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3話 推しの為にできる事
《5》
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――卯月先生、ご自宅は?
そう速水さんに聞かれて、住所を口にした。
電車に乗っていたはずなのに、いつの間にかタクシーに乗っていて、私は後部座席で横になっていた。
頭は速水さんの膝の上。
――卯月先生、寒いですか?
両手で両腕をさすっていたら速水さんに聞かれた。
――すこしだけ。
そう答えると、速水さんがスーツの上着を脱いで、横になったままの私にかける。
夢なのに柑橘系の爽やかな速水さんの匂いを感じた。
最近の夢は匂いも感じる事ができるんだと思いながら目を閉じた。
具合は悪いけど、幸せだった。
※
「うーん」
頭が痛い。
そう思って目を開けると、お母さんの丸顔があった。
「美樹、起きた? 喉渇いたでしょう。はい。スポーツドリンクよ。それから風邪薬」
ベッドから起き上がって、お母さんに言われるままスポーツドリンクで風邪薬を飲んだ。
「まだ夜だから、朝まで寝なさい」
「うん」
出掛けた時の服と違ってパジャマになっていた。
あれ? 私、出かけて、それからどうやって帰って来たの?
電車に乗った記憶はあるけど、その先が思い出せない。
「美樹、出版社の人に送ってもらったのよ。びっくりしたわよ。お母さん、美樹がネットで小説を書いていたなんて知らなかったわ。集学館って言ったら大手じゃない。そんな大手出版社の人に目をかけてもらっているなんて凄いわね」
出版社の人……。
集学館……。
まさか――!
「速水さん! 速水さんが送ってくれたの?」
そう速水さんに聞かれて、住所を口にした。
電車に乗っていたはずなのに、いつの間にかタクシーに乗っていて、私は後部座席で横になっていた。
頭は速水さんの膝の上。
――卯月先生、寒いですか?
両手で両腕をさすっていたら速水さんに聞かれた。
――すこしだけ。
そう答えると、速水さんがスーツの上着を脱いで、横になったままの私にかける。
夢なのに柑橘系の爽やかな速水さんの匂いを感じた。
最近の夢は匂いも感じる事ができるんだと思いながら目を閉じた。
具合は悪いけど、幸せだった。
※
「うーん」
頭が痛い。
そう思って目を開けると、お母さんの丸顔があった。
「美樹、起きた? 喉渇いたでしょう。はい。スポーツドリンクよ。それから風邪薬」
ベッドから起き上がって、お母さんに言われるままスポーツドリンクで風邪薬を飲んだ。
「まだ夜だから、朝まで寝なさい」
「うん」
出掛けた時の服と違ってパジャマになっていた。
あれ? 私、出かけて、それからどうやって帰って来たの?
電車に乗った記憶はあるけど、その先が思い出せない。
「美樹、出版社の人に送ってもらったのよ。びっくりしたわよ。お母さん、美樹がネットで小説を書いていたなんて知らなかったわ。集学館って言ったら大手じゃない。そんな大手出版社の人に目をかけてもらっているなんて凄いわね」
出版社の人……。
集学館……。
まさか――!
「速水さん! 速水さんが送ってくれたの?」
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