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第44話 収束と蔓延。
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冬の間に山や森では石灰を水に溶かした物がばら撒かれている事が多くなった。
少し匂うので分かるが、これは主に魔物の死骸に撒かれている。
石灰をそのまま蒔くと雨や夜露で熱が出ると同時にガスが出るので危険だ。
熱は火が出る程では無いが火傷をしたり被れたりする。
石灰乳を撒くのは殺菌の為だ。
魔物や動物の死骸は襲われて死んだ物は少なく、病死したものが殆どだ。
餓死寸前の動物や魔物は、猫の死骸を余り見ないのと一緒で、馬車や馬に轢かれない限り隠れて死ぬ。
これは他の捕食者に襲われない様に隠れる為だが、病死や餓死となると隠れる前に倒れる事がある。
病死は他の魔物等も食わない。
自身が病気に成るからだが、この死骸は人間にも悪影響を及ぼす為に、殺菌の目的で石灰乳をかける。
私も山家としてこれを行っている。
その中で思うのは魔物の大発生が収束に向かいつつある事だ。
餓死が多く餌が不足した事がわかる。
加えて草食動物の骨や皮だけの死骸も多い。
冬場は特に餌を捕るのが難しくなり魔物の数が減って来たのがわかる。
そして冒険者が魔物を退治したので尚更だ。
ニューラやムスクナその他の町や村の冒険者ギルドの依頼数も減って来ている。
私は久々に故郷の里に行ってみた。
少し雪が降って来た。
山合に入ると寒い。
ムスクナから歩いて1日。
前に建てた祠で寝ようとしたが先客がいたので新しく祠を出して寝た。
朝方私の祠のドアを叩く人がいる。
覗き穴から外を窺うと数人の冒険者では無い人達がいる。
その中には二人の女性もいた。
冒険者では無いと思うのは装備と服装が統一されていたからだ。
「どちら様ですか」
私はドアを開けずに聞いてみた。
「ビョヲラです」
「えっ」
確かにこの声はビョヲラさんだ。
ガチャ「お久し振りですビョヲラさん」。
「お久し振りレイナちゃん」
「顔が先程は見えなかったから分かんなかったですよ」
「まさかここで会えるとはね」
「本当です。びっくり・・・って事はギルドの方々ですよね」
「そうなの、村として復興出来ないかと調査してるのよ」
「村としては面積が狭いかと」
「そこは整地して広げるつもりよ」
「村としての利点が有りませんが」
「う~ん立ち話も何だし中でしない」
6人だと一杯だね、人で。
「お茶出しますね」
「ありが・・・って早!」
私はアイテム袋から出した6つの木地コップにインスタントでミルクティー粉末を入れ、昨夜から暖炉の上にある薬缶からお湯を注いだ。
「「「「「旨っ」」」」」
「朝御飯まだですよね」
私はテーブルに菓子パンや惣菜パンを出すと、アイテム袋から足りない椅子を出した。
「さあ皆さんお召し上がり下さい」
「「「「「・・・頂きま~す」」」」」
パンは好評だった。
「それでどうして村を?」
「レイナちゃんはビスラート峠は知ってるよね」
「はいジヨナイン山脈の一番低い峠ですね。700メートルくらいだったと記憶しています。あっ、書物ですよ。越えてませんよ。無断出国や入国はしてません。はい~・・・」
「別にそこは気にして無いよ、山家だし。遊牧民が国境を越えたからって捕まえる国は無いよ」
「あは、あはは」
「隣国とは北の海からか海岸線の道でしか交易出来ないけど、この山道を山地と山脈の谷を通り、ビスラートから抜けれたら良いと、国から言われてね」
「拠点の村にしたいと・・・」
「そうね水も豊富だし出来たらね。道は商業ギルドと冒険者ギルドで土工を募るわ。冒険者ギルドの下級の人には良い収入に成ると思うの。上級には道普請の警備をして貰うしね」
「う~ん・・・それだけのメリットあります?」
「峠の向こうと此方側にアプト式トロッコを設置するつもりよ」
「!・・・えっ、もしかして砂糖の輸入ですか?」
「流石に察しが良いわね。隣国の沖合いの島には元々サトウキビが自生してたらしいの。この前の使者の中に漁師の倅がいてね、その事に気付いたらしいのね。もう移植してサトウキビを育て始めてるらしいし、自生してたサトウキビから砂糖も作ったらしいわ」
「早っ、情報も早っ」
「レイナちゃんとの約束を守ってくれてるらしいわよ」
「なっ何よこれ!?」
私がキィに土魔法で広範囲に整地して貰い、インスタントのコンクリートで地固めして、そこにインスタントの祠を改良した家を設置して言ったのを、ビョヲラさん達は口を開けて唖然として見ていた。
「取り敢えず20世帯分用意しました」
「あっ有り難う・・・」
「これ以上は大工や土工さんの仕事が失くなりますので」
「そうね分かったわ。有り難う」
正直最初は道造りの人夫の泊まる所で、家族を想定した家では無い。
本当の村の建物は大工さんにお願いしたいものだ。
「ビョヲラさんあの谷合に道を造ると成ると大変ですね」
「元々細い街道は有るけど馬車を通れる様にはしなとね。レイナちゃんはどう思う」
「昔から水害を避けて河岸段丘の中腹に道を這わせています。上部の段丘を削れば良い訳ですが、同時に脆い箇所を土嚢等で補強する必要がありますね。また村近くの段丘は少ない耕作地でも有りますので、接収は大変でしょう」
「その辺は国の役人の仕事ね。ギルドにそんな権限は無いから、レイナちゃん国王陛下に一筆お願い」
「いやいや私こそそんな権限は有りませんよ」
「多分ねレイナちゃん少し駆り出されると思うのよ。さっきの能力は困難な道を造るのに便利だから」
「・・・」
「レイナちゃん、いずれ国の発展と共にこの道は必要に成るわ。山家も減少の一途を辿っているし、200人いるかいないかでしょ。山間部の村が山家の拠点に変わると思うのよ」
「つまりこの道は村の発展にも成ると」
「有る程度はね。言っちゃえば通り道の宿ぐらいしか旨味は無いけどね」
どうせ土地の狭い山間の村の発展など無理が有る。
それでも道は便利な事の方が多い。
山家って時折盗みをする人もいるので余り世間からは評判は良くない。
消え行く民とも言える。
山師も詐欺師の代名詞に成ってるくらいだ。
────────────────
競馬は大惨敗やわ。
私のこの春は終わった・・・😭。
少し匂うので分かるが、これは主に魔物の死骸に撒かれている。
石灰をそのまま蒔くと雨や夜露で熱が出ると同時にガスが出るので危険だ。
熱は火が出る程では無いが火傷をしたり被れたりする。
石灰乳を撒くのは殺菌の為だ。
魔物や動物の死骸は襲われて死んだ物は少なく、病死したものが殆どだ。
餓死寸前の動物や魔物は、猫の死骸を余り見ないのと一緒で、馬車や馬に轢かれない限り隠れて死ぬ。
これは他の捕食者に襲われない様に隠れる為だが、病死や餓死となると隠れる前に倒れる事がある。
病死は他の魔物等も食わない。
自身が病気に成るからだが、この死骸は人間にも悪影響を及ぼす為に、殺菌の目的で石灰乳をかける。
私も山家としてこれを行っている。
その中で思うのは魔物の大発生が収束に向かいつつある事だ。
餓死が多く餌が不足した事がわかる。
加えて草食動物の骨や皮だけの死骸も多い。
冬場は特に餌を捕るのが難しくなり魔物の数が減って来たのがわかる。
そして冒険者が魔物を退治したので尚更だ。
ニューラやムスクナその他の町や村の冒険者ギルドの依頼数も減って来ている。
私は久々に故郷の里に行ってみた。
少し雪が降って来た。
山合に入ると寒い。
ムスクナから歩いて1日。
前に建てた祠で寝ようとしたが先客がいたので新しく祠を出して寝た。
朝方私の祠のドアを叩く人がいる。
覗き穴から外を窺うと数人の冒険者では無い人達がいる。
その中には二人の女性もいた。
冒険者では無いと思うのは装備と服装が統一されていたからだ。
「どちら様ですか」
私はドアを開けずに聞いてみた。
「ビョヲラです」
「えっ」
確かにこの声はビョヲラさんだ。
ガチャ「お久し振りですビョヲラさん」。
「お久し振りレイナちゃん」
「顔が先程は見えなかったから分かんなかったですよ」
「まさかここで会えるとはね」
「本当です。びっくり・・・って事はギルドの方々ですよね」
「そうなの、村として復興出来ないかと調査してるのよ」
「村としては面積が狭いかと」
「そこは整地して広げるつもりよ」
「村としての利点が有りませんが」
「う~ん立ち話も何だし中でしない」
6人だと一杯だね、人で。
「お茶出しますね」
「ありが・・・って早!」
私はアイテム袋から出した6つの木地コップにインスタントでミルクティー粉末を入れ、昨夜から暖炉の上にある薬缶からお湯を注いだ。
「「「「「旨っ」」」」」
「朝御飯まだですよね」
私はテーブルに菓子パンや惣菜パンを出すと、アイテム袋から足りない椅子を出した。
「さあ皆さんお召し上がり下さい」
「「「「「・・・頂きま~す」」」」」
パンは好評だった。
「それでどうして村を?」
「レイナちゃんはビスラート峠は知ってるよね」
「はいジヨナイン山脈の一番低い峠ですね。700メートルくらいだったと記憶しています。あっ、書物ですよ。越えてませんよ。無断出国や入国はしてません。はい~・・・」
「別にそこは気にして無いよ、山家だし。遊牧民が国境を越えたからって捕まえる国は無いよ」
「あは、あはは」
「隣国とは北の海からか海岸線の道でしか交易出来ないけど、この山道を山地と山脈の谷を通り、ビスラートから抜けれたら良いと、国から言われてね」
「拠点の村にしたいと・・・」
「そうね水も豊富だし出来たらね。道は商業ギルドと冒険者ギルドで土工を募るわ。冒険者ギルドの下級の人には良い収入に成ると思うの。上級には道普請の警備をして貰うしね」
「う~ん・・・それだけのメリットあります?」
「峠の向こうと此方側にアプト式トロッコを設置するつもりよ」
「!・・・えっ、もしかして砂糖の輸入ですか?」
「流石に察しが良いわね。隣国の沖合いの島には元々サトウキビが自生してたらしいの。この前の使者の中に漁師の倅がいてね、その事に気付いたらしいのね。もう移植してサトウキビを育て始めてるらしいし、自生してたサトウキビから砂糖も作ったらしいわ」
「早っ、情報も早っ」
「レイナちゃんとの約束を守ってくれてるらしいわよ」
「なっ何よこれ!?」
私がキィに土魔法で広範囲に整地して貰い、インスタントのコンクリートで地固めして、そこにインスタントの祠を改良した家を設置して言ったのを、ビョヲラさん達は口を開けて唖然として見ていた。
「取り敢えず20世帯分用意しました」
「あっ有り難う・・・」
「これ以上は大工や土工さんの仕事が失くなりますので」
「そうね分かったわ。有り難う」
正直最初は道造りの人夫の泊まる所で、家族を想定した家では無い。
本当の村の建物は大工さんにお願いしたいものだ。
「ビョヲラさんあの谷合に道を造ると成ると大変ですね」
「元々細い街道は有るけど馬車を通れる様にはしなとね。レイナちゃんはどう思う」
「昔から水害を避けて河岸段丘の中腹に道を這わせています。上部の段丘を削れば良い訳ですが、同時に脆い箇所を土嚢等で補強する必要がありますね。また村近くの段丘は少ない耕作地でも有りますので、接収は大変でしょう」
「その辺は国の役人の仕事ね。ギルドにそんな権限は無いから、レイナちゃん国王陛下に一筆お願い」
「いやいや私こそそんな権限は有りませんよ」
「多分ねレイナちゃん少し駆り出されると思うのよ。さっきの能力は困難な道を造るのに便利だから」
「・・・」
「レイナちゃん、いずれ国の発展と共にこの道は必要に成るわ。山家も減少の一途を辿っているし、200人いるかいないかでしょ。山間部の村が山家の拠点に変わると思うのよ」
「つまりこの道は村の発展にも成ると」
「有る程度はね。言っちゃえば通り道の宿ぐらいしか旨味は無いけどね」
どうせ土地の狭い山間の村の発展など無理が有る。
それでも道は便利な事の方が多い。
山家って時折盗みをする人もいるので余り世間からは評判は良くない。
消え行く民とも言える。
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