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2話 速水さんからのオファー
《13》
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「ゆりさん、その話、よく覚えていたね」
「印象的だったから覚えていたのよ。速水くん、新人の子に自宅マンションまで来られたって言ってたじゃない。そのせいで引っ越す事になったんでしょ?」
「あの時は作品作りに熱心になり過ぎたというか。彼女の中で付き合っている事になっていたとは思わなかった」
「今回もそんな事にならないように気をつけなよ。速水くんって昔から変な子に好かれるのよね」
「あれから、作家さんとはちゃんと線を引いて付き合うようになったよ。それに『今日ドキ』の作家さんは僕を怖がっているようだったし、そんな感情は抱かないよ」
「だといいけど」
「あ、でも『好き』って言われた」
「ちょっと速水くん、気をつけなよ。またナイフ向けられる事になるよ」
「あんな事にはもうならないって」
ハハっと笑う速水さんの声を聞いて、いろいろと自分がヤバイ事をしている事に気づく。
まず『速水さん、好き』を速水さんがちゃんと聞いていたとは思わなかった。スルーされたから聞こえなかったと思っていたのに。
それに新人の子の話……。
背筋がゾクッとした。
速水さん、明るい調子で話していたけど、自宅まで来られて、ナイフまで向けられたなんて、かなり怖い思いをしたはず。
私の推し活を知ったら、速水さん、私をストーカーだと思うよね。それで前の事を思い出して、きっと嫌な思いをさせる。もしかしたらトラウマになるレベルかも。
推しの速水さんに精神的ダメージを与える訳にはいかない。
私の存在が速水さんの迷惑になるなら、これ以上、関わってはいけない。
私に幸せをくれた速水さんを不幸にしたくない。速水さんにはいつも幸せでいて欲しい。
悲しいけど、推し活は今日で終わりにしよう。
TL小説もお断りして、速水さんとの関わりを完全に絶った方がいい。そうすれば私の推し活がバレる事もきっとない。
「印象的だったから覚えていたのよ。速水くん、新人の子に自宅マンションまで来られたって言ってたじゃない。そのせいで引っ越す事になったんでしょ?」
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「今回もそんな事にならないように気をつけなよ。速水くんって昔から変な子に好かれるのよね」
「あれから、作家さんとはちゃんと線を引いて付き合うようになったよ。それに『今日ドキ』の作家さんは僕を怖がっているようだったし、そんな感情は抱かないよ」
「だといいけど」
「あ、でも『好き』って言われた」
「ちょっと速水くん、気をつけなよ。またナイフ向けられる事になるよ」
「あんな事にはもうならないって」
ハハっと笑う速水さんの声を聞いて、いろいろと自分がヤバイ事をしている事に気づく。
まず『速水さん、好き』を速水さんがちゃんと聞いていたとは思わなかった。スルーされたから聞こえなかったと思っていたのに。
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背筋がゾクッとした。
速水さん、明るい調子で話していたけど、自宅まで来られて、ナイフまで向けられたなんて、かなり怖い思いをしたはず。
私の推し活を知ったら、速水さん、私をストーカーだと思うよね。それで前の事を思い出して、きっと嫌な思いをさせる。もしかしたらトラウマになるレベルかも。
推しの速水さんに精神的ダメージを与える訳にはいかない。
私の存在が速水さんの迷惑になるなら、これ以上、関わってはいけない。
私に幸せをくれた速水さんを不幸にしたくない。速水さんにはいつも幸せでいて欲しい。
悲しいけど、推し活は今日で終わりにしよう。
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