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7話 速水さんとセクシー美女?
《20》
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「美樹ちゃん、お鍋はどう?」
土鍋の蓋を開けると、煮えた白菜とお肉の香りが湯気と一緒に広がる。
めちゃめちゃ美味しそう! テンション上がる!
「もう食べごろですよ」
「了解」
速水さんがキッチンからリビングにやって来る。
「いただきます!」
速水さんと一緒に声を合わせて、食べ始める。白菜とお肉のお出汁が出ていて、いつも以上に美味しい気がする。
私が作ると言いながら、ほとんど速水さんが作ったからかな。
「ミルフィーユ鍋美味しいね」
速水さんが言った。
速水さんは私と少し距離を空けて隣に座っている。
「本当、美味しく出来ましたね。速水さんが作ったからかな」
「味付けをしたのは美樹ちゃんだよ。いい味だね」
「かつおだしの素を入れただけですよ」
「白菜も剥いてくれたし」
「お肉と白菜を綺麗に並べたのは速水さんですけどね」
「美樹ちゃん、一人で作れなくて悔しいの?」
「別に」
「悔しいって顔に書いてある」
クスクスと速水さんが笑う。
「美樹ちゃんといると楽しいな」
ぽつりと速水さんが言った。
「私も楽しいです」
推しの速水さんとこんなに楽しい時間を過ごせるとは思わなかった。お兄ちゃん以外の男の人と自然に話せている事にも驚く。
「速水さんのお家にお邪魔して、一緒にお鍋まで頂けるなんて幸せ過ぎです」
「いちいち大げさだな」
「だって、推しの速水さんが目の前にいるだけで感無量というか」
「……推しか」
ワントーン低い声で速水さんが呟いた。視界がぼやけたままだから表情はよく見えないけど、急に笑顔が消えたように見える。
速水さん、どうしたんだろう?
私、何か落ち込ませる事を言った?
土鍋の蓋を開けると、煮えた白菜とお肉の香りが湯気と一緒に広がる。
めちゃめちゃ美味しそう! テンション上がる!
「もう食べごろですよ」
「了解」
速水さんがキッチンからリビングにやって来る。
「いただきます!」
速水さんと一緒に声を合わせて、食べ始める。白菜とお肉のお出汁が出ていて、いつも以上に美味しい気がする。
私が作ると言いながら、ほとんど速水さんが作ったからかな。
「ミルフィーユ鍋美味しいね」
速水さんが言った。
速水さんは私と少し距離を空けて隣に座っている。
「本当、美味しく出来ましたね。速水さんが作ったからかな」
「味付けをしたのは美樹ちゃんだよ。いい味だね」
「かつおだしの素を入れただけですよ」
「白菜も剥いてくれたし」
「お肉と白菜を綺麗に並べたのは速水さんですけどね」
「美樹ちゃん、一人で作れなくて悔しいの?」
「別に」
「悔しいって顔に書いてある」
クスクスと速水さんが笑う。
「美樹ちゃんといると楽しいな」
ぽつりと速水さんが言った。
「私も楽しいです」
推しの速水さんとこんなに楽しい時間を過ごせるとは思わなかった。お兄ちゃん以外の男の人と自然に話せている事にも驚く。
「速水さんのお家にお邪魔して、一緒にお鍋まで頂けるなんて幸せ過ぎです」
「いちいち大げさだな」
「だって、推しの速水さんが目の前にいるだけで感無量というか」
「……推しか」
ワントーン低い声で速水さんが呟いた。視界がぼやけたままだから表情はよく見えないけど、急に笑顔が消えたように見える。
速水さん、どうしたんだろう?
私、何か落ち込ませる事を言った?
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