推しの速水さん

コハラ

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3話 推しの為にできる事

《16》

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待ち合わせた公園の入り口を見て、心臓がドキンっと高鳴った。

待ち合わせ時間15分前なのに、もう速水さんが立っていた。
遠目でもカッコ良さが伝ってくる。

速水さんは顔が小さくて手足が長い。その完璧な体型を包み込むグレーのスーツは速水さんのかっこ良さを強調している。これほどスーツが似合う人がいるんだろうか。ああ、神は私に今、奇跡を見せてくれている。

この完璧なお姿を写真に収めなければ罰が当たる!

カーディガンのポケットからスマホを取り出し、速水さんに向ける。
撮影モードにして、速水さんをズーム。

目鼻立ちの整った速水さんのお顔がクッキリする。

うほっ。今日もなんと麗しい! キリリとした眉に優しそうな二重の目、通った鼻筋、セクシーな唇。まるで少女漫画から抜け出して来たかのようなイケメン。完璧すぎる。

キュンキュンして、心臓がもう壊れそう。

今日はお姿を拝見するだけではなく、直接お会いして、お話がでると思ったら、感極まって泣きそうになる。

生きていて良かった。今が幸せのピークだ。

よし、写真も撮ったし、速水さんをこれ以上、お待たせしてはいけない。

今日はちゃんとお礼を伝えて、ハンカチを渡して、お母さんに持たされたバームクーヘンも渡さなきゃ。

「速水くん!」

スマホを仕舞って、歩き出そうとしたら、大きな声がした。

ゆりさんの声だ。

公園の中から速水さんに向かって歩いてくるボルドーのワンピース姿のゆりさんがいた。

ゆりさんは速水さんの前で立ち止まり、ひらひらと手を振る。

ゆりさん登場でびっくり!

速水さんからは何も聞いていない。
速水さんと私の二人だけだと思っていたけど、まさか、ゆりさんも一緒?
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