雨宮課長に甘えたい

コハラ

文字の大きさ
上 下
119 / 179
お料理教室

《12》

しおりを挟む
栗原さんたちが帰ってくると、みんなで料理を仕上げて遅めのランチ会となった。

広いダイニングテーブルの上には私が作ったきんぴらごぼう、ピーマンの肉詰め、まりえちゃん作の肉じゃが、餃子、それから拓海さんが圧力鍋で30分煮込んだ豚の角煮、栗原さんが作ってくれたちらし寿司が並んでいた。

席は一番左端が私で、その隣がこうくん、そして、右端がまりえちゃん。テーブルを挟んで、私の向かい側が栗原さん、その左にみっくん、拓海さん、の順で座っている。

「うわーご馳走ですね。お誕生日会みたい!」

まりえちゃんが目をキラキラさせる。

「いただきます」

みんなで手を合わせて食事を始める。

まずは拓海さんが作った豚の角煮をぱくっ。
うわぁ! お肉トロトロで美味しい!

「雨宮課長、なんですかこの豚の角煮! 美味し過ぎます! お店開けます!」

私の言葉に拓海さんが満面の笑みを浮かべる。

「本当だ。プロの味!」

まりえちゃんも豚の角煮を食べてはしゃぐ。

「これは胃袋掴めますよ。絶対佐伯リカコさんに作った方がいいですよ」

まりえちゃんから出て来た佐伯リカコの名に胸がチクリ。

「でしょ! 拓ちゃんの豚の角煮絶品なのよ。たった30分煮込んだだけで、一晩煮込んだみたいにお肉柔らかいし。眠っていた我が家の圧力鍋がこんなに実力者だったとは思わなかった」

栗原さんが、感心するように拓海さんを見た。

「眠っていたとは?」

私の質問に栗原さんがえへっと笑う。

「旦那のお姉さんが料理好きでね。それで、便利よって圧力鍋をくれたんだけど、シューシュー音がして圧力鍋って怖いでしょ。だから使わなかったの。それを拓ちゃんが遊びに来た時に見つけて、豚の角煮作るのに便利だぞって言って、作ってくれたの。そこから圧力鍋の凄さを実感してね」

「それ以来、俺は栗原家に来る度に何か作らされている」

拓海さんの言葉が可笑しい。
ぷっと私が笑うと、みんなも笑った。

なんか楽しい。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

侯爵令嬢はデビュタントで婚約破棄され報復を決意する。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:1,883

 三枚重ねの真実 〜繰り返す後悔〜

BL / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:86

リエラの素材回収所

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:1,711

眠り騎士と悪役令嬢の弟

BL / 完結 24h.ポイント:241pt お気に入り:2,939

ターゲットを殺しに行ったら付き合うことになった話

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:5

処理中です...