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嵐のあと
《7》
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映画の反響が大きかったのか、拓海さんは沢山の人に囲まれていて、その中には西田社長、緒方専務、阿久津などの役職の高い人たちと、有名な映画プロデューサーまでいた。
非常に声をかけづらいメンツの中に拓海さんがいる。
しかし、ここで怯む訳にはいかない。
「雨宮課長!」と声を張り上げた。
拓海さんの周りで談笑していた人たちの視線が一気にこちらに向く。
「中島か。大声出すな」
阿久津に叱られる。
「中島さん、何かあった?」
拓海さんが聞いてくれる。
「緊急事態です。来て下さい」
「何言ってんだ。中島。雨宮課長は今、忙しいんだ。自分で何とかしろ」
また阿久津が口を挟んでくる。
「雨宮課長じゃないとダメなんです」
思い切って、拓海さんの手を取る。
「ご歓談中すみませんが、雨宮課長をお借りします」
拓海さんの手を引っ張って走る。
背中に「中島、こら」という阿久津の声が響いたけど気にしない。
走りながら、映画「卒業」で教会から花嫁を連れ去るダスティン・ホフマンをちょっと思い出した。
「中島さん、どうしたの?」
「拓海さんに会わせたい人がいるんです」
「会わせたい人?」
立ち止まって拓海さんを見る。
「あちらに」
北山監督の方を指すと、拓海さんが大きく目を見開いた。
非常に声をかけづらいメンツの中に拓海さんがいる。
しかし、ここで怯む訳にはいかない。
「雨宮課長!」と声を張り上げた。
拓海さんの周りで談笑していた人たちの視線が一気にこちらに向く。
「中島か。大声出すな」
阿久津に叱られる。
「中島さん、何かあった?」
拓海さんが聞いてくれる。
「緊急事態です。来て下さい」
「何言ってんだ。中島。雨宮課長は今、忙しいんだ。自分で何とかしろ」
また阿久津が口を挟んでくる。
「雨宮課長じゃないとダメなんです」
思い切って、拓海さんの手を取る。
「ご歓談中すみませんが、雨宮課長をお借りします」
拓海さんの手を引っ張って走る。
背中に「中島、こら」という阿久津の声が響いたけど気にしない。
走りながら、映画「卒業」で教会から花嫁を連れ去るダスティン・ホフマンをちょっと思い出した。
「中島さん、どうしたの?」
「拓海さんに会わせたい人がいるんです」
「会わせたい人?」
立ち止まって拓海さんを見る。
「あちらに」
北山監督の方を指すと、拓海さんが大きく目を見開いた。
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