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拓海さんの気持ち
《3》
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「こんな時にごめん。奈々ちゃんと初めて入ったファミレスを思い出して。アイスコーヒーもどきが不味かったなと思って」
拓海さんの言葉にあの時の事を思い出す。
見た目はアイスコーヒーなのに、いろんな甘味がして、確かにまずかった。
そして、拓海さんの事を変な人だと思ったんだ。
「これはちゃんとホットコーヒーですね」
拓海さんがクスッと笑う。
「優真を連れてファミレスに行くと、よくドリンクバーでいろんなジュースを混ぜて作ってやったんだ。あの日の奈々ちゃんを見たら急にその事を思い出してね」
そっか。優真君にジュース作ってあげていたんだ。
「宣伝部から総務部に異動して、最初に俺が任された仕事って何か知ってる?」
拓海さんが穏やかな目でこっちを見る。
「いえ」
「新入社員のお世話係。ちょうど奈々ちゃんが入って来た年だった」
あっ。そう言えば困った事があったら何でも聞くように言われて、私の担当者だった拓海さんに毎日のように質問しに行っていたんだ。
「中島奈々子は一番俺に質問しに来た新人だったよ。正直、手を焼いたよ」
「それはご迷惑をおかけしました」
「でも、おかげで俺は少し元気になった」
「えっ?」
「優真が入院した頃だったんだ。家に帰ると優真の病気と向き合って、正直心休まる日はなかった。それで会社では面倒な新人の世話だろ? もうくたくただって思っていたんだけどね。一生懸命な奈々ちゃんを見ていたら元気になったんだ。今思うとその頃から奈々ちゃんに救われていたのかもしれない」
私に救われていた……?
拓海さんの言葉にあの時の事を思い出す。
見た目はアイスコーヒーなのに、いろんな甘味がして、確かにまずかった。
そして、拓海さんの事を変な人だと思ったんだ。
「これはちゃんとホットコーヒーですね」
拓海さんがクスッと笑う。
「優真を連れてファミレスに行くと、よくドリンクバーでいろんなジュースを混ぜて作ってやったんだ。あの日の奈々ちゃんを見たら急にその事を思い出してね」
そっか。優真君にジュース作ってあげていたんだ。
「宣伝部から総務部に異動して、最初に俺が任された仕事って何か知ってる?」
拓海さんが穏やかな目でこっちを見る。
「いえ」
「新入社員のお世話係。ちょうど奈々ちゃんが入って来た年だった」
あっ。そう言えば困った事があったら何でも聞くように言われて、私の担当者だった拓海さんに毎日のように質問しに行っていたんだ。
「中島奈々子は一番俺に質問しに来た新人だったよ。正直、手を焼いたよ」
「それはご迷惑をおかけしました」
「でも、おかげで俺は少し元気になった」
「えっ?」
「優真が入院した頃だったんだ。家に帰ると優真の病気と向き合って、正直心休まる日はなかった。それで会社では面倒な新人の世話だろ? もうくたくただって思っていたんだけどね。一生懸命な奈々ちゃんを見ていたら元気になったんだ。今思うとその頃から奈々ちゃんに救われていたのかもしれない」
私に救われていた……?
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