異世界で山家として生きる者。

hikumamikan

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第62話 魔物は繁殖行為で生まれる。

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 この世界にはダンジョンは無い。

 魔石は真珠みたいな癌の様な物であり、持ち合わせない個体もいる。
 だから今年の様に大繁殖はあっても、スタンビートなんて無い。
 古代文明の滅亡は他世界の寄生虫による処が大きい。


 十神が絶えず索敵しているが、どうやら前の戦いで死滅とみて良いそうだ。
 寄生虫(寄生獣?)の正体を見たのは私一人だろうが、古の文献には載っているらしい。

 ただ幸いな事は人類には寄生出来なかった事だ。
 何故だか分からないが知能の高いモノには寄生出来なかったみたい。
 そう言えば魔物の人間って見た事も聞いた事も無い。
 魔素も人の脳は支配出来ないのかも。
 でも魔法は使える?。

『利用し利用されるそんな間柄かな』
「イシタント様・・・魔人っているのですか?」
『別に魔素に操られんでも、人は勝手に犯罪を行う。人そのものが魔獣に近いかな』
「え~と、この世界の人はイシタント様が造ったのですよね」
『そうなるな』
「それって不良品では・・・」
『聞こえは悪いが壮大な実験じゃ。じゃがのう人を餌や生け贄にするつもりで創造した訳では無い。全ては始まりが有れば終わりが有る。その時の為に要るのじゃ』
「この・・・世界の・・・終わりですか」
『全ての終わりでは無いが、この世界の終わりより規模は大きい。創造神の言う事では無いが、更にこのワシを造りしモノの世界が終る。その時の脱出の機会が無いか探しておる。こう言えば判るかな』
「科学や魔法を発展させ星が滅ぶ前に移住できる所を探す・・・、それに似ている事でしょうか?」
『そうじゃな。違っているのは何時終るか見当がつかん事と、その理由もわからん事じゃな。規模が大きくて移住してもそこも終るかも知れん。ワシ等神が知っているのはある程度残る事と再生が有る事かな、それは範囲が大きくてあの遥かな宇宙の彼方かも、或いはこの地かも知れない。形有るものは全て崩れるが、人で言う所のスパンが違うだけじゃ。この世界を見て解るじゃろ、貴族だからと偉そうにする。狭い世界の哀れな生き物そのものじゃな。一つの星で生き物が生まれその星ごと消えて行く。何の為で有ろうか?』
「いや、創造神がそれいっちゃあ」
『で有ろう・・・。でもな、レイナ。ワシにも本当にわからんのじゃ。本当に、な』
「・・・・・・!!。異世界転移出来ますよね」
『出来るな・・・しかし、ワシ等が出来る世界はその滅びの範疇に有る』
「えっ、何処にでも行けるのでは」
『余りにも無数に有るが、それは全て滅びの範疇と神に成った時より与えられた記憶だ。面白い事に壁が存在するのじゃよ』
「それって人類がいくら頑張っても無理なのでは?」
『色々組み合わせを変えて数々の生き物を生み出しておる』
神って数撃ちゃ当たるって事?。
『その通りじゃ』
「・・・・・・・・・」
『この世界は神が絶対的な力を持っておる。なのに無視してなりふり構わぬ行為に及ぶ者がいる。結構な数の国が滅んだぞい。生物とは実に面白い。神を超えたがるのじゃからな』
「私は普通に暮らしたいだけ」
『それで良い。別にレイナの記憶を赤子に移し、ワシの特典を与えた事に特に意味は無い。だから好きに生きて欲しい。ただお主を邪魔する輩は排除するがな。アッハッハハ』


私は小野○由美さんの十○国記をインスタントで出して読んでみる。
異世界転移モノだがライトノベルではなく本格的な小説だ。
神とは何ぞやと改めて考えさせられる。
人間の恐怖の産物だと言う割にはイシタント様の言葉はその範囲を越えている。
私は考える事を諦めた。
「諦めたんか~い」
「だってねキィ・・・」
私はインスタントで美味しいケーキを出す。
「私のスキルってこう言う物だよ」
「実に平和だな」
「そんな宇宙の存亡を懸けたスキルとちゃうよ」
パクッ。
「確かにな、武器は造れるが宇宙船・・・!?。レイナ、宇宙船出せるか」
「無理に決まってんじゃん」
とおりゃあ~。
ボン。
「大和か?」
「大和だね、きっと」
「搭乗しようか」
「うん」
私達は山の斜面に横たわる戦艦大和擬きの宇宙船らしきモノに乗り込んだ。


空は飛ばなかった。
期待したけどエネルギー源や構造そのものを検索しても、実現は不可能だったのだ。
ただ航海には非常に向いている事は分かったよ。
スクリュー無いけど魔導車のエンジンで水噴射式に成っていた。
前方のナンチャラ砲は多分、おそらく、水鉄砲だろう。
それを覆す驚愕の出来事が秋に待っていた事は知るよしも無い。


「えっ、私も王都行きですか?」
「護衛依頼ですね」
ひぐらしのなく頃にニューラに行ってみれば、お社様がなんて事では無くて、冒険者ギルドから護衛の指名依頼が有るとの事。
勿論夏の星座とのクランだ。


「おはようございます」
「「オ~ス」」「「ちわ~」」
「よう」
「「すまんなレイナ。また厄介に成る」」
「いえいえ、この度は御二人とも御昇爵おめでとうございます」
例の侯爵家改易に伴い、アルフレッド様とウェッド様が伯爵に成られたのだ。

アルフレッド様はウェッド様の領地を併合されて、国内最大の伯爵領地となり、ウェッド様はそのまま侯爵領地に回りの隣接する天領全てを贈られた。
最早御二人は位は伯爵でも、経済的な事では国にとって無くては成らぬ御方だろう。


てな訳でモーリスさんの魔導車を借りる事に成ったが、息子さんは奥さんが身重とあって商店に残っている。
今回は王都への商品は私があげたアイテム袋に全て入っているが、車内は・・・メイドさんとか沢山いて、またしても私は豚さん車だ。
余裕は有ったけど途中でウェッド様一行が乗るらしい。
そしてカトレアさんとメノーラさんがいる。
「だってレイナと一緒でないと美味しいお菓子食べ損ねちゃうでしょ」
カトレアさん緩すぎる護衛だよ。


ニューラを出て何時もとは違う道を行く前方のマイクロ。
「ああ、アシュタベルに行くんだね」
「レイナちゃんこの道は初めて?」
「うん、王都方面は走ってるけど、こっちは初めてだね」
広範囲に麦畑だろうか?。
野草を牛が食むのどかな田園だ。
一つ目の町で宿を取って今日はここまで。
町は田園の真ん中に有るソマンって名前だ。

朝にソマンを出て村を二つ過ぎるとソマドって町で休憩をした。
そう言えば二つの村もソマ何とかだったな。
ソマドを出て少ししたら知った道に出た。
梅林に行った道だね。
北上するとアシュタベルに着いた。
アシュタベルの子爵邸で一泊する。
ニューラとアシュタベルって結構な距離が有るのだと今更知った。
これはアルフレッド様大変だなあ。
イシタント様に豚さん車のワゴンタイプあげても良いか聞いてみよう。

アシュタベルでウェッド様一行をマイクロに乗せた後は、また違う道を走って行く。
ずっと北側に森が見えるので、火山の森の環状線みたいなの道だ。
結構な往来が有って道幅も広い。
途中の野営地で大きな祠を設置して進む。
主幹に出るかと思いきやそのまま環状線を走り知らない道を左折した。
少し幅が狭いが王都への近道らしい。
途中の野営地で一晩明かす。
勿論ここにも祠を置く。
ここは中ぐらいにしておいた。
最早誰も驚かなく成ったのが寂しい。
暫く走ると主幹に出て王都に着いたが、夕方なので城壁近くの野営地で夜を明かす。


王都の門は貴族門を使わなかった。
マイクロと豚さん車だからね。
門番は二つの魔導車はよく知っていたが、決まり事なので身分証を確認する。
若い門番が横柄な態度でウェッド様の身分証を見て「ひえっ」って、声をあげたのが面白かった。
勿論頭を小突かれ先輩の門番が御二人の子爵に平謝りだ。
私にも凄く丁寧だった。
「レイナちゃんの貴賓扱いと言うのはね、隣国の王族と同じ扱いよ。つまり少なくとも国内では公爵よりは上ね」
「えっ・・・」
「流石に王都の門番なら身分証見て直ぐに分かるわよ」


ひえぇ~。
夏の星座の面々がいない。
御二人が昇格した後のパーティー。
そう、貴族だらけのパーティー。
メインは御二人だが、何故か片隅に隠れている私にも挨拶された。
私は綺麗なおべべ(ドレス)で会釈するのが精一杯だ。
我が息子にとか言う貴族は一人もいない。
私の事は最後に国王陛下が紹介して下さった。
「貴族籍は無いが貴賓である。間違っても失礼な事の無いように。神の御子であるから国が滅ぶぞ」
うん、それは誰も失礼な事しないわね。

はあ~疲れた。
帰りはアルフレッド様を先にニューラで下ろしてから、アシュタベルへ向かった。
アシュタベルからはウェッド様一行の護衛に成る。
ただしアシュタベルからは馬車の数が半端ない。
お国替えなのだ。
それは凄い列だった。
野営地では収まらず道端で夜を明かす。
20日がかりで漸く領地に着いた。
この国最大の貿易港が領都から見える。
それは領都より遥かに大きい。
領都で落ち着いて3日後にその港町に行った。
勿論伯爵様の護衛だ。
どうだろう・・・舞鶴港って感じかな?。
マイヅルって何だろう?。
時々変な記憶が・・・。
ただしこの港は横に長い。
数十キロ離れた岬の突き出しが穏やかな港にしている。
天の橋立の様な岬で、巨大な防波堤にも見える。
水深は深く大型船が多い。
軍船も見受けられる。
それぞれの築港や艀では大小様々な船から積み降ろしが行われ賑わっていた。


ウェッド伯爵が関係者と話を終え休憩する様なので私は駆け足で寄って行く。
ガシャッ!。
衛兵に槍をクロスされ阻まれた。
「お~い、その者はわしの護衛じゃ。心配ないから道を開けてやれ」
衛兵は素直に謝り一礼して道を開けてくれた。


私はウェッド様の所に行くと、ティーカップを出しティーバッグで紅茶を入れた。
モンブランケーキを添えて。
「どうぞ」
「有難い。少し風が冷たいから温かい物が欲しかったからな」
「お祖父様お願いが有るのですが」
ウェッド様をお祖父様扱いすると願いが叶う魔法の言葉だ。
衛兵の顔が少し青ざめたが気にしない。
「なんじゃレイナ?」
「あそこの突堤周りに船が無いですよね。あそこに私のアイテム袋でお祖父様にプレゼントする為の船を出したいのですが、駄目でしょうか」

言えねえ~、邪魔だからとは言えねえ。

何やら関係者の偉いさんとボソボソ言ってから・・・。
「レイナ大丈夫だそうだ出してみてくれ」
「ありがとうおじいさま」
そう言うと私は突堤に駆けて行き。
慎重にゆっくりと戦艦大和を出した。
ざばああぁ~ん。
危うく私にも海水がかかりそうに成ったが大丈夫だった。


「「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」」
「なんじゃこりゃ」
「プレゼントですお祖父様。因みにあの大砲からは私の光チューブ爆裂砲が出ます。ウェッド様に祝砲いっぱ~つ!」

ボウ~ン。

光チューブ爆裂砲は対象物に当たらないと爆音がしない事を忘れていたレイナだった。

因みに波動砲を着けたかったが、そんな物は検索してもなかった。


ただこの辺りの海賊が戦艦大和を見て、軒並み降伏して普通の水主に成ったと語られている。










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