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1話 出会い
《9》
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「うそー! 追いかけなかったの!」
スマホからいくちゃんの大きな声が響いた。
二階の自室で電話をしていた。
隣のお兄ちゃんの部屋にも聞こえそうな大きな声で冷ッとする。
「いくちゃん、声デカイよ」
「だって、美樹があまりにも不甲斐ないから。バイトサボって尾行までしたのに声をかけなかったなんて」
一年以上ハヤミさんと会う事を待ち望んでいたのに、いざ会うと緊張して話しかけられなかった。本当、私って意気地なしだ。
「いくちゃん、私ってダメだね。ハヤミさんに会ったらお礼を言おうとずっと思っていたのに、何も言えなかったよ」
「まあ、そういう所が美樹らしいけど。でも、会った場所が図書館で良かったじゃん。本を借りて行ったんでしょ?」
「うん。返却日は二週間後の木曜日だけど、ハヤミさん、週一で図書館に来てるらしいんだ」
いくちゃんがぷっと笑う。
「それ、誰に聞いたの?」
「図書館の人が噂してた。大抵木曜日の午後六時頃に来るんだって。今日は三時だったからいつもより早いって図書館の人たちが話してた」
「図書館の人に覚えられる程、ハヤミさんは常連なんだ」
「そうみたい」
「じゃあ、来週の木曜日、私も図書館に行こうかな」
「えっ」
「美樹が思い続けている人がどんな人か見たいし」
「普通の人だよ。いくちゃんが興味を持つような人じゃないよ」
「なんか美樹、私に見られたくないみたいじゃない。ひょっとして、私がハヤミさんを好きになりそうで心配?」
「そ、そんな事ないよ」
「心配しないで。美樹の好きな人を取ったりしないから」
クスクスといくちゃんが笑う。
好きな人って言われて、かあっと頬が熱くなる。
「ハヤミさんは恩人で好きな人じゃないもん」
「まだ認めないんだ。まあいいけどね。好きな人じゃないなら、来週の木曜日、一緒に図書館に行ってもいいよね?」
「う、うん」
いくちゃんがハヤミさんを好きになりそうで、心配だったけど、言い出したら絶対に引かない事を知っているから、一緒に行くしかなかった。
いくちゃん、ハヤミさんを見てどんな反応するだろう?
カッコ良すぎて驚くかな?
スマホからいくちゃんの大きな声が響いた。
二階の自室で電話をしていた。
隣のお兄ちゃんの部屋にも聞こえそうな大きな声で冷ッとする。
「いくちゃん、声デカイよ」
「だって、美樹があまりにも不甲斐ないから。バイトサボって尾行までしたのに声をかけなかったなんて」
一年以上ハヤミさんと会う事を待ち望んでいたのに、いざ会うと緊張して話しかけられなかった。本当、私って意気地なしだ。
「いくちゃん、私ってダメだね。ハヤミさんに会ったらお礼を言おうとずっと思っていたのに、何も言えなかったよ」
「まあ、そういう所が美樹らしいけど。でも、会った場所が図書館で良かったじゃん。本を借りて行ったんでしょ?」
「うん。返却日は二週間後の木曜日だけど、ハヤミさん、週一で図書館に来てるらしいんだ」
いくちゃんがぷっと笑う。
「それ、誰に聞いたの?」
「図書館の人が噂してた。大抵木曜日の午後六時頃に来るんだって。今日は三時だったからいつもより早いって図書館の人たちが話してた」
「図書館の人に覚えられる程、ハヤミさんは常連なんだ」
「そうみたい」
「じゃあ、来週の木曜日、私も図書館に行こうかな」
「えっ」
「美樹が思い続けている人がどんな人か見たいし」
「普通の人だよ。いくちゃんが興味を持つような人じゃないよ」
「なんか美樹、私に見られたくないみたいじゃない。ひょっとして、私がハヤミさんを好きになりそうで心配?」
「そ、そんな事ないよ」
「心配しないで。美樹の好きな人を取ったりしないから」
クスクスといくちゃんが笑う。
好きな人って言われて、かあっと頬が熱くなる。
「ハヤミさんは恩人で好きな人じゃないもん」
「まだ認めないんだ。まあいいけどね。好きな人じゃないなら、来週の木曜日、一緒に図書館に行ってもいいよね?」
「う、うん」
いくちゃんがハヤミさんを好きになりそうで、心配だったけど、言い出したら絶対に引かない事を知っているから、一緒に行くしかなかった。
いくちゃん、ハヤミさんを見てどんな反応するだろう?
カッコ良すぎて驚くかな?
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