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6話 速水さんの気持ち
《11》
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初めて速水さんに会ったのが大学一年生の時だった事。書店で盗撮犯に突き飛ばされた所を助けてもらった事。それが切っ掛けで速水さんを意識するようになった事。それから偶然、見かけた速水さんを追いかけてしまった事を話した。
「最初は速水さんにお礼を言おうと思って、木曜日に図書館に来る速水さんを待っていたんです。でも、速水さんを見る度に怯んでしまって。きっと速水さんは覚えていないと思って。変な事を言う人だと思われたら嫌だなって……」
速水さんに気持ち悪い奴だと思われるのが嫌だった。声を掛ける勇気がなかった。
「それで、気づいたら速水さんを見に行くだけになってて。速水さんを見ているのが幸せというか。あの、速水さんは私の推しなんです。好きな俳優さんを見守るのと同じ感覚で速水さんの事を見ていました。決して速水さんのプライバシーを侵害しようとか、速水さんを傷つけようとかは思っていませんから。それに、速水さんを追いかけるのは図書館の中だけって決めてました。だから、速水さんの自宅も知らないし、集学館にお勤めだった事も知りませんでした」
速水さんに刃物を向けた女性とは違う事をわかって欲しい。私が願っているのは速水さんの幸せだけ。
「私のした事で不快な思いをされていたら本当にごめんなさい。もう二度と速水さんを付け回したりしません。速水さんと会うのも今日で最後にします。本当にごめんなさい」
速水さんに向かって頭を下げると、頭を撫でられた。驚いて顔を上げると、穏やかに微笑んだ速水さんがいた。
「不快な思いしていませんよ。それに僕は同じ告白をもう聞いています」
え!!
「まさか、一緒にワインを飲んだ日に」
速水さんが頷く。
「酔った卯月先生から聞きました。今日はその事をお話ししたかったんです。初めて聞いた時は物凄く驚きましたが、嫌ではなかった。一生懸命、僕への気持ちを話してくれる卯月先生が何だかいじらしくて、胸にぐっと来ました。卯月先生、ずっと僕の好きな所を話してくれたんですよ。あそこまで口説かれた事はなかったですよ」
僅かに頬を赤くした速水さんが照れたように微笑む。
全く記憶にない。
まさか、いくちゃんに話す感じで速水さんの前で速水さんを語ってしまったの?
うわっ! 恥ずかしい!
顔中が熱くなる。
「すみません! 本当にすみません!」
「ありがたかったですよ。卯月先生の言葉から沢山、元気を頂きましたし」
ありがたいって言ってくれるんだ……。
元気を頂いているのは私の方なのに。
「最初は速水さんにお礼を言おうと思って、木曜日に図書館に来る速水さんを待っていたんです。でも、速水さんを見る度に怯んでしまって。きっと速水さんは覚えていないと思って。変な事を言う人だと思われたら嫌だなって……」
速水さんに気持ち悪い奴だと思われるのが嫌だった。声を掛ける勇気がなかった。
「それで、気づいたら速水さんを見に行くだけになってて。速水さんを見ているのが幸せというか。あの、速水さんは私の推しなんです。好きな俳優さんを見守るのと同じ感覚で速水さんの事を見ていました。決して速水さんのプライバシーを侵害しようとか、速水さんを傷つけようとかは思っていませんから。それに、速水さんを追いかけるのは図書館の中だけって決めてました。だから、速水さんの自宅も知らないし、集学館にお勤めだった事も知りませんでした」
速水さんに刃物を向けた女性とは違う事をわかって欲しい。私が願っているのは速水さんの幸せだけ。
「私のした事で不快な思いをされていたら本当にごめんなさい。もう二度と速水さんを付け回したりしません。速水さんと会うのも今日で最後にします。本当にごめんなさい」
速水さんに向かって頭を下げると、頭を撫でられた。驚いて顔を上げると、穏やかに微笑んだ速水さんがいた。
「不快な思いしていませんよ。それに僕は同じ告白をもう聞いています」
え!!
「まさか、一緒にワインを飲んだ日に」
速水さんが頷く。
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僅かに頬を赤くした速水さんが照れたように微笑む。
全く記憶にない。
まさか、いくちゃんに話す感じで速水さんの前で速水さんを語ってしまったの?
うわっ! 恥ずかしい!
顔中が熱くなる。
「すみません! 本当にすみません!」
「ありがたかったですよ。卯月先生の言葉から沢山、元気を頂きましたし」
ありがたいって言ってくれるんだ……。
元気を頂いているのは私の方なのに。
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