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6話 おまけ 【Side 橋本卓也】
《1》
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北沢麗華との不倫報道のせいで、決まっていた映画、舞台、ドラマのスケジュールが全て白紙になった。
デビューから支えてくれた事務所の社長、マネージャーやスタッフには本当に申し訳ない。軽率な俺が悪かった。
しかし、反論させて欲しい。北沢麗華は結婚前から俺と付き合っていて、アパレルメーカーの社長と俺の二股だったんだ。
最後に麗華に会った時は「私、結婚するから、もう連絡しないで」だった。つまり俺は切り捨てられた方だ。
そして今回の不倫報道だって、北沢麗華の方から誘って来たんだ。「やっぱり卓也が忘れられない。会いたい」と言われて、最初は断っていたが、麗華からのメッセージがだんだん深刻になって来たから、一度だけならと思って会った。
会ったら「抱いて欲しい」と麗華に言われて、まあ、流れでそういう事になった訳だが。
麗華とは嫌いで別れた訳じゃないし、体の相性も良かったから、呼ばれれば会うようになって……。
「おい。俺の話、聞いてるか?」
隣に座る男に視線を向けると、スマホを見つめ、ため息をついている。
ここは渋谷にある会員制のバー。
集学館に勤める中学からの親友、速水文人と飲んでいる訳だが、こいつ、全然俺の話を聞いていない。何を話しても上の空。また仕事の事でも考えているのかと思ったが、覗いたスマホの画面に見えたのは女からのメールのよう。
「『昨日は速水さんとご一緒できてとても楽しかったです。試写会とレストランに連れて行って下さり、ありがとうございました』」
メールを読み上げると、文人が凄い勢いで睨んでくる。
バーで飲み始めて一時間、化石になりかけていた文人がやっと動いた。
「卓也、勝手に読むな」
文人が俺からスマホを隠すようにビジネスバッグに仕舞う。
「女か?」
「お前には関係ない」
「そう言いながらも聞いて欲しいって顔してるじゃん。気になる子か?」
「……よくわからない」
頬杖をついた文人がはあっとため息をつく。
これは重症だ。仕事一筋の男が珍しく女の事で悩んでいる。メールの相手は一体、どんな女だ?
デビューから支えてくれた事務所の社長、マネージャーやスタッフには本当に申し訳ない。軽率な俺が悪かった。
しかし、反論させて欲しい。北沢麗華は結婚前から俺と付き合っていて、アパレルメーカーの社長と俺の二股だったんだ。
最後に麗華に会った時は「私、結婚するから、もう連絡しないで」だった。つまり俺は切り捨てられた方だ。
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会ったら「抱いて欲しい」と麗華に言われて、まあ、流れでそういう事になった訳だが。
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「おい。俺の話、聞いてるか?」
隣に座る男に視線を向けると、スマホを見つめ、ため息をついている。
ここは渋谷にある会員制のバー。
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「『昨日は速水さんとご一緒できてとても楽しかったです。試写会とレストランに連れて行って下さり、ありがとうございました』」
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文人が俺からスマホを隠すようにビジネスバッグに仕舞う。
「女か?」
「お前には関係ない」
「そう言いながらも聞いて欲しいって顔してるじゃん。気になる子か?」
「……よくわからない」
頬杖をついた文人がはあっとため息をつく。
これは重症だ。仕事一筋の男が珍しく女の事で悩んでいる。メールの相手は一体、どんな女だ?
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