雨宮課長に甘えたい

コハラ

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お料理教室

《3》

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栗原さん家は二階建てで、まだ新しそう。
玄関ドアを開けると、「わー」という子どもの賑やかな声がする。

「みっくん、こうくん、お客様!」

栗原さんが玄関から声をかけると勢いよく廊下をかけてくる足音がした。そして、小学生ぐらいのパッチリ目の可愛い男の子2人が玄関に登場。

「いらっしゃいませ。栗原光喜みつき、9さいです」
「いらっしゃいませ。栗原幸喜こうき、9さいです」

栗原さんにそっくりな顔が二つ並んでいたのでびっくり。

「えー! 双子ちゃんなんですかー! かわいい!!」

まりえちゃんがはしゃぐ。
双子ちゃんがあまりにも可愛くて私も一緒になってはしゃいだ。

「中島ちゃん、まりえちゃん、近所迷惑になるから落ちつこうか。とりあえず上がって」

栗原さんにスリッパを出して頂いて、まりえちゃんとお家に上がらせて頂いた。

広いリビングルームに出ると、大きなテレビがあってゲーム画面になっていた。みっくんとこうくんが遊んでいるんだろう。

「じゃあ、みっくん、こうくん、ケンカしないようにね」

栗原さんの言葉に二人同時に「はーい」と返事をした。

そんな姿も可愛らしくて、つい微笑んでしまう。

「栗原さん、お土産です」
 ケーキ屋の袋を差し出すと、栗原さんが笑顔を浮かべてくれた。
「ありがとう。ケーキ?」
「フルーツタルトです」
「じゃあ、あとで皆で食べよう」
「はい」

まりえちゃんが嬉しそうに返事をした。

「ところでご主人は?」
「今日は仕事で幕張まで行ってる」

栗原さんがタルトの箱を冷蔵庫に仕舞いながら答える。

「何のお仕事なんですか?」

まりえちゃんが尋ねる。

「カメラマン。今日は結婚式の撮影だって」
「えー! 凄い!」

まりえちゃんの高い声が響く。

「全然すごくないよ。お給料安いし」

栗原さんが苦笑い。

「でもさ、好きな事を仕事にしていてカッコイイんだよね」
「ご主人との出会いは大学の映画研究会でしたよね」

まりえちゃんが言った。

「そうそう。まりえちゃん、よく覚えていたね。そこで拓ちゃんとも一緒だったんだけどさ」
「拓ちゃん?」

まりえちゃんがキョトンとする。

「あ、雨宮課長」

栗原さんが言い直した。

「栗原さん、雨宮課長を拓ちゃん呼びですか!」

まりえちゃんと一緒に驚いた。
大学からの知り合いだとは聞いていたけど、拓ちゃんと呼ぶ程拓海さんと親しかったんだ。

「友達だからね。ちょっと、ごめん」

栗原さんのスマホが鳴り、栗原さんがキッチンから出て行く。

ご主人からの電話かな?
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