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1話 出会い
《1》
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大学一年生の時、書店でアルバイトをしていた。
アルバイト中、異様な雰囲気を漂わせて入店して来た男がいた。
その男は太めの体型で、顔を隠すように黒い帽子、サングラス、マスクを付けていた。そして、女性誌が並ぶ書棚をぐるぐると何周もしていた。本を探しているようには見えなかった。
品出しをしながら、男に注意を向けていると、男はスーッと立ち読みしている女性の後ろに立った。
女性は二十代ぐらいで、髪が長く短いスカートをはいていた。後ろに立った男の気配には全く気づいていないようだった。
男は女性の後ろに立ったまま、キョロキョロと左右を確認するように見たあと、いきなり屈んで黒い何かを女性の足元に置いた。
黒い何かがスマホだとわかった時、女性のスカートの中を映している事に気づいた。
店長から最近、店に盗撮犯が出没するから気をつけるようにと言われていた。きっと目の前の男が盗撮犯。
女性のスカートの中を盗撮するなんて許せない。
怖いけど、何とかしなければ。
思いきって女性の後ろに立つ男の腕を掴む。
男の顔がこっちを向き、サングラス越しの目と合った瞬間、怖くて身が竦んだ。
「と、と、と」
「はあ?」
威圧的な低い声がして、びくっとなる。
逃げたい。
でも、女性のスカートの中を守らなければ。
「と、盗撮していますよね?」
次の瞬間、男は凄い力で私の腕を払い、突き飛ばした。
勢いよく後ろにいた人にぶつかり、床に倒れそうになる。ぶつかった人が私を支えてくれた。
「こら! 女性を突き飛ばして逃げるのか!」
私を支えたままスーツの男性が盗撮犯に向かって怒鳴った。
盗撮犯が一瞬立ち竦み、その隙をつくようにして、スーツの男性が盗撮犯を投げ飛ばした。バタンっと床に倒れた男を今度はスーツの男性が取り押さえる。
「は、放せ」
押さえつけられたまま、盗撮犯がバタバタと手足を動かすが、寝技が決まっていて、抜け出せないよう。
駆けつけて来た店長に「何があったの?」と聞かれて、盗撮犯だと伝えた。店長がすぐに警察に通報し、警察官が来るまでスーツの男性は盗撮犯を取り押さえていてくれた。
スーツの男性は警察官に名前を聞かれて「ハヤミ」と答えた。私の脳みそにしっかりとカタカナでハヤミさんの名前が刻まれた瞬間だった。
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女性は二十代ぐらいで、髪が長く短いスカートをはいていた。後ろに立った男の気配には全く気づいていないようだった。
男は女性の後ろに立ったまま、キョロキョロと左右を確認するように見たあと、いきなり屈んで黒い何かを女性の足元に置いた。
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店長から最近、店に盗撮犯が出没するから気をつけるようにと言われていた。きっと目の前の男が盗撮犯。
女性のスカートの中を盗撮するなんて許せない。
怖いけど、何とかしなければ。
思いきって女性の後ろに立つ男の腕を掴む。
男の顔がこっちを向き、サングラス越しの目と合った瞬間、怖くて身が竦んだ。
「と、と、と」
「はあ?」
威圧的な低い声がして、びくっとなる。
逃げたい。
でも、女性のスカートの中を守らなければ。
「と、盗撮していますよね?」
次の瞬間、男は凄い力で私の腕を払い、突き飛ばした。
勢いよく後ろにいた人にぶつかり、床に倒れそうになる。ぶつかった人が私を支えてくれた。
「こら! 女性を突き飛ばして逃げるのか!」
私を支えたままスーツの男性が盗撮犯に向かって怒鳴った。
盗撮犯が一瞬立ち竦み、その隙をつくようにして、スーツの男性が盗撮犯を投げ飛ばした。バタンっと床に倒れた男を今度はスーツの男性が取り押さえる。
「は、放せ」
押さえつけられたまま、盗撮犯がバタバタと手足を動かすが、寝技が決まっていて、抜け出せないよう。
駆けつけて来た店長に「何があったの?」と聞かれて、盗撮犯だと伝えた。店長がすぐに警察に通報し、警察官が来るまでスーツの男性は盗撮犯を取り押さえていてくれた。
スーツの男性は警察官に名前を聞かれて「ハヤミ」と答えた。私の脳みそにしっかりとカタカナでハヤミさんの名前が刻まれた瞬間だった。
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