推しの速水さん

コハラ

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7話 速水さんとセクシー美女?

《11》

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ぼんやりとした視界にスーツ姿の速水さんらしき人が見える。慌てた様子で踏んでしまった眼鏡を拾い上げ、「本当に申し訳ない」と、頭を下げた。

「あの、速水さんですか?」
「えっ」

頭を下げていた速水さんらしき人がハッとしたように顔を上げた。ぼやけた視界に麗しいお顔が!

心臓がドクンっと脈打った。

「あっ、美樹ちゃん……」

速水さんも今、私に気づいたよう。

「あなた、また懲りずに速水くんを追いかけているの!」

私と速水さんの間にぴしゃりとした女性の声が響いた。

図書館から出て来た紺色のエプロンの女性はきっとゆりさんだ。私から速水さんを庇うように私の前に立った。

「速水くんもハッキリとした態度を取らなきゃダメよ」

私の方を見ながら、速水さんに向かってゆりさんは言ったよう。

「ゆりさん、何してるんですか」

これは速水さんの声。

「速水くんを危険から守ってるのよ」
「彼女は危険な存在ではないです。今日は僕から会う約束をしたんです」
「えっ、そうなの?」

ゆりさんが速水さんの方を振り向いた。

「バーベキューの時も言ったけど、美樹ちゃんは僕の大事な友人だから敵視するのはやめて下さい」

嬉しさがこみ上がる。
大事な友人と言って頂けるなんて思わなかった。

「美樹ちゃん、行こう」

速水さんが私の腕を掴んで公園の方に向かって歩き出した。
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