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4話 速水さんとデート?
《12》
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「ごめんなさい。今のは酔っ払いの戯言だと思って忘れて下さい。速水さんに好きな人がいる事もわかっていますから」
「好きな人?」
「好きな人に会いに図書館に通っているんでしょ? でも、速水さん、不倫はダメですよ。あの人、結婚しているんでしょ? お子さんもいるんでしょ?」
「もしかして……ゆりさんをご存知で?」
「知ってますよ。だって速水さんに会いたくて私も毎週木曜日図書館に通っているんだもん」
「えっ……」
「速水さん、不倫はダメですよ。編集者の仕事なくなっちゃいますよ。そうだ。速水さんに渡すものが」
唐突にハンカチとバームクーヘンを思い出した。
「えーと、バームクーヘンは母からです。先日はタクシーで送って頂きお世話になりました。それから、これは私が速水さんの為に選んだハンカチです。感謝のプレゼントです。どうぞお納めください」
テーブルの上に二つの紙袋を置く。
速水さんはなぜか強張った表情を浮かべている。
「速水さん?」
「受け取れません」
「遠慮しないで下さい」
「遠慮とかではなく。気持ち悪いです」
「えっ」
き、気持ち悪い……。
「卯月先生、あなたがしている事はストーカーですよ」
「す、ストーカー……。ち、違います。私は純粋に推し活をしているだけです。速水さんの迷惑になるような事は決してしていません」
「してますよ。こっそり付きまとわれるだけで迷惑です。プライバシーの侵害です」
速水さんが怖い顔で睨んでいる。
「ごめんなさい。速水さん。ごめんなさい。ごめんなさい」
「もう二度とつきまとわないで下さい」
速水さんが立ち上がる。
「待って速水さん!」
速水さんを追いかけようとしたら、突然現れた崖から落ちた。
真っ逆さまに落ちていく。
「速水さーん!」
海に叩きつけられると思った瞬間、背中に鈍い痛みを感じて目を開けた。
右手をあげた姿勢でベッドから落ちていた。
眼鏡をかけて部屋を見回すと、自分の部屋だった。
あれ? 速水さんは?
「好きな人?」
「好きな人に会いに図書館に通っているんでしょ? でも、速水さん、不倫はダメですよ。あの人、結婚しているんでしょ? お子さんもいるんでしょ?」
「もしかして……ゆりさんをご存知で?」
「知ってますよ。だって速水さんに会いたくて私も毎週木曜日図書館に通っているんだもん」
「えっ……」
「速水さん、不倫はダメですよ。編集者の仕事なくなっちゃいますよ。そうだ。速水さんに渡すものが」
唐突にハンカチとバームクーヘンを思い出した。
「えーと、バームクーヘンは母からです。先日はタクシーで送って頂きお世話になりました。それから、これは私が速水さんの為に選んだハンカチです。感謝のプレゼントです。どうぞお納めください」
テーブルの上に二つの紙袋を置く。
速水さんはなぜか強張った表情を浮かべている。
「速水さん?」
「受け取れません」
「遠慮しないで下さい」
「遠慮とかではなく。気持ち悪いです」
「えっ」
き、気持ち悪い……。
「卯月先生、あなたがしている事はストーカーですよ」
「す、ストーカー……。ち、違います。私は純粋に推し活をしているだけです。速水さんの迷惑になるような事は決してしていません」
「してますよ。こっそり付きまとわれるだけで迷惑です。プライバシーの侵害です」
速水さんが怖い顔で睨んでいる。
「ごめんなさい。速水さん。ごめんなさい。ごめんなさい」
「もう二度とつきまとわないで下さい」
速水さんが立ち上がる。
「待って速水さん!」
速水さんを追いかけようとしたら、突然現れた崖から落ちた。
真っ逆さまに落ちていく。
「速水さーん!」
海に叩きつけられると思った瞬間、背中に鈍い痛みを感じて目を開けた。
右手をあげた姿勢でベッドから落ちていた。
眼鏡をかけて部屋を見回すと、自分の部屋だった。
あれ? 速水さんは?
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