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第51話 お前なんぞに分かってたまるか!。
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例の魔導車の侯爵家は梅林でも広い場所を陣取り煙たがられていた。
それは兎も角・・・剣を抜いた侯爵の息子に対し、犯人の男は叫んだ。
「理不尽に妹を犯され、家族をも殺された俺の気持ちが、お前なんぞに分かってたまるか!!」
そう言った直後侯爵の息子は男を脳天唐竹割り。
犯人は頭が陥没してピクピクしていたが、しばらくすると事切れた。
これは有る意味貴族でも許されない。
まず拘束され抵抗出来ない犯人を裁判もなしにリンチしてはいけないし、殺すなどと許されないのだ。
ここで犯人の口封じがされた事で、後にこの息子は五年の蟄居と成った。
同時に犯人の身元調査で数年前のこの一家の事件が暴かれ、息子は蟄居中に死罪を言い渡される。
この息子は地元の婦女暴行事件の主犯各で、口封じでこの一家を惨殺していた事が、息子の取り巻きの証言で明らかに成った。
生き残った犯人の彼は何とか復讐の機会を狙っていた訳だが、それが妹に向けられた形に成ってしまった。
しかし一応復讐は図らずも成功した訳だ。
可愛そうなのは妹で、侯爵家に帰った後に他領の貴族に養女に出された。
臭い物には蓋をしろ、そんな感じで辺境に追いやられた妹。
本当に腐った侯爵家だ。
これは1ヶ月後なのだが、クルト君とモーリスさんそして何と、あの事件の妹さんが私の家を訪れた。
「偶然辺境の子爵家を訪れる事が有りまして、彼女がいたのですがやはり元気が有りません。息子が近寄ると普通は男性を避けていた様ですが、こいつにだけは笑顔を見せて寄って来ました」
「子爵家によると使用人も家の男性にも、男と言う男には近寄らなかったそうです」
「レイナさん・・・実は」
私はこの時全てを察した。
クルト君はそう言う人だ。
わざわざ三人で私の家を訪れたのは気を使っての事だろう。
「おめでとうございます」
「れっレイナちゃん・・・」
「私はクルト君の決断に称賛をとなえます。流石私が惚れた男だけ有ります。彼女を幸せにしてあげて下さい」
「ありがとうレイナちゃん。息子は来月成人を迎えるし、彼女は既に成人を迎えているので、式は来月にひっそりと身内で済ますつもりです」
「そうですか・・・その時はお祝いの物を贈らせて下さい」
「有難う。レイナには報告しないといけないと思って」
「ちゃんと言ってくれて有難う。あっ、良かったら今アキュビューでは桜が見頃よ、寄ってみて」
「そうですか息子達と寄ってみましょう。数日休む通達は関係者に出していますからね」
「良かった!、これは桜見のおやつにどうぞ」
私は沢山のお菓子と菓子パンをインスタント3回がけで出した。
お菓子を5回がけしないのは砂糖の量の関係で、この世界そこまで甘いのは好まれないからだ。
だって砂糖は高いもの。
私の初恋は思わぬ終わり方で幕を閉じた。
結婚式のお祝いは、美味しい沢山のお菓子と5回がけのアイテム袋それに、5回がけの懐中時計にした。
正直私には未だ山家を捨てきる覚悟は出来ていなかったし、あの事件の時に彼女は抱えられる様に連れられて行く姿を映した、彼の瞳には私には向けない何かが有った。
正直あの時私には分かっていたのだと思う。
これは良い結果なのだと心で呟くしかなかった。
話しは遡る。
私は梅林からの帰りにムスクナで一泊。モーリスさん達と別れた後、自分の魔導車に乗り換えアキュビューに向かった。
何故かカトレアさんも乗っている。
「護衛の方は良いのですか?」
「だってレイナちゃんの護衛も込みだもの」
「へっ?」
「レイナちゃんが強いのは知ってるけど、レイナちゃんぐらいの女の子が、一人でふらふらしてると良からぬ輩が来るからね。余計な犯罪を生まない為よ」
「あはは、そうですか」
「男は狼だからね」
その時ピンク何CHARAってのが頭に浮かんだ。
「侯爵家はどうなりますかね」
「う~ん詳しい事はわからないからね。ただあの息子には何かしら罰は下るわね。軽いけど」
「軽いですか」
「普通なら完全に不敬罪だけど、証拠隠滅の意味で罰せられるわ」
「そうですか」
「考えても私達には捜査出来る訳じゃ無いからね。あの娘は心配だけど・・・」
「そうですね。心配です」
「なっ!、・・・これがアイテム袋に入ってたの?」
「はい」
「なにそのアイテム袋は」
「私がインスタントで作りました」
「・・・呆れて物も言えないわ」
「えへへ」
私は五百本近くの桜をアキュビューの街道沿いに植えた。
そして泉の回りに百本。
さらに近くの山に百本。
そしてアキュビューから峠に向かう街道沿いに数百本を植えた処で。
「う~ん、体がだるい」
「はいはい、ストップ・ストップ」
全部で999本・・・弁慶かあ!。
「後1本でキィからドクターストップ。なんでぇ~」
「キィちゃん有難うね、止めてくれて」
「もう本当に私の言う事聞かないんだからレイナは」
こうして私の千本桜の夢はついえた。
いや別に夢じゃ無いし。
アキュビューで3日間休息する羽目に成った。
その間神様達が急速に桜を成長させ、苗木から3メートル程育っていた。
キィが言うには。
「あと1ヶ月ちょいで満開だよ。この桜はレイナが5回がけしたせいで5日も花吹雪が見られるよ」
「そうなんだ・・・」
4日目の朝にアキュビューを発って一泊野営を挟みニューラに到着。
カトレアさんを送り届けて家に帰ろうとしたら、カトレアさんに家に泊まってと言われ一泊。
カトレアさんとメノーラさんの料理は美味しかった。
キィによると彼女らの魔法は、宮廷魔導師並みらしくただ者ではないとか。
今日はそんな事はどうでも良く、女子会を楽しんで就寝したよ。
翌朝帰りにお菓子や菓子パンを沢山出してあげてお別れ。
昼過ぎには我が家へ到着した。
私はそのまま丸半日目を覚まさなかった。
気が付けば次の日の昼だった。
相当魔力を消費していたらしく、回復にはもう少し休む必要が有ると、キィに注意された。
ちょっと反省。
強い魔物と対峙してたらヤバいね。
少しやけに成ってた気がする。
何にって・・・。
それは兎も角・・・剣を抜いた侯爵の息子に対し、犯人の男は叫んだ。
「理不尽に妹を犯され、家族をも殺された俺の気持ちが、お前なんぞに分かってたまるか!!」
そう言った直後侯爵の息子は男を脳天唐竹割り。
犯人は頭が陥没してピクピクしていたが、しばらくすると事切れた。
これは有る意味貴族でも許されない。
まず拘束され抵抗出来ない犯人を裁判もなしにリンチしてはいけないし、殺すなどと許されないのだ。
ここで犯人の口封じがされた事で、後にこの息子は五年の蟄居と成った。
同時に犯人の身元調査で数年前のこの一家の事件が暴かれ、息子は蟄居中に死罪を言い渡される。
この息子は地元の婦女暴行事件の主犯各で、口封じでこの一家を惨殺していた事が、息子の取り巻きの証言で明らかに成った。
生き残った犯人の彼は何とか復讐の機会を狙っていた訳だが、それが妹に向けられた形に成ってしまった。
しかし一応復讐は図らずも成功した訳だ。
可愛そうなのは妹で、侯爵家に帰った後に他領の貴族に養女に出された。
臭い物には蓋をしろ、そんな感じで辺境に追いやられた妹。
本当に腐った侯爵家だ。
これは1ヶ月後なのだが、クルト君とモーリスさんそして何と、あの事件の妹さんが私の家を訪れた。
「偶然辺境の子爵家を訪れる事が有りまして、彼女がいたのですがやはり元気が有りません。息子が近寄ると普通は男性を避けていた様ですが、こいつにだけは笑顔を見せて寄って来ました」
「子爵家によると使用人も家の男性にも、男と言う男には近寄らなかったそうです」
「レイナさん・・・実は」
私はこの時全てを察した。
クルト君はそう言う人だ。
わざわざ三人で私の家を訪れたのは気を使っての事だろう。
「おめでとうございます」
「れっレイナちゃん・・・」
「私はクルト君の決断に称賛をとなえます。流石私が惚れた男だけ有ります。彼女を幸せにしてあげて下さい」
「ありがとうレイナちゃん。息子は来月成人を迎えるし、彼女は既に成人を迎えているので、式は来月にひっそりと身内で済ますつもりです」
「そうですか・・・その時はお祝いの物を贈らせて下さい」
「有難う。レイナには報告しないといけないと思って」
「ちゃんと言ってくれて有難う。あっ、良かったら今アキュビューでは桜が見頃よ、寄ってみて」
「そうですか息子達と寄ってみましょう。数日休む通達は関係者に出していますからね」
「良かった!、これは桜見のおやつにどうぞ」
私は沢山のお菓子と菓子パンをインスタント3回がけで出した。
お菓子を5回がけしないのは砂糖の量の関係で、この世界そこまで甘いのは好まれないからだ。
だって砂糖は高いもの。
私の初恋は思わぬ終わり方で幕を閉じた。
結婚式のお祝いは、美味しい沢山のお菓子と5回がけのアイテム袋それに、5回がけの懐中時計にした。
正直私には未だ山家を捨てきる覚悟は出来ていなかったし、あの事件の時に彼女は抱えられる様に連れられて行く姿を映した、彼の瞳には私には向けない何かが有った。
正直あの時私には分かっていたのだと思う。
これは良い結果なのだと心で呟くしかなかった。
話しは遡る。
私は梅林からの帰りにムスクナで一泊。モーリスさん達と別れた後、自分の魔導車に乗り換えアキュビューに向かった。
何故かカトレアさんも乗っている。
「護衛の方は良いのですか?」
「だってレイナちゃんの護衛も込みだもの」
「へっ?」
「レイナちゃんが強いのは知ってるけど、レイナちゃんぐらいの女の子が、一人でふらふらしてると良からぬ輩が来るからね。余計な犯罪を生まない為よ」
「あはは、そうですか」
「男は狼だからね」
その時ピンク何CHARAってのが頭に浮かんだ。
「侯爵家はどうなりますかね」
「う~ん詳しい事はわからないからね。ただあの息子には何かしら罰は下るわね。軽いけど」
「軽いですか」
「普通なら完全に不敬罪だけど、証拠隠滅の意味で罰せられるわ」
「そうですか」
「考えても私達には捜査出来る訳じゃ無いからね。あの娘は心配だけど・・・」
「そうですね。心配です」
「なっ!、・・・これがアイテム袋に入ってたの?」
「はい」
「なにそのアイテム袋は」
「私がインスタントで作りました」
「・・・呆れて物も言えないわ」
「えへへ」
私は五百本近くの桜をアキュビューの街道沿いに植えた。
そして泉の回りに百本。
さらに近くの山に百本。
そしてアキュビューから峠に向かう街道沿いに数百本を植えた処で。
「う~ん、体がだるい」
「はいはい、ストップ・ストップ」
全部で999本・・・弁慶かあ!。
「後1本でキィからドクターストップ。なんでぇ~」
「キィちゃん有難うね、止めてくれて」
「もう本当に私の言う事聞かないんだからレイナは」
こうして私の千本桜の夢はついえた。
いや別に夢じゃ無いし。
アキュビューで3日間休息する羽目に成った。
その間神様達が急速に桜を成長させ、苗木から3メートル程育っていた。
キィが言うには。
「あと1ヶ月ちょいで満開だよ。この桜はレイナが5回がけしたせいで5日も花吹雪が見られるよ」
「そうなんだ・・・」
4日目の朝にアキュビューを発って一泊野営を挟みニューラに到着。
カトレアさんを送り届けて家に帰ろうとしたら、カトレアさんに家に泊まってと言われ一泊。
カトレアさんとメノーラさんの料理は美味しかった。
キィによると彼女らの魔法は、宮廷魔導師並みらしくただ者ではないとか。
今日はそんな事はどうでも良く、女子会を楽しんで就寝したよ。
翌朝帰りにお菓子や菓子パンを沢山出してあげてお別れ。
昼過ぎには我が家へ到着した。
私はそのまま丸半日目を覚まさなかった。
気が付けば次の日の昼だった。
相当魔力を消費していたらしく、回復にはもう少し休む必要が有ると、キィに注意された。
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何にって・・・。
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