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5話 速水さんとバーベーキュー。
《1》
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速水さんからメールをもらった事をいくちゃんに伝えたかったけど、いくちゃんは大学に来なかった。
いくちゃんが休んだ分の講義のノートをコピーして、帰りにいくちゃんの所に届けに行った。
何度インターホンを押してもいくちゃんは出ない。
メッセージを送っても既読がつかない。
激しく言い合ったのが二日前。あれからいくちゃんは私のメッセージを見てくれない。
やっぱり避けられているのかな。
このままいくちゃんと離れちゃうのかな。
もう友達ではいられないのかな……。
胸が詰まって、目がうるうるしてくる。
いくちゃんの言う通り。私が意気地なしだったのがいけなかった。
その事に気づけたのはいくちゃんがハッキリと言ってくれたから。
いくちゃん、ごめんね。
私の為に言ってくれたのに、私、酷い事言ったよね。
『いくちゃん、明日速水さんに会ってくるよ。私、今度は逃げないからね』
そうメッセージを送って、いくちゃんのマンションを後にした。
速水さんと約束した日の朝。目覚めると一番にスマホをチェックした。速水さんから、今日はよろしくお願いいたしますとメールが届いていた。すぐによろしくお願いいたしますと返信する。
推しの速水さんとメッセージのやり取りが出来る事にいつもだったらこの上ない幸せを感じるけど、今朝は胸が重たい。
いくちゃんに送ったメッセージは既読もついていなかった。ここまでいくちゃんに無視されたのは初めてで、どうしたらいいかわからない。
せっかく速水さんに会える日なのに、元気が出ない。
「美樹、ぶっさいくな顔だな」
ダイニングでヨーグルトを食べていたら、よく見かける毛玉がついたスエット姿のお兄ちゃんが二階からおりて来た。
むっ。朝から余計な事を言わないで欲しい。
ただでさえ緊張したり、胸が苦しかったりして眠れなかったんだから。
「あのさ」と言って、お兄ちゃんがテーブルの傍で立ち止まる。
「いくちゃんとは仲直り出来たか?」
ポリポリと後頭部をかきながらお兄ちゃんがこっちを見る。
いくちゃんの名前を聞いて鳩尾の辺りが締め付けられる。
いくちゃんが休んだ分の講義のノートをコピーして、帰りにいくちゃんの所に届けに行った。
何度インターホンを押してもいくちゃんは出ない。
メッセージを送っても既読がつかない。
激しく言い合ったのが二日前。あれからいくちゃんは私のメッセージを見てくれない。
やっぱり避けられているのかな。
このままいくちゃんと離れちゃうのかな。
もう友達ではいられないのかな……。
胸が詰まって、目がうるうるしてくる。
いくちゃんの言う通り。私が意気地なしだったのがいけなかった。
その事に気づけたのはいくちゃんがハッキリと言ってくれたから。
いくちゃん、ごめんね。
私の為に言ってくれたのに、私、酷い事言ったよね。
『いくちゃん、明日速水さんに会ってくるよ。私、今度は逃げないからね』
そうメッセージを送って、いくちゃんのマンションを後にした。
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推しの速水さんとメッセージのやり取りが出来る事にいつもだったらこの上ない幸せを感じるけど、今朝は胸が重たい。
いくちゃんに送ったメッセージは既読もついていなかった。ここまでいくちゃんに無視されたのは初めてで、どうしたらいいかわからない。
せっかく速水さんに会える日なのに、元気が出ない。
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むっ。朝から余計な事を言わないで欲しい。
ただでさえ緊張したり、胸が苦しかったりして眠れなかったんだから。
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「いくちゃんとは仲直り出来たか?」
ポリポリと後頭部をかきながらお兄ちゃんがこっちを見る。
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