異世界で山家として生きる者。

hikumamikan

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第24話 オーガとオルカ。

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春盛りで山裾では桜の様な花が咲き宴会などしている人もいる。
植物の葉が香り山が萌えて、虫達が飛び交い来月には麦の刈り入れが始まる。
そして今年からは実験的にニューラの郊外でも稲作が始まる。


私はと言うと借家は来年の春まで借りる事にした。
私自身の実験でも有る。
もし好きな人が出来て結婚・出産と成れば、当然町や村に住む事に成る。
しきたりや風習等知らないと困るし、人付き合いなんか無かったので、その辺がね。
だからついでに一年住む事にした。
元々山家って歪な生活では有る。
それは自覚している。
狩人でも山から山へ渡り歩くけど、基本は定住だ。
遊牧民は家畜の餌の草を求めて渡り歩く。
山家って何かを求めて、それが生活に必要だからでは無い。
山の幸だけでは本当の処生活は難しかった。
だから山師を生業にしていたし、木地師でも有った。
炭焼きはまた別で山を所有し、その地の木を使って定住者で無いと出来ない。
うちらの山家は特殊中の特殊だった。
何せ野鍛冶なんてやってたくらいだから。
半定住者でもあったし。
残念だがあの時に鍛冶小屋も壊されてしまった。


いやねこの1年間何をして過ごそうか考えた訳ですよ。
鍛冶師・・・1年間の修行なんて断られるに決まってる。
インスタントで商売?。
そもそも私に商売人が勤まるとは思えない。
割りと雑な人間なのだ。
料理もそうだが魔法の攻撃での今までを考えれば分かる。
インスタント・・ラーメンで魔物を殺す奴が何処にいるだろうか。
色々考えても冒険者やるしか無さそうだ。
あれ、冒険者で山を歩けば山家じゃねーか。
町に半定住して山家する?。
あ~山家前提やん。


昼頃に冒険者ギルドに行ってみる。
掲示板には私でも受けられる依頼表が数枚残っていた。
7日先のオンス村近辺のゴブリン討伐。
ゴブリンは狩りたく無いな。
元々彼等は好戦的ではなく、人を襲う事は極希だ。
紙を見れば平地の森の側の村だ。
私はこのオンス村を知らない。
山家には無縁の村だろう。
3日も歩けば海に出る。
繁殖し過ぎて村を襲い作物を奪った様だ。

受付のギルド職員に聞くと犠牲者は出なかったけど、かなり数が多くて畑をかなり荒らされた様だ。
退治しても退治しても数が減らないらしい。
基本ゴブリンは背は七・八十センチ程度でかなり弱い。
だが集団だと人が殺された例も有ると言う。
幾らおとなしいゴブリンでも食べる物が無くなると必死に成るからね。
あの飴玉をあげたゴブリンが平常のゴブリンなのだ。
これは私は行かない。
他のを探そう。


・・・オーガ討伐。
オンス村から先のあの漁村だ。
えっ、海辺の村にオーガ?。
確かに山が競り出てて険しくは成ってるけど、オーガが出るような山では無い。
オーガはニューラの南の国境の山岳地帯にちらほら見るだけだ。
更にその奥の高い山脈が住みかに成っている。
一度亡くなった里の人達と1体のオーガと対戦した事が有るが、かなり強かったと認識している。
体格はかなり大きく5メートルは有ったかな。
皮膚は硬く筋肉もゴツゴツで力はすこぶる強い。
ビッグレッドよりは数倍強い。
この依頼はその群れで30数体・・・いやいや、それは軍隊の仕事だろ。
冒険者の仕事では無い気がする。


後ろに誰か立っている。
背が高く私を覗き込んでいるので、首を90度上に向けた。
「あれ、ゴドルフさん」
「こんちわレイナ」
「今日はお休みですか?」
「まあね。この依頼に出発する為に準備中なんだよ」
「えっ、これ受けるんですか」
「ギルド長から半強制的にね」
「いやいやオーガですよ。まともにやったら死にますよあれ」
「まあ強いよなオーガ」
「軍隊出して討伐する魔物でしょう普通」
「うん、軍隊は出るよ」
「やっぱそうですよね」
「冒険者は補助・・・すり抜けたオーガの討伐とか、荷物持ちとか兵站の役目かな。だからぐるりと囲んで町とかに行かせない役目だね。処で君も行くのかい」
「いや私オーガ倒す武器とか無いですから。ミスリルソードかてショートですから」
「魔法が有るだろ」
「う~ん、オーガに効くかわかりません」
「いやいやオークぶっ飛ばしてたじゃないか」
「オーガぶっ飛ばしても死なないでしょ」
「そりゃそうかもな。でも他の冒険者にとったら助かるぞあれは。転んだ処を皆で串刺しに出来るからな」
「う~ん」
「俺達が回りを固めてやるぞ」
「ほんと」
「ああ」
「じゃあ参加しようかな」
「俺達とクランって事で、レイナ単独だと年齢制限とクラスで受けられんからな」
「じゃあクランのポーターでお願い」
「わかった。じゃあ受付へ行こう」


5日後に出発と成った。
食料やもしもの戦闘に必要な物を準備するのに掛かる。
何時もとは勝手の違う強い魔物。


オーガの特性についてギルドの書庫で調べた。
元はオルカが変異した魔物。
「えっ、ええ~!。オルカって」
思わず声に出た。
オルカがオークに変異し、更に突然変異種が生まれオーガに成ったと有る。
確かにイルカは海に豚って・・・んっ、「この知識はなに」。
いやいい、それよりシャチがオークやオーガの元なんだ?。
まさかのオーガは海洋生物起源説に吃驚した。
何々、これは骨格やその他の内蔵や色々な部位から明らかに成った。
「たーへるあなとみあ~」って訳の分からん事を叫んでしまったよ。

・・・豚が変異したと思ってたので驚きでは有る。
そう言えばオーガの足って人とは違い、偶蹄目の足だった。
オークもそうだ。
オークやオーガの足が遅いのはあの足で二足歩行だからだ。只オーガは足幅があるので実際の速度はオークよりは速い。
・・・弱点は足か?。
問題は硬い皮膚だ。
目潰し弾で視界を奪い足に何かを絡めたり・・・マキビシ!。
そうだマキビシを使おう。
オーガ用のでかいマキビシを。
転ければ頭を射てば勝てる。
頭蓋骨も硬そうだが目や口の中それに鼻や耳から杭を撃ち込めば。


私は出立迄の間にオーガ用の武器を作りまくった。
もちろんインスタントで。
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