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戦闘
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『撃てぇええーーー!!』
エリーの掛け声が甲板に響き、それぞれの持ち場についている男たちが対竜槍を一斉に放つ。
警備船に装備されている火薬で巨大な矢を発射するこの兵器は世界中で使われており、その威力は、直撃さえすればドラゴンの硬い皮膚をも貫ける程に強力だ。
マストの上から一発、水竜が衝突してきた左舷から二発が放たれ、海面に水飛沫が上がる。
『当たったか!
確認を急げ!!』
グレンダの声が飛び、警備兵の一人が走るが、次の衝撃で船が横に大きく揺れ派手に転んだ。
『くっ…!船尾に行ったぞ!
すぐに対竜槍を放て!!』
『きゃああああーー!!』
グレンダの怒声とエリーの悲鳴がかぶさる。
この船の底はドラゴンの牙対策として金属板を貼っているが、この水竜は体当たりのみで攻撃してきており、ほぼ木造の船体は大きく軋みヒビが入り出していた。
『これは…野生ではなく、明らかに訓練を受けた軍用のドラゴンの動きだ!』
『軍用!?いったいどこの国のですか!?』
グレンダの言葉にエリーが泣きそうな声で返す。
『分からんが、訓練されたドラゴンである以上は我々に勝目はない!
直ぐに総員避難の準備に取り掛かれ!!
俺が援護をする!エリー!お前はボートを下ろしてアフレッタ一行の民間人を優先して避難させるんだ!!』
『は、はい!!』
揺れる甲板を走りデッキに飛び込んで行ったエリーを見送ったグレンダは、再び左舷に姿を現した巨大なドラゴンを見据えた。
水面から覗く目玉が不気味にギョロリと動いている。
『バケモノめぇ~!!』
マストに居る警備兵が、対竜槍を水竜の頭めがけて放ったが、水竜は再び海中へと潜る。
『衝撃に備えよ!!』
グレンダの声よりも早く船が大きく傾き、マストから警備兵が転落し甲板に叩きつけられた。
『クソ!大丈夫か!?』
グレンダがよろめきながらも駆け寄るが、その警備兵はピクリとも動かない。
『団長ーー!!
ボートを下ろします!!』
呼ばれたグレンダが振り返ると、そこにはエリーやアフレッタたち数人が出て来ていた。
『待て!ドラゴンの位置を確認しろ!!』
下手にボートを下ろして逃げようものなら、ドラゴンのかっこうの餌食にされるだけだとグレンダは考えていた。
だが、初めてのドラゴン戦でパニックになっているエリーは、船体に取り付けられているボートにアフレッタたちを誘導して乗せだしていたのだ。
『待て!エリー!!』
グレンダの指示も届かず、アフレッタ一行は海へと放たれた。
そして、その光景を海中の水竜は見逃さなかった。
巨体をしならせ牙を剥きボートの方へと泳ぎだしていた。
『クッ…!対竜槍を放て!!』
グレンダはそう叫ぶが、もはや大混乱の船上ではその声は誰にも届かない。
警備船の横に浮かぶ小舟へと真っ直ぐと向かっていくドラゴンの背鰭を、エリーは呆然と見ているしかなかった。
エリーの掛け声が甲板に響き、それぞれの持ち場についている男たちが対竜槍を一斉に放つ。
警備船に装備されている火薬で巨大な矢を発射するこの兵器は世界中で使われており、その威力は、直撃さえすればドラゴンの硬い皮膚をも貫ける程に強力だ。
マストの上から一発、水竜が衝突してきた左舷から二発が放たれ、海面に水飛沫が上がる。
『当たったか!
確認を急げ!!』
グレンダの声が飛び、警備兵の一人が走るが、次の衝撃で船が横に大きく揺れ派手に転んだ。
『くっ…!船尾に行ったぞ!
すぐに対竜槍を放て!!』
『きゃああああーー!!』
グレンダの怒声とエリーの悲鳴がかぶさる。
この船の底はドラゴンの牙対策として金属板を貼っているが、この水竜は体当たりのみで攻撃してきており、ほぼ木造の船体は大きく軋みヒビが入り出していた。
『これは…野生ではなく、明らかに訓練を受けた軍用のドラゴンの動きだ!』
『軍用!?いったいどこの国のですか!?』
グレンダの言葉にエリーが泣きそうな声で返す。
『分からんが、訓練されたドラゴンである以上は我々に勝目はない!
直ぐに総員避難の準備に取り掛かれ!!
俺が援護をする!エリー!お前はボートを下ろしてアフレッタ一行の民間人を優先して避難させるんだ!!』
『は、はい!!』
揺れる甲板を走りデッキに飛び込んで行ったエリーを見送ったグレンダは、再び左舷に姿を現した巨大なドラゴンを見据えた。
水面から覗く目玉が不気味にギョロリと動いている。
『バケモノめぇ~!!』
マストに居る警備兵が、対竜槍を水竜の頭めがけて放ったが、水竜は再び海中へと潜る。
『衝撃に備えよ!!』
グレンダの声よりも早く船が大きく傾き、マストから警備兵が転落し甲板に叩きつけられた。
『クソ!大丈夫か!?』
グレンダがよろめきながらも駆け寄るが、その警備兵はピクリとも動かない。
『団長ーー!!
ボートを下ろします!!』
呼ばれたグレンダが振り返ると、そこにはエリーやアフレッタたち数人が出て来ていた。
『待て!ドラゴンの位置を確認しろ!!』
下手にボートを下ろして逃げようものなら、ドラゴンのかっこうの餌食にされるだけだとグレンダは考えていた。
だが、初めてのドラゴン戦でパニックになっているエリーは、船体に取り付けられているボートにアフレッタたちを誘導して乗せだしていたのだ。
『待て!エリー!!』
グレンダの指示も届かず、アフレッタ一行は海へと放たれた。
そして、その光景を海中の水竜は見逃さなかった。
巨体をしならせ牙を剥きボートの方へと泳ぎだしていた。
『クッ…!対竜槍を放て!!』
グレンダはそう叫ぶが、もはや大混乱の船上ではその声は誰にも届かない。
警備船の横に浮かぶ小舟へと真っ直ぐと向かっていくドラゴンの背鰭を、エリーは呆然と見ているしかなかった。
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