推しの速水さん

コハラ

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6話 速水さんの気持ち

《21》

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話す事が沢山あり過ぎて、いくちゃんは泊まる事になった。いつものようにいくちゃんと狭いシングルベッドに並んで寝ながら、速水さんの事、ゆりさんの事、タクヤ君の事を話した。

「えー! ゆりさんって作家だったの。で、橋本卓也とゆりさんが姉弟だったの! 何その展開! めっちゃ凄いんだけど!」
「いくちゃん、声が大きいよ」
「ごめん。驚き過ぎて。なんか速水さんって凄い人だね」
「そうだね。そんな速水さんが私と友達になってくれたのも信じられない」
「随分と距離が縮んだんだ。美樹、やったじゃん」
「うん。速水さんと友達になれて死ぬ程、嬉しい」
「なんか嬉しそうな顔に見えないけど」

いくちゃんに人差し指で頬を突かれる。

「嬉しいよ。今でも信じられないぐらいだもん。でも、それだけじゃ寂しいって速水さんとの別れ際に思ったんだよね」

別れ際の胸が締め付けられるような気持ちを思い出して、苦しくなる。前はこんな事なかったのに。

「今日は速水さんに抱きしめてもらったりしたから、欲張りになったのかな」
「抱きしめてもらったの!」
「うん。その、私が泣いていたから慰める為にだけど」
「ふーん。慰める為にね。他には?」
「他って」
「チューした?」

えっ!!

「する訳ないじゃん! 友達なんだから」

でも、速水さんに聞かれた。

――キスしたいとか、究極はエッチしたいって思う事かな

あれってどういう意味だったんだろう?
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