異世界で山家として生きる者。

hikumamikan

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第23話 甘雪飴。

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ニューラに戻って来ました。
二・三日はお休みします。

てな事はすっ飛ばされて領主様からお呼び出しです。
まあ内容は労いの言葉だったのでよしとします。
何でも王宮魔導師会から使者が来て私を討伐隊に参加させるよう依頼したとの事。
夏の星座は実質私の護衛だったらしい。
オークの幼体との決戦では全く役に立たなかった事を、夏の星座の方達は詫びたらしいが、そこは私が説明しておいた。
「大白蛇様に事前に説明を受けました」と釈明してね。
勿論大白蛇様が本当はキィだとは言っていない。
そして竜巻の結界と最後の豪炎は大白蛇様の魔法で、もしもの時は大白蛇が手助けしてくれる予定だったとも話した。
二神様の事は一切無かったので、夏の星座の人達は報告しなかった様だ。
そこは助かった。
ただ何のために参道を造ったかには聞かれたけど、これも大白蛇様の指示と説明した。
まあこの嘘は仕方無いだろう。

その後は本当に借家でゆったりまったりして2日過ごした。

その後私は育った里の跡地に向かった。
大分魔物も討伐されギルドの説明では、あの辺りは比較的安全に成ったと聞いたからね。
それに今の私はスキルの使い方が前より向上したので、群れの魔物でも怖くない。


ニューラの武器屋にはクイナとか千本は置いていない。当たり前だあれは私の自作だからね。
今回は鍛冶場も無いのでインスタント5回掛けで、クイナも千本も千づつ出した。
いちおうダガーは十本買った。


個人的に山賊に出会す事も無くなったので、今回はやっと慰霊に訪れる事が出来る。
本当は早く行きたかったが、強い魔物が群れで襲って来たら一人ではどうにも成らなかった。
あのオーク戦がなければ今も行けない状態だったろう。

ムスクナまでは豚さん車で行って、そこから徒歩で山道を行く。
大体1日有れば着ける。
20キロくらいだが山の街道なので、道なのか獣道なのか解らない様な道だからね。
約倍の時間を要す。


大分草木に覆われて荒れていた。
家は焼かれた痕がそのままで、無事な家も床や壁そして天井が腐りかけていたりする。
もう人が住む事は無いだろう。
少し悲しい。
里の中央辺りに有る石のベンチの上を布で払い、お菓子とお酒を置いて黙祷を捧げた。
私を育ててくれた多くの人がこの地に眠っている。
「レイナそこの広い場所を僕の土魔法で整地してあげるから、祠でも出して慰霊碑を建てよう」
「いいの?」
「勿論」
「お願い」
キィが整地してくれた場所に私はインスタント5回掛けの祠を出して置いた。その中に慰霊碑を出し床にコンクリートで固定する。
祠自体はそんなに大きくは無くて普通の家くらい。
だから慰霊碑もそれに収まる私の身長程度。
ただ人が寝泊まり出来る様にベッド代わりの台も何個か置いた。
全て石造りなので長持ちはするだろう。
山家達の休憩所にとこんな祠にしてみた。
いちおうここは昔からの山家の通り道にあたるから。
実は大きな水脈の通り道でも有り井戸が幾つか有る。
私は祠の直ぐ側の井戸も改築して、頭に浮かんだ手押しポンプ成る物も取り付けておいた。
薪も側に物置小屋を出し入れておいた。
祠内には暖炉も有る。
ある程度の退避場所には使えるだろうからこれで良し。


手を合わせ一礼し元里を出たのは翌日の朝。
祠の寝心地はまあ良い方かな、木では無いから少し冷たかったので、木の板をインスタントで出して寝た。

肌寒い山裾の空気はとても清んでいる。
朝霧の中から何やらやって来る。
ゴブリンかな。
私に寄って来たのは間違いなくゴブリンだった。
私の回りをクンクン嗅ぐとしばらくそこに立っていた。
う~ん、食べ物の匂いかな。
私はインスタント3回掛け焼き芋と最近開発された飴玉をあげた。
ゴブリンは嬉しそうな顔をして去って行った。

ムスクナで買った飴が残り1個に成っている。
危うく全部あげてしまう処だった。
この飴玉砂糖が高価なので何とか安く提供出来ないかと思い、ムスクナのお菓子屋さんで造れないか頼んでみたのだ。
麦芽糖の水飴にあの鰻丼に使った甘いお酒を混ぜて舐めてみた。
う~ん・・・微妙な味。
と言うか余り美味しくない。
ふと思い醤油と甘いお酒を混ぜて水飴に入れて掻き回してみた。
意外といける。
醤油の量を減らしたら案外美味しく成った。
縦型ドラムの釜に入れた煮詰めて欲しいと言ったら渋い顔をされた。
何でも醤油は焦げるらしい。
・・・既にやってたのね。
ちょっとだけとお願いした。
したら、何と焦げずに飴が出来た。
雪の様にふわっと甘くて少し醤油の香る優しい味。
名付けて(甘雪飴)。
開発者が1個も舐めてないとか残念過ぎる処だった。


懐かしい。
そんな味がした。

┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

カンロ飴の醤油は何処のメーカーだろうかと考えて思い付くのは。
お隣の町、柳井の佐川醤油。
そりゃ甘露醤油だものね。
でもカンロ飴の醤油元は何処にも載っていないから、本当は判らない。

これを元ネタにしてみた。

桶狭間(中京競馬場)は雨です。
信長は義元を討てるでしょうか。
因にキルロードっていますけど。
⑬→③⑤⑥→⑮で逝こうかと・・・いや行こうかと思います。
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