愛し愛され最期には。

愛された後に。

一目惚れでした、彼を拾ったのは。
たった半年、もしくはそれ以下の短い時間でした。
お家に帰れば誰かがいる安心感と幸福にいつの間にか慣れていたのかも知れません。

ある時、彼とデパートへ行きました。その帰り、会社の同僚と出会いついつい話し込んでしまいましたが、彼は話し終わるまでその場で待っていてくれました。
お家に帰ってから私は彼と共通の話題が出来たようで嬉しかったのです。また彼が小倉くんと会ったら、彼らが仲良く話せたらいいなと、そう思って私は彼に小倉くんの話ばかりしました。

その二ヶ月後、彼は置き手紙を残して消えました。
(なんで、どうして、だって…)
そんなことばかり思いました。置き手紙には、私が望んでやまなかった二文字とごめんなさい、ありがとうの文字が残されていました。

それから何年も経ち、私は両親の勧めでお見合いをし、結婚しました。
相手にはとても申し訳ないことをしている自覚はありましたが、彼のことはどうしても忘れられませんでした。

そして更に月日が経ち、私は静かに息を引き取りました。

もしも、生まれ変われるなら、どんな出会いだっていい。だから今度こそ貴方と一緒にいられますように。