険者ギルドに98万ルクを返す意味は、98万ルクの代わりに俺がファドム達を何とかした。と言う情報を郊外しないと言う事を約束させる」
「・・・・なるほどぉ~、シュンくんが考えている事は分かりましたぁ~。それではこの紙二枚と勲章は要りませんねぇ~」
セレス先生はそう言うと魔法で火を出して燃やし始める。
「く、勲章を燃やした!」
「あわわわわわっ!!」
顔を青ざめさせて体を震わせるリッシュとレイラ。対して俺とセレス先生は平然な顔をしている。
「皇帝陛下に断りの話をするのとぉ~、冒険者ギルドにお話するのはぁ~、の事は私に任せて下さいねぇ~!」
「任せて。ですか?」
「はい~、私が出向いた方が早いと思いますしぃ~、それに私からシュンくんにお礼をしたいのですぅ~」
・・・・まぁ、セレス先生なら任せて大丈夫か。
「お任せします。セレス先生」
「それでは話はこれで終わりですぅ~。お疲れ様でしたぁ~!」
「ありがとうございました。失礼しました」
俺はドアを開いて理事長室を出て行くが、リッシュとレイラが付いて来てないのを気づいたので、振り返って二人を呼ぶ。
「何をしてるんだ? もう行くぞ」
「「ハッ!?」」
二人は何か気が付いた様子をみせると、慌てながらセレス先生に話し始めた。
「失礼しました、セレス理事長!」
「ご迷惑をお掛けしました!」
「いいえ~、お暇があったらいつでも来て良いですよぉ~!」
セレス先生はリッシュとレイラに向かって手を振り見送るのであった。
「・・・・シュンくん。どう言うつもり?」
「ん? リッシュ。どう言うつもりって何の事だ?」
「冒険者ギルドの報酬は受け取らないのは分かるけど、皇帝陛下から贈り物を突き返すのは侮辱しているようなものだぞ! 分かってるのか?」
「そうだよ! それに爵位まで送られたのに受け取らないなんて勿体ないわよ!!」
そう言いながら俺に詰め寄ってくる二人に対して、落ち着いた声で説明していく。
「俺が皇帝陛下の爵位を受け取った。となると良く思わない貴族が出るんじゃないか? リッシュ、皇子のお前なら思い付く奴が一人か二人いるだろう?」
「あ!」
「それに爵位を渡すのなら、その陛下が直接俺に言い渡さないといけないじゃないか?」
「確かに、正式な形で爵位授与を言い渡されてない・・・・どう言う事なんだろう?」
そこが俺も疑問に思っているところなんだよな。
「まぁ、俺を試したんじゃないか? 実際はどうか分からないけどな。さてと二人共、後で俺の家に来てくれないか?」
「どうしてだい?」
「晩ご飯を口止め料として奢るからだ」
「良いの! でも何で口止め料?」
「さっき見た光景を、“知らない。見ていない”って言えば良いって事」
「たったそれだけで良いの?」
「ああ、それさえ約束すればハンバーグをご馳走するがどうする?」
「良いよ。僕は約束するよ!」
リッシュは即決するがレイラは戸惑っている。
「私がいたらセレス理事長に迷惑掛からないですか?」
「そこら辺は大丈夫だと思うぞ。セレス先生ならむしろ歓迎するんじゃないか?」
「そう・・・・それなら、私もご一緒させて頂きます」
これで決まったな。
「それじゃあ荷物置いたら俺の家に来てくれ」
「いや、僕はこのまま行くよ」
「別にそのまま来ても良いが、課題を先にやるから暇な時間が多いと思うぞ?」
「なら課題を一緒にやるよ」
自由気ままだな。まぁ良いけど。
「レイラはどうするんだ?」
「わ、私は・・・・その、あの」
何かモジモジし始めたな。何を気にしているんだ?
そう思っていたらリッシュがレイラの耳に顔を近づけると、自分の口元を手で覆い何かボソボソ話し始めた。
「ッ!? 私もシュンくんのお家に付いて行きましゅっ!!」
なんか顔を真っ赤にさせてるけど、まぁ良いか。
「それじゃあ俺について来てくて」
「は~い!」
「うん!」
まぁ、今後はもうこんな事は起きないだろう。それに、この二人が俺がファドム達を何とかした。とか言っても大丈夫だろう。何故なら俺は魔力がない上にEランク生徒だから、捕まえるなんて出来る訳がないだろう。って言われるだけで信じないだろう。それに今後は事件も起こりそうにないから、ゆっくりと学園生活を満喫出来るだろう。
俺はそう思いながら二人と共に自宅に向かったのであった。
現在俺はダリット先生の話を頬杖を付きながら聞いている。
「ホント・・・・凄いのか、おかしいのか分からない学校だな。ここは」
俺がこう言うのも無理はない。何故なら、あの事件の起こった当日は休校になったのだが、二日後に通常通りの授業やってるんだから驚き物だ。
普通なら、長い目で見て一週ぐらいは休校になってると思うが、これもセレス先生の力なのか、はたまた帝国が何かしら関わったのか・・・・まぁ、どちらにしても俺には関係ないけどな。
「でだ、授業の遅れを取り戻さなければならないから、今週の休日も授業がある事を忘れるなよ!」
『エェ~~~~~ッ!?』
あんな事件があったのに、コイツらはホント元気だなぁ~。
「何言ってんだお前らは! あの事件のせいで授業が遅れてるんだ。我慢しろ!」
「先生、休日に生活用品を買いに行きたかったですけど!」
「私も買い物行きたぁ~い!!」
「帝都を観光出来ると思ってたのに~~~!!」
「美味しそうなお店見つけたから行きたいよぉ~~~!!」
ブーブー文句言う生徒に、ぶちギレたダリット先生は机を叩く後に怒声を浴びせる。
「日用雑貨なんざ大概購買に売ってるから良いだろっ!! それに観光なんざ何時でも行けるだろ!! もういい、帰りのホームルームは終わりだ。解散!!」
そしてそのまま教室を出て行ってしまった。
あ~あ、出てったよ。・・・・まぁ良いや、家に帰って宿題でもやるか。
そう思いながら立ち上がった時に朝、言われた事を思い出す。
「そう言えば今日、セレス先生に放課後来るように言われてたっけな」
気が進まないけど行くか。
「ハァ~・・・・ダルい」
そう言いながらカバンを持って教室を出ると、リッシュとレイラの二人が待ってましたと言わんばかりに近づいて来た。
「やぁ、シュンくん。待ってたよ」
「・・・・シュンくん」
コイツらも物好きだなぁ~。
「お前ら俺の事を待ってたのか?」
俺が呆れながら言うとレイラが恥ずかしそうに答えてくる。
「うん、リッシュ皇子様がね。どうせならシュンくんと一緒に帰ろうって言ったから付いて来たの」
何でレイラは恥ずかしそうにモジモジしてるんだ?
「そうだよ。僕が彼女を誘ったんだ。もしかして嫌だったのかな?」
「いや、嫌じゃないけど」
「けど?」
「俺はこれから理事長室に行かなきゃ行けないんだ」
「そうなんだ。残念だったねレイラさん」
「理事長先生に呼ばれているのでしたら、仕方ないですよ」
二人は下を向いて残念そうにしている上に、スゴく重たい雰囲気を醸かもし出している。
・・・・・・仕方ないな。
「理事長室に一緒に来るか?」
「「えっ!?」」
二人は驚いた顔をしながら、俺の顔を見て来る。
「僕たちが付いて来て良いのかい?」
「そうだよ。セレス理事長に迷惑掛かるんじゃないかな?」
「あ~、その心配はしなくて良いと思う。多分セレス先生の事だから、二人を気にしないと思うぞ」
それに、コイツを連れてった方が良いかもしれないし。
「・・・・そう? ならシュンくんに付いて行こーっと!」
「付いて来てくれ」
「分かったよ!」
「ウゥ~・・・・ウゥ~~~」
二人は俺の後を付いて来るが、レイラは不安そうな声で唸っている。
「大丈夫だよレイラさん。セレス先生に怒られるのはシュンくんだから、気にしなくて良いと思うよ」
「ウゥ~~~~~・・・・・うん、分かった」
俺はリッシュのその言葉を聞いた瞬間に、理事長室に一緒に来るか? と言ったのを後悔してしまった。
いまさら帰ってくれ。何て言えないよな・・・・・・。
「二人共着いたぞ。準備が出来てるか?」
「僕は大丈夫だよ!」
「わ、私も大丈夫です・・・・はい」
レイラの方に不安を感じるが・・・・なる様になるか。
コンッ! コンッ!
『はい~、どちら様ですかぁ~?』
「俺です。シュン・カミカワです。他にも二人もいるんですが、一緒に入っても大丈夫ですか?」
『気にしないので、どうぞぉ~!』
「失礼します」
そう言った後に扉を開いてから、理事長室の中に入って行くと、リッシュとレイラの二人も後に続く様に入って行く。
「失礼します」
「し、失礼しましゅ!」
あ・・・・レイラが噛んだ。しかも気にしてるのか、顔を真っ赤にさせて恥ずかしそう。
「あらぁ~、シュンくんはお友達を連れて来たのですかぁ~」
「まぁ、友達・・・・なのか? 二人が俺と一緒にいたそうにしていたから連れて来たんです・・・・ダメでしたか?」
「いいえ~、聞かれて困る事じゃないですからぁ~、ここに居て良いもですよぉ~!」
セレス先生に怒られなくて良かった。
「ありがとうございます・・・・で、話ってあれですか。ベルジア先生の事ですかね?」
「そうですよぉ~~~! あの、アヒョウッ!! 教頭先生、窓からブッ飛んで大骨折事件ですよ」
「はぁ・・・・そうですか」
セレス先生はそのネーミングを気に入ってるのか?
「・・・・アヒョウ!! 教頭先生、窓からブッ飛んで大骨折事件って何? ちょっとおかしくない?」
「セレス理事長は可愛いネーミングを付けるのが好きなんですよ・・・・多分」
リッシュとレイラがヒソヒソ話をしているよ。しかも聞こえるし。
「実はですね~、ベルジアさん達の調査が終わりましたぁ~。シュンくんの言う通りファドムの協力者でしたよぉ~!」
「そうですか。それは良かった」
「はい~、ベルジア先生達の自白とぉ~、自宅と学校にあった証拠がありましたぁ~。いやぁ~、解決して良かったですぅ~」
やっぱり俺が思っていた通りだったか・・・・。
「どうしてシュンくんはぁ~、ベルジアさんが協力者だと分かったんですか?」
「ちょ、ちょっと待って下さい!!」
「どうしたんですかぁ~?」
「もしかして今回起きた侵入者事件って、シュンくんが解決したって事で理解して良いんですか?」
「う~~~~~ん・・・・」
困った顔をしながら首を傾げた後に、紅茶を一口飲んでからニッコリと答え始める。
「その通りですねぇ~!」
「「えぇ~~~~~!!」」
「スゴイよシュンくん! お手柄だよ!!」
「やっぱりシュンくんって、スゴイ人だったんですね!!」
二人はそう言いながら俺に近づいて来るので少し驚いてしまう。
この反応は予想してなかったな。
「・・・・セレス先生に話したいんだが、静かにして貰って良いか?」
「あ、ゴメン!」
「ごめんなさい。ちょっと興奮しすぎちゃいました」
「まぁ、良いけど。それで何でベルジアが犯人って分かったかと言うと、実は・・・・」
「「実は?」」
「最初は確信何て無かった」
「「えぇ~~~!?」」
「当てずっぽうで犯人と決め付けていたんですかぁ~?」
驚いているリッシュとレイラに対して、セレス先生は冷静だった。
「いや、そうでもないですよ。訳を話すと長くなるんですが、ファドムを捕まえたあの後日、ベルジア教頭に、ファドムが捕まった。と言う報せた瞬間に何故か様子がおかしくなった。とダリット先生から聞いたんです」
「確かにあの時様子がおかしかったですねぇ~。てっきり私は体調が優れなかったと思いましたぁ~」
「その上、俺を見かけると恨むような目で見てくるので、もしかしたらと思って探りを入れてみたら、名前誰でしたっけ? まぁ良いや。あの壁に打ち付けられた先生と二人でファドムの事を話し合っていたんです」
「その二人の会話は、ファドムが捕まって良かったぁ~。って話じゃなかったんですかぁ~?」
「違います。昨日ファドムが捕まったから自分達が協力者だとバレるのも時間の問題かもしれない。だから、この帝国から早く逃げた方が良い。と言う話でした。まぁ、その話し合い結果は、欲の方が勝まさったみたいですけど」
「なるほどぉ~、だからあの時私に提案したんですね。私の部屋に来たら閉じ込めて、憲兵さん達がアナタの家や自宅を調べている。と嘘を彼らに言う作戦をぉ~」
「はい」
自白して罪を認めるかどうか賭けてみたんだけども、結果的に二人共重傷になって連行される形にしまった。まぁ、ベルジア先生も相手を考えていれば、あんな風にならなかったものを・・・・。
「え!? じゃあ、ベルジア教頭先生が窓から落ちて行ったのって・・・・」
「セベルジア教頭がレス先生に魔法を撃とうとしたから、逆に撃たれてああなった」
「エェ~・・・・」
怯えた様子でセレス先生を見つめるレイラだが、その本人は自慢気な顔をしていた。
「エヘヘ~、後悔はしていませんよぉ~!」
いや、あれはやり過ぎだ。反省と後悔をして欲しい。
「そして今回のシュンくんにはぁ~、ご褒美がありますよぉ~~~!」
「ご褒美ですか?」
「はい~! 先ずはレベナント魔法学園を守って頂いたお礼としてぇ~、感謝彰状を授与しまぁ~す!」
手のひらから丸められた紙をテーブルに出す。
「次に皇帝陛下からぁ~、お礼金200万ルクと名誉勲章と爵位の授与でぇ~す!」
そう言った後に袋とバッジみたいな物を机に置くが、今度は乱雑だった。
「最後に冒険者ギルドからぁ~、98万ルクでぇ~す!」
あの事件一つでこれだけ貰えるのか・・・・大げさだな。
「す、スゴイよ! シュンくん勲章どころか爵位まで貰えるなんて、ホントスゴイよ!!」
「お母様がシュンくんに爵位を授与するってどう言う事なんだ? まさかシュンくんの事を・・・・」
興奮しているレイラ対して、リッシュはアゴに手を当てて考え始める。
「どうぞぉ~、受け取ってくださぁ~い!」
・・・・なるほどね。
「セレス先生」
「はい~、なんでしょうかぁ~?」
「全部いらないので返して下さい」
「「エェ~~~~!!?」」
リッシュとレイラの二人の驚いた声が部屋に響き渡る。
「それはどうしてですかぁ~?」
「表彰状一枚なんて使い物にならないし、バッジや爵位なんて貰ったら帝国民になるって事だから断るんだよ」
「なるほどぉ~! でも98万ルクを返す意味は何ですか?」
「冒険者ギルドに98万ルクを返す意味は、98万ルクの代わりに俺がファドム達を何とかした。と言う情報を郊外しないと言う事を約束させる」
「・・・・なるほどぉ~、シュンくんが考えている事は分かりましたぁ~。それではこの紙二枚と勲章は要りませんねぇ~」
セレス先生はそう言うと魔法で火を出して燃やし始める。
「く、勲章を燃やした!」
「あわわわわわっ!!」
顔を青ざめさせて体を震わせるリッシュとレイラ。対して俺とセレス先生は平然な顔をしている。
「皇帝陛下に断りの話をするのとぉ~、冒険者ギルドにお話するのはぁ~、の事は私に任せて下さいねぇ~!」
「任せて。ですか?」
「はい~、私が出向いた方が早いと思いますしぃ~、それに私からシュンくんにお礼をしたいのですぅ~」
・・・・まぁ、セレス先生なら任せて大丈夫か。
「お任せします。セレス先生」
「それでは話はこれで終わりですぅ~。お疲れ様でしたぁ~!」
「ありがとうございました。失礼しました」
俺はドアを開いて理事長室を出て行くが、リッシュとレイラが付いて来てないのを気づいたので、振り返って二人を呼ぶ。
「何をしてるんだ? もう行くぞ」
「「ハッ!?」」
二人は何か気が付いた様子をみせると、慌てながらセレス先生に話し始めた。
「失礼しました、セレス理事長!」
「ご迷惑をお掛けしました!」
「いいえ~、お暇があったらいつでも来て良いですよぉ~!」
セレス先生はリッシュとレイラに向かって手を振り見送るのであった。
「・・・・シュンくん。どう言うつもり?」
「ん? リッシュ。どう言うつもりって何の事だ?」
「冒険者ギルドの報酬は受け取らないのは分かるけど、皇帝陛下から贈り物を突き返すのは侮辱しているようなものだぞ! 分かってるのか?」
「そうだよ! それに爵位まで送られたのに受け取らないなんて勿体ないわよ!!」
そう言いながら俺に詰め寄ってくる二人に対して、落ち着いた声で説明していく。
「俺が皇帝陛下の爵位を受け取った。となると良く思わない貴族が出るんじゃないか? リッシュ、皇子のお前なら思い付く奴が一人か二人いるだろう?」
「あ!」
「それに爵位を渡すのなら、その陛下が直接俺に言い渡さないといけないじゃないか?」
「確かに、正式な形で爵位授与を言い渡されてない・・・・どう言う事なんだろう?」
そこが俺も疑問に思っているところなんだよな。
「まぁ、俺を試したんじゃないか? 実際はどうか分からないけどな。さてと二人共、後で俺の家に来てくれないか?」
「どうしてだい?」
「晩ご飯を口止め料として奢るからだ」
「良いの! でも何で口止め料?」
「さっき見た光景を、“知らない。見ていない”って言えば良いって事」
「たったそれだけで良いの?」
「ああ、それさえ約束すればハンバーグをご馳走するがどうする?」
「良いよ。僕は約束するよ!」
リッシュは即決するがレイラは戸惑っている。
「私がいたらセレス理事長に迷惑掛からないですか?」
「そこら辺は大丈夫だと思うぞ。セレス先生ならむしろ歓迎するんじゃないか?」
「そう・・・・それなら、私もご一緒させて頂きます」
これで決まったな。
「それじゃあ荷物置いたら俺の家に来てくれ」
「いや、僕はこのまま行くよ」
「別にそのまま来ても良いが、課題を先にやるから暇な時間が多いと思うぞ?」
「なら課題を一緒にやるよ」
自由気ままだな。まぁ良いけど。
「レイラはどうするんだ?」
「わ、私は・・・・その、あの」
何かモジモジし始めたな。何を気にしているんだ?
そう思っていたらリッシュがレイラの耳に顔を近づけると、自分の口元を手で覆い何かボソボソ話し始めた。
「ッ!? 私もシュンくんのお家に付いて行きましゅっ!!」
なんか顔を真っ赤にさせてるけど、まぁ良いか。
「それじゃあ俺について来てくて」
「は~い!」
「うん!」
まぁ、今後はもうこんな事は起きないだろう。それに、この二人が俺がファドム達を何とかした。とか言っても大丈夫だろう。何故なら俺は魔力がない上にEランク生徒だから、捕まえるなんて出来る訳がないだろう。って言われるだけで信じないだろう。それに今後は事件も起こりそうにないから、ゆっくりと学園生活を満喫出来るだろう。
俺はそう思いながら二人と共に自宅に向かったのであった。
0
お気に入りに追加
76
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
【R18】アリスエロパロシリーズ
茉莉花
ファンタジー
家族旅行で訪れたロッジにて、深夜にウサギを追いかけて暖炉の中に落ちてしまう。
そこは不思議の国のアリスをモチーフにしているような、そうでもないような不思議の国。
その国で玩具だったり、道具だったり、男の人だったりと色んな相手にひたすらに喘がされ犯されちゃうエロはファンタジー!なお話。
ストーリー性は殆どありません。ひたすらえっちなことしてるだけです。
(メインで活動しているのはピクシブになります。こちらは同時投稿になります)
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
開発済みののじゃロリエルフは絶対服従
プルルペルル
ファンタジー
見た目は幼いがその年齢は余裕で四桁を超えるの彼女はエルフ。
千年以上ゴブリンやオークに侵され続けたり、街の肉便器として使わていた彼女はありとあらゆる快楽を叩き込まれた。
男根を見せられれば腰が抜け、服従してしまうほどの調教を施されている彼女は今、平穏を手に入れていた。
千年以上請い願った平穏。
大賢者と呼ばれ世界最高の学び舎の学長となった彼女の平穏は、ほんの少しの油断で奪われてしまうのだった。
※思い付きと勢いで書いているので物語性は薄いです
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
いち先生の指示に従わなかっただけで、校則違反とすれば、理事長室に入ってはいけないと理事長が指示しているのに入室してきた教師も当然校則違反となるのでしょうね。
うーん、セレス先生自体が自由人っぽい人ですから、本人が本気で言ってるのか脅しで言ってるのか、はたまた冗談で言ってるのかが分からないところですね。
一つだけ言えるのはスウェルブ先生はセレス先生を本気で怒らせたってことですね。あのまま続いていたらどうなっていたことやら・・・・・・スウェルブ先生がゾッとするようなことになっていたかもしれませんね。
でも面白いのでこれからも頑張ってください
ありがとうございます。これからも頑張って作品作りをしていくので、よかったら読んでくださいね!
変換するために文字を入力してるんだと思いますが
入力した文字と変換した文字と両方書いてありますよ
こんなふうに かもし醸し出す
主に7話が大変目立ちます
恐らく【】のことを仰ってるのですね。
実はこれについては、小説家になろう の方で特定の物や名前を分かりやすくして欲しいと言う意見があったので取り入れたことなんです。
書き進めるにつれて「これはちょっとおかしい・・・」と思ったので、今はもう魔法詠唱しか【】をやっていません。
7話は 魔法学園のFPSプレイヤー の中で三番目の力作と私は思っていますよ。目立つほどとは思ってもみませんけど・・・・・・。