93 / 150
5話 速水さんとバーベーキュー。
《11》
しおりを挟む
「もう『月村蜜柑』は引退したって言ってるじゃない。今は図書館で働く普通の主婦よ」
バシバシとゆりさんが速水さんの肩を叩く。
知らなかった。月村蜜柑先生って引退していたんだ。
それよりも、図書館という言葉を聞いて、心臓が飛び出そうになる。
ゆりさん、私が図書館に通っている事に気づいていないよね? 初めましてって挨拶されたし。
「卯月ちゃん、そんなにおどおどしないで」
卯月ちゃん?
親し気な呼び方にさらにびっくり。
ゆりさんって、フレンドリーな人なの?
「あ、すみません。月村蜜柑先生にお会いできると思っていなかったので緊張してしまって。そうだ。あのこれ、つまらない物ですがお土産です」
リュックからデパートで買った菓子折りを取り出し、ゆりさんに差し出す。中身はチョコレートの詰め合わせだ。
「卯月ちゃん、ありがとう。チョコレートは大好きよ」
ゆりさんが菓子折りの入った紙袋を受け取る。
受け取ってもらえて良かった。
「卯月ちゃんって可愛いわね」
うふっとゆりさんが笑う。
可愛いと言われてどう返していいかわからず、あたふたしていると、「あやちゃん」という聞き覚えのある男性の声がした。
「あやちゃんはやめろ」
速水さんが近づいて来た黒パーカーの男性に言い返す。
男性の顔を見た瞬間、呼吸が止まりそうになった。
速水さんに親し気な表情を向けているのはタクヤ君……。
え? 何? そっくりさん?
バシバシとゆりさんが速水さんの肩を叩く。
知らなかった。月村蜜柑先生って引退していたんだ。
それよりも、図書館という言葉を聞いて、心臓が飛び出そうになる。
ゆりさん、私が図書館に通っている事に気づいていないよね? 初めましてって挨拶されたし。
「卯月ちゃん、そんなにおどおどしないで」
卯月ちゃん?
親し気な呼び方にさらにびっくり。
ゆりさんって、フレンドリーな人なの?
「あ、すみません。月村蜜柑先生にお会いできると思っていなかったので緊張してしまって。そうだ。あのこれ、つまらない物ですがお土産です」
リュックからデパートで買った菓子折りを取り出し、ゆりさんに差し出す。中身はチョコレートの詰め合わせだ。
「卯月ちゃん、ありがとう。チョコレートは大好きよ」
ゆりさんが菓子折りの入った紙袋を受け取る。
受け取ってもらえて良かった。
「卯月ちゃんって可愛いわね」
うふっとゆりさんが笑う。
可愛いと言われてどう返していいかわからず、あたふたしていると、「あやちゃん」という聞き覚えのある男性の声がした。
「あやちゃんはやめろ」
速水さんが近づいて来た黒パーカーの男性に言い返す。
男性の顔を見た瞬間、呼吸が止まりそうになった。
速水さんに親し気な表情を向けているのはタクヤ君……。
え? 何? そっくりさん?
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる