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2話 速水さんからのオファー
《23》
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今日は終わりの時間が坂本さんと同じになり、もう遅いから駅まで一緒に行きましょうと坂本さんに言われた。
ビルの外に出ると、真っ暗だった。
昼間より冷たい風が頬を掠めた。秋がどんどん深まってくる。
「内田さん、いつもこんな遅い時間まで働いているの?」
「8時までのシフトは時給がいいので、週二で入れてます。坂本さんはいつも5時で終わりなのに、今日は珍しいですね」
「この間、休んだ時の振り替えで入れてもらったの」
「お嬢さんが怪我をしたんですよね? 大丈夫ですか?」
坂本さんには小5のお嬢さんと中一の息子さんがいる。
「うん。捻挫しちゃって。でも、骨折していなくて良かったわよ。もう、女の子のくせに木から飛び降りて足を痛めるんだから、いやんなっちゃう」
「木から飛び降りたんですか?」
「猿みたいでしょ? 全然女の子らしくないのよ。上がお兄ちゃんだからかもしれないけど」
「あ、私も兄がいます」
「そうなの? 内田さんは大人しいからお兄ちゃんがいるように見えなかった。お兄ちゃんがいる子って私の周りだと気が強い子ばかりだから」
「兄の前では全然、大人しくないですよ。今でも怒鳴り合いのケンカしますから」
「内田さんが怒鳴る所、想像できない」
坂本さんの賑やかな笑い声が響く。いつも明るい人で、坂本さんと話すとほっとする。
「じゃあ、お疲れ様」
改札を通った所で坂本さんと別れた。
ホームに向かって歩いている時、私の中の速水さんセンサーが働く。
私の横を通り過ぎた長身の男の人を見ると、今日見たチャコールグレーのスーツ姿の速水さんだった。
心臓がトクンと高鳴る。
鞄を持って歩く速水さんの後ろ姿を思わず追いかけた。
ビルの外に出ると、真っ暗だった。
昼間より冷たい風が頬を掠めた。秋がどんどん深まってくる。
「内田さん、いつもこんな遅い時間まで働いているの?」
「8時までのシフトは時給がいいので、週二で入れてます。坂本さんはいつも5時で終わりなのに、今日は珍しいですね」
「この間、休んだ時の振り替えで入れてもらったの」
「お嬢さんが怪我をしたんですよね? 大丈夫ですか?」
坂本さんには小5のお嬢さんと中一の息子さんがいる。
「うん。捻挫しちゃって。でも、骨折していなくて良かったわよ。もう、女の子のくせに木から飛び降りて足を痛めるんだから、いやんなっちゃう」
「木から飛び降りたんですか?」
「猿みたいでしょ? 全然女の子らしくないのよ。上がお兄ちゃんだからかもしれないけど」
「あ、私も兄がいます」
「そうなの? 内田さんは大人しいからお兄ちゃんがいるように見えなかった。お兄ちゃんがいる子って私の周りだと気が強い子ばかりだから」
「兄の前では全然、大人しくないですよ。今でも怒鳴り合いのケンカしますから」
「内田さんが怒鳴る所、想像できない」
坂本さんの賑やかな笑い声が響く。いつも明るい人で、坂本さんと話すとほっとする。
「じゃあ、お疲れ様」
改札を通った所で坂本さんと別れた。
ホームに向かって歩いている時、私の中の速水さんセンサーが働く。
私の横を通り過ぎた長身の男の人を見ると、今日見たチャコールグレーのスーツ姿の速水さんだった。
心臓がトクンと高鳴る。
鞄を持って歩く速水さんの後ろ姿を思わず追いかけた。
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