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第36話 甜菜とブドウと甘薯。
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次の野営地はまた別の領地だ。
3つ狭い領地が続く為に端っこの街道はそうなってしまっている。
そして次の野営地はちいとめんどい。
森の真ん中を街道が貫いている。
「これは魔物出ますね」
「出るねえ。要注意の道だから皆ピリピリしてるよ」
「やあオーガさんこんにちわ」
ドンッ!。
「なに今のは?」
「光チューブ電撃砲。略してピカチュー砲」
「はあ・・・そう」
タッタタ、「おーい大丈夫かあ~」。
「ゴドルフさん大丈夫ですよ。オーガ収納しますね」
「オーガかこりゃ気を引き締めんとな」
野営地に着くまでにビッグレッド1匹とウルフの群れ20匹に襲われた。
私はウルフ3匹倒したが、その前のビッグレッド(熊種の魔獣)とウルフ17匹は他の護衛が倒した。
例のインペリアル・ブルの冒険者もウルフ数体を倒した様だ。
流石にビッグレッドはゴドルフさんや強い冒険者数人が倒してたけどね。
野営地に着いても皆ピリピリしている。
夜警も数を増やした。
私も索敵魔法を使い豚さん車で夜警に廻る。
魔物避けのお香の効果も有ってか、夜に襲われる事は無かった。
朝方私は皆が起きる前に予め用意した大きめの祠を設置して、手押しポンプも付けておいた。
お粥をすすりながら商人さんが目を剥いていた。
20人は泊まれる祠だ。
私がイメージしたこの世界の魔物避けお香より強力なお香も、10000本近く置いておいた。
魔物が壊したらしき柵も別の鉄柵で錆止めをして設置した。
ゴドルフさんが体当たりして強度を確かめていた。
「オーガでも大丈夫じゃないか」
この人オーガ並みの力なの?。
朝早くに飯を食べ片付けて出立した。
「街道の中でも魔の野営地と言われてはいるけど、森の中で寝るよりはましだからね」
「普通の人は町に近い街道を行きますよね」
「そりゃそうよ渡河のお金を惜しんで、あそこで死にたくは無いからね」
「道理で他に馬車がいなかった筈です」
私とカリーナさんはそんな話をしながら、ゆっくり豚さん車を走らせていたら夕方に森を抜けた。
山から見て知ってはいたが、実に大きな森だと思った。
ここの領主もこの森のせいで耕地面積が少なく貧乏らしい。
森を後ろに見て暫く行くと小さな川の橋を渡ったら処で町が見えて来た。
最後尾なのでなかなか見えなかったのだ。
「領都オンバールね。オンバール男爵の都よ」
ああ、賄賂の一人だ。
「町の外で馬や馬車は預けられているわ。町が狭いからね」
「魔物に襲われません?」
「流石に無いわね。兵士もいちおういるしね」
「盗賊は兵士百人を相手にする盗賊なんていないわよ」
「百人て割りといますね」
「でも一番少ないのよ町では。ここも貧乏だからね。特に特産品が無くてね。ほら川も細いし水が少なくて、土地も痩せているから、イモ類かブドウ畑ね。水捌けだけは良いから」
町の壁も低く土壁だった。
「皆様今日は宿では無くて領主邸に泊めて貰う事に成っております。粗相の無いようにお願いいたします」
「領主邸ですか?」
「これ程の人数が泊まれる宿が町に無いからね。毎度の事よ」
「・・・そうなんだ村みたい」
「しっ、レイナちゃん思ってても口にしちゃ駄目よ」
「すっすいません」
領主邸で部屋割りをしていたら領主本人が挨拶に来た。
「皆様方我が町にようこそ、大きな宿が御座いませんので、この様な所では有りますが何卒ご容赦下さいませ」
平民にやけにへりくだっているなと思ったら、後で聞くと宿代を取っているらしく、御客様扱いなのだとか。
地方の貧乏貴族は大変だなあ。
私達女子にあてがわれた大部屋は割りと良い部屋に良いベッドが有った。
6人いるけど狭くない。
コンコン。
「はい、どうぞ」
誰も着替えてはいないのでカリーナさんが返事をした。
「お休憩の処申し訳有りません」
そう言うと、前程の男爵本人とゴドルフさんが入って来た。
そうして私を見ると!?。
なっなに事。
男爵がなんと土下座したのだ。
「レイナ殿この度は誠に申し訳御座いませんでした。知らぬ事とはいえバンヘルムからお金を受け取って、昇爵の上申をいたしておりました。何卒お許し下さいませ」
「あっもう充分ですので男爵様どうか立って下さいまし」
男爵は尚も膝を着いたままこう言った。
「このドイル・オンバールお金の工面のあまり考えも無しに、とんでもないお金に手をつけてしまいました。多くの人の血と痛みと屈辱が染みた金でした。重ねて誠に申し訳御座いませんでした」
「有り難う御座います。その御言葉を頂けて多くの亡くなった方々がうかばれます。どうかお立ちくださいます様」
男爵はゆっくり立つと私の両手を取りおでこを付けて、「このドイル今の言葉で少し肩が軽く成りました本当に有り難う御座います」。
本当に領主と言うものは大変な仕事だと心からそう思った。
その日はお風呂を貰い、夕食に成った。ちょっと豪華だった。
出立時、商人さんとオンバール男爵が宿代の割引の事で話してたけど、商人さんが何時もより豪華な食事だった事で、割引を断っていた。
この商人さんも良い人だ。
私がそっと男爵に近寄ったので男爵は少しびっくりしたけど、丁寧にお別れを述べられた。
「お別れの言葉を頂いてあれなんですが、此をどうぞ」
「これは?」
「甜菜と薩摩芋と新種のブドウの苗です」
私の足下に次々と出される苗や苗木に驚いていらしたが気を取り直して感謝された。
色々育て方を書いたパンフレットも渡したので大丈夫だろう。
きれいな絵と上質の紙のパンフレットに驚かれたけどね。
馬車が見えなく成るまで手を振っておいでだった。
「あの3つの作物がこの地の良き実りに成ります様に」
私が口に出して祈った時、『わかりましたこの地に3つの作物の加護を授けましょう』声と共に女神が豚さん車の前に現れ虹色の光が辺りに散りばめられた。
私はぼ~として女神の下を走ってしまい。
「ごめんなさい」
「あら、貴女達二人にも私の加護が授与されてしまいましたね。うふふ」
「えっ!、テスモポロスの加護」
大地・植物・豊穣の女神テスモポロス様の加護を貰えたよ。
「ありがたや、ありがたや」
「レイナが言うと少しも有り難く聞こえないね」
「神様カリーナさんがいじめる」
「前みて運転しなさい!」
「大丈夫これ自動運転だから」
「そっ、それを先に言ってよね」
「カリーナさん・・・テスモポロスの加護ってどうやって使うの?」
「・・・知らないわよ」
「・・・・・・」
「なによ・・・甘薯でも植えたら、好きでしょあんた」
焼き芋天国だあー!。
3つ狭い領地が続く為に端っこの街道はそうなってしまっている。
そして次の野営地はちいとめんどい。
森の真ん中を街道が貫いている。
「これは魔物出ますね」
「出るねえ。要注意の道だから皆ピリピリしてるよ」
「やあオーガさんこんにちわ」
ドンッ!。
「なに今のは?」
「光チューブ電撃砲。略してピカチュー砲」
「はあ・・・そう」
タッタタ、「おーい大丈夫かあ~」。
「ゴドルフさん大丈夫ですよ。オーガ収納しますね」
「オーガかこりゃ気を引き締めんとな」
野営地に着くまでにビッグレッド1匹とウルフの群れ20匹に襲われた。
私はウルフ3匹倒したが、その前のビッグレッド(熊種の魔獣)とウルフ17匹は他の護衛が倒した。
例のインペリアル・ブルの冒険者もウルフ数体を倒した様だ。
流石にビッグレッドはゴドルフさんや強い冒険者数人が倒してたけどね。
野営地に着いても皆ピリピリしている。
夜警も数を増やした。
私も索敵魔法を使い豚さん車で夜警に廻る。
魔物避けのお香の効果も有ってか、夜に襲われる事は無かった。
朝方私は皆が起きる前に予め用意した大きめの祠を設置して、手押しポンプも付けておいた。
お粥をすすりながら商人さんが目を剥いていた。
20人は泊まれる祠だ。
私がイメージしたこの世界の魔物避けお香より強力なお香も、10000本近く置いておいた。
魔物が壊したらしき柵も別の鉄柵で錆止めをして設置した。
ゴドルフさんが体当たりして強度を確かめていた。
「オーガでも大丈夫じゃないか」
この人オーガ並みの力なの?。
朝早くに飯を食べ片付けて出立した。
「街道の中でも魔の野営地と言われてはいるけど、森の中で寝るよりはましだからね」
「普通の人は町に近い街道を行きますよね」
「そりゃそうよ渡河のお金を惜しんで、あそこで死にたくは無いからね」
「道理で他に馬車がいなかった筈です」
私とカリーナさんはそんな話をしながら、ゆっくり豚さん車を走らせていたら夕方に森を抜けた。
山から見て知ってはいたが、実に大きな森だと思った。
ここの領主もこの森のせいで耕地面積が少なく貧乏らしい。
森を後ろに見て暫く行くと小さな川の橋を渡ったら処で町が見えて来た。
最後尾なのでなかなか見えなかったのだ。
「領都オンバールね。オンバール男爵の都よ」
ああ、賄賂の一人だ。
「町の外で馬や馬車は預けられているわ。町が狭いからね」
「魔物に襲われません?」
「流石に無いわね。兵士もいちおういるしね」
「盗賊は兵士百人を相手にする盗賊なんていないわよ」
「百人て割りといますね」
「でも一番少ないのよ町では。ここも貧乏だからね。特に特産品が無くてね。ほら川も細いし水が少なくて、土地も痩せているから、イモ類かブドウ畑ね。水捌けだけは良いから」
町の壁も低く土壁だった。
「皆様今日は宿では無くて領主邸に泊めて貰う事に成っております。粗相の無いようにお願いいたします」
「領主邸ですか?」
「これ程の人数が泊まれる宿が町に無いからね。毎度の事よ」
「・・・そうなんだ村みたい」
「しっ、レイナちゃん思ってても口にしちゃ駄目よ」
「すっすいません」
領主邸で部屋割りをしていたら領主本人が挨拶に来た。
「皆様方我が町にようこそ、大きな宿が御座いませんので、この様な所では有りますが何卒ご容赦下さいませ」
平民にやけにへりくだっているなと思ったら、後で聞くと宿代を取っているらしく、御客様扱いなのだとか。
地方の貧乏貴族は大変だなあ。
私達女子にあてがわれた大部屋は割りと良い部屋に良いベッドが有った。
6人いるけど狭くない。
コンコン。
「はい、どうぞ」
誰も着替えてはいないのでカリーナさんが返事をした。
「お休憩の処申し訳有りません」
そう言うと、前程の男爵本人とゴドルフさんが入って来た。
そうして私を見ると!?。
なっなに事。
男爵がなんと土下座したのだ。
「レイナ殿この度は誠に申し訳御座いませんでした。知らぬ事とはいえバンヘルムからお金を受け取って、昇爵の上申をいたしておりました。何卒お許し下さいませ」
「あっもう充分ですので男爵様どうか立って下さいまし」
男爵は尚も膝を着いたままこう言った。
「このドイル・オンバールお金の工面のあまり考えも無しに、とんでもないお金に手をつけてしまいました。多くの人の血と痛みと屈辱が染みた金でした。重ねて誠に申し訳御座いませんでした」
「有り難う御座います。その御言葉を頂けて多くの亡くなった方々がうかばれます。どうかお立ちくださいます様」
男爵はゆっくり立つと私の両手を取りおでこを付けて、「このドイル今の言葉で少し肩が軽く成りました本当に有り難う御座います」。
本当に領主と言うものは大変な仕事だと心からそう思った。
その日はお風呂を貰い、夕食に成った。ちょっと豪華だった。
出立時、商人さんとオンバール男爵が宿代の割引の事で話してたけど、商人さんが何時もより豪華な食事だった事で、割引を断っていた。
この商人さんも良い人だ。
私がそっと男爵に近寄ったので男爵は少しびっくりしたけど、丁寧にお別れを述べられた。
「お別れの言葉を頂いてあれなんですが、此をどうぞ」
「これは?」
「甜菜と薩摩芋と新種のブドウの苗です」
私の足下に次々と出される苗や苗木に驚いていらしたが気を取り直して感謝された。
色々育て方を書いたパンフレットも渡したので大丈夫だろう。
きれいな絵と上質の紙のパンフレットに驚かれたけどね。
馬車が見えなく成るまで手を振っておいでだった。
「あの3つの作物がこの地の良き実りに成ります様に」
私が口に出して祈った時、『わかりましたこの地に3つの作物の加護を授けましょう』声と共に女神が豚さん車の前に現れ虹色の光が辺りに散りばめられた。
私はぼ~として女神の下を走ってしまい。
「ごめんなさい」
「あら、貴女達二人にも私の加護が授与されてしまいましたね。うふふ」
「えっ!、テスモポロスの加護」
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「ありがたや、ありがたや」
「レイナが言うと少しも有り難く聞こえないね」
「神様カリーナさんがいじめる」
「前みて運転しなさい!」
「大丈夫これ自動運転だから」
「そっ、それを先に言ってよね」
「カリーナさん・・・テスモポロスの加護ってどうやって使うの?」
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