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6話 速水さんの気持ち
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タクヤ君に連れて来られたのは海辺にあるシティホテル。20階のスカイラウンジからは茜色に染まる海が見えた。とってもロマンティックな眺め。こんな場所にいるのがなんか不思議。
よく考えると人気俳優のタクヤ君と2人だけでお茶をしているんなんて一般人の私にとっては夢のような状況……。
向かい側に座って私に笑いかけてくれるタクヤ君に急に緊張してくる。
「へえー、卯月ちゃんのお母さん、俺のファンなんだ。サインしようか?」
「いいんですか?」
「もちろんいいよ。あ、写真も撮る?」
タクヤ君のサービスの良さに戸惑う。
「卯月ちゃん、一緒に撮ろう」
タクヤ君が自分のスマホを出して、私とのツーショットを撮る。
「卯月ちゃんのアドレス教えて。送ってあげるから」
タクヤ君のスマホを差し出されて、自分のメールアドレスを入力した。
「よし。これで送信と」
うわっ。信じられない。タクヤ君とメールだなんて。
お母さんに言ったら興奮するだろうな。
「卯月ちゃんはさ、あやちゃんが好きなの?」
不意打ちの質問に頬がカアッと熱くなる。
「あ、あ、あの」
動揺し過ぎて言葉が詰まる。
ぷっとタクヤ君が笑い出した。
「卯月ちゃん、わかりやすっ。そのリアクション、好きって言ってるも同然だよ」
恥ずかしい。ますます頬が熱くなる。
「でも、あやちゃんは自分に向けられる好意に対しては鈍感だから。きっと、卯月ちゃんの気持ちに気づいてないよ」
そうなの? 速水さんって鈍感なの?
「それで俺の次にモテるから女性関係でいろいろとトラブルがあって苦労して来たワケ」
女性関係でいろいろトラブルって何?
「だから姉ちゃんが卯月ちゃんを牽制したのは、そういう背景があったワケ」
「牽制って?」
「姉ちゃんに言われただろ? 速水くんが好きなのは私だって。あれはあやちゃんをトラブルから守る為に言ったんだよ」
えっ! じゃあ……。
「速水さんが好きな人はゆりさんじゃないんですか?」
ふふっと笑って、タクヤ君がゆっくり紅茶を飲んだ。
「あやちゃんの好きな人、教えて欲しい?」
「はい!」
「ここではちょっと話せないな。部屋に行こうか」
「部屋?」
テーブルの上にカードキーが置かれた。
「ここのホテルに泊まっているんだ。今から俺の部屋に来る?」
ニッとタクヤ君が微笑んだ。
これって、肉体関係を迫られているパターン?
いや、タクヤ君に限ってそんな事ある訳ない……。
――あの子、新しい女の子と出会うと、まず口説くのよ
先ほどのゆりさんの発言を思い出して心配になる。
でも、速水さんの好きな人、知りたいし……。
「卯月ちゃん、どうする?」
「行きます!」
大丈夫。タクヤ君は無理矢理女性を押し倒すような人じゃない。私はタクヤ君を信じる!
よく考えると人気俳優のタクヤ君と2人だけでお茶をしているんなんて一般人の私にとっては夢のような状況……。
向かい側に座って私に笑いかけてくれるタクヤ君に急に緊張してくる。
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「いいんですか?」
「もちろんいいよ。あ、写真も撮る?」
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「卯月ちゃんのアドレス教えて。送ってあげるから」
タクヤ君のスマホを差し出されて、自分のメールアドレスを入力した。
「よし。これで送信と」
うわっ。信じられない。タクヤ君とメールだなんて。
お母さんに言ったら興奮するだろうな。
「卯月ちゃんはさ、あやちゃんが好きなの?」
不意打ちの質問に頬がカアッと熱くなる。
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動揺し過ぎて言葉が詰まる。
ぷっとタクヤ君が笑い出した。
「卯月ちゃん、わかりやすっ。そのリアクション、好きって言ってるも同然だよ」
恥ずかしい。ますます頬が熱くなる。
「でも、あやちゃんは自分に向けられる好意に対しては鈍感だから。きっと、卯月ちゃんの気持ちに気づいてないよ」
そうなの? 速水さんって鈍感なの?
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女性関係でいろいろトラブルって何?
「だから姉ちゃんが卯月ちゃんを牽制したのは、そういう背景があったワケ」
「牽制って?」
「姉ちゃんに言われただろ? 速水くんが好きなのは私だって。あれはあやちゃんをトラブルから守る為に言ったんだよ」
えっ! じゃあ……。
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「あやちゃんの好きな人、教えて欲しい?」
「はい!」
「ここではちょっと話せないな。部屋に行こうか」
「部屋?」
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