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第4話 古代史跡の通路。
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「この領地は他より狭いし国境に近い山地に有るから、耕作面積は少ない上に特産物も無い。せめて山に何か無いかと我々も頼まれてね」
「国境近くの高い山地は調べられました?」
「うん埋蔵量は少なそうだが、幾つかの種類の鉱脈が有ったな」
鉱山技師のリーダーガルシュさんと山道を行く間に話している私。
そこに護衛のゴドルフさんも加わる。
「俺達の町の領主は良い人なんだが、何せ貧乏領地でな。目に留まる物が何も無い土地だからね」
ガルシュさんが言う。
「今回の依頼料君が一番高いんだよね」
「えっ!・・・」
ゴドルフさんも言う。
「お前さんに有る意味懸けてるんだよ」
「・・・あの・・・お言葉ですが、先に申し上げますとこの山地にお役に立てる鉱脈は有りません。奥の高い山地には多少也と鉱脈は有りますが、採掘料に開発費が見合わないと思います」
「流石良く解ってるね」
「何故私に依頼が出たのでしょうか?」
それは鉱脈は無理かも知れないが、それ以外に彼等が知らない何かを私なら知っているかもと言う話らしい。
「買い被り過ぎです」
後ろから護衛の一人アラルさんの声がする。
「そんな事無いよお~。レイナちゃんはあんな水脈を簡単に見つけちゃうんだから」
「あれは山師なら簡単にできます」
「酷いなあレイナちゃん。今いる鉱山技師らでも悲しいかな見つけられ無かったんだよ」
「・・・すっすいません」
「あはは、ガルシュいじめるなよ」
「ルフト違うぞ、この子自分の凄さが解って無いんだ」
「確かにな」
「オラルさんまで・・・」
「レイナちゃ~ん。井戸堀職人の人が言ってたよ。俺らもあんな簡単に水脈が辿れたらなあ~って。だからねレイナちゃんはあ凄い~の」
う~ん、特産品とかかあ?。
観光資源ならあの水脈の地底湖かな。
古代遺跡みたいだし。
「古代遺跡・・・」
「どうした足が止まってるぞ」
ゴドルフさんに声を掛けられた。
「あっ、すいません。一寸古代遺跡の事を考えてしまって」
「古代遺跡がどうかしたのか?」
「ゴドルフさんあの遺跡って1ヵ所だけですか」
「いやこの地は太古には神殿が有ったらしいぞ。神々の宿る地だから辺りには参拝客の宿場町が数ヶ所有ったらしい。今は宗教概念も変わっているから無いけどな」
「太古ってどのくらい昔何ですか?」
「二千年前かな。壁画や文字は今と近くて解読されているしな。神々もほぼ同じままだ」
「・・・それって何でこの地が廃れたんですか?」
「ああ二千年前に神殿を移して、今では更に王都に近い位置に有るな。だからだろうな」
「それって移して良いもの何ですか」
「知らんさ、時の権力者がしたんだろ」
「そうですか」
地底湖の遺跡は観光資源としては難しいかな。
その日の最初の野営地。
何も無いので早半分の道程まで来てしまった。
「どうしようかな」
「どうしたの?」
護衛のカリーナさんが声を掛けて来た。
「いえ、鉱脈に変わる経済的な資源が無いかなと思いまして」
「律儀だわね」
「流石に何も無いでは依頼料貰い難いです」
「そうだわねえ。本当に何も無い土地だからねえ」
「木材や水は良い土地ですけどね」
「それは他でもそうだよね」
「そうなんですよね」
「う~ん兎に角乾燥野菜と干し肉のスープ出来たから一緒に食べに行こ」
この日は晩飯を食べ簡易テントの下で寝た。
「おはようございます」
「「「「「「「「「「おはよう!」」」」」」」」」」
薄明かりの中堅パンを粗茶でふやかし食べて夜露凌ぎのテントを仕舞う。
狭い領地に何も無いから、ぐるりと奥の高い山地の山道の中程まで到達してしまった。
いやいや、一応四人で散策はしているんだよ。本当に。
湧き水を舐めたり、土を深く掘ったり、岩を削ったり。
魔力を地下に巡らしたり。
探しはしてるよ。
だけどね最初から魔素の巡りを地下に魔力を通して調べても何も出ないんだよ。
いや正確には鉱脈は有る。
有るけど道を作り村を作り・・・採算が取れ無いんだよ。
埋蔵量的に。
金なら少しでも有れば、剛力を雇ってとか有るけど、金は無かったんだよ。
「この下硬い岩盤が続いてる」
「岩盤の下は解るかい?」
「流石に魔力が届きません」
「厚いのかい」
「岩の厚みが二階の家位有ると魔力が届かないんです」
「・・・逆にそこまで届くのにビックリしたよ」
ガルシュさんは本当にビックリしたようだ。
「かなり大きな岩ですね」
「どのくらい?」
あの小山位だと私が指を指すと。
「でかいな!」
「一寸気に成るんです」
「何が?」
「僅かですが魔力が反響するんです」
「えっ、どういう事」
鐘楼みたいな反響が僅かに有ると説明したら。
「それって岩盤の下に空洞が有るかもって事だよね」
「ええ」
「空洞・・・の中はわかんないよね」
「流石に魔力が届きませんから」
「まあ掘れないし、岩の厚さが無理だし」
それは手前の低い山地の山の下り道だったから、私は絶えずその岩を調べていた。
「あっ!」
「「「「「「どうした」の?」」」」」
声をあげたので護衛の五人に心配されてしまった。
「いっ岩が突然切れました」
「「「えっ?」」」
今度は鉱山技師が反応した。
殆ど裾野、平地の森の手前。
全員で土魔法や風魔法それに辺りを燃やさない程度の火魔法で、私が辺りを探って指定した崖を破壊した。
「洞窟?」
「いやなんか違うぞ」
「これ神殿の入り口じゃない?」
「地下通路か・・・」
土魔法で蓋をして植物等で隠してから山を下った。
「随分早かったな。やはり何も無かったか・・・」
「目欲しい物は有りませんでした・・・けど、神殿の通路らしき物を発見しました」
「神殿の通路?。役に立つのか」
「解りません。ですが懸けてみるのも有では無いでしょうか」
「ふむ観光名所には成るか」
「魔物はいたか」
「土に埋もれていたので、いたとしても土竜位かと」
「ガルシュご苦労様。冒険者に依頼を出して探索して貰おう」
「あのう私共も参加をさせて下さい。明かりやガスとか水とか有りますし。それにレイナちゃんもこの度の依頼料では申し訳ないので、代わりに無料で探索したいと申しております。私共も流石に今回の成果では申し訳ないですので」
「・・・それは私としては助かるが良いのか」
「はい!」
こうして神殿らしき通路の探索隊がギルドで組まれた。
鉱脈探しのメンバー九人も加わっているが、護衛の五人以外は前の探索費の込みで有る。
「国境近くの高い山地は調べられました?」
「うん埋蔵量は少なそうだが、幾つかの種類の鉱脈が有ったな」
鉱山技師のリーダーガルシュさんと山道を行く間に話している私。
そこに護衛のゴドルフさんも加わる。
「俺達の町の領主は良い人なんだが、何せ貧乏領地でな。目に留まる物が何も無い土地だからね」
ガルシュさんが言う。
「今回の依頼料君が一番高いんだよね」
「えっ!・・・」
ゴドルフさんも言う。
「お前さんに有る意味懸けてるんだよ」
「・・・あの・・・お言葉ですが、先に申し上げますとこの山地にお役に立てる鉱脈は有りません。奥の高い山地には多少也と鉱脈は有りますが、採掘料に開発費が見合わないと思います」
「流石良く解ってるね」
「何故私に依頼が出たのでしょうか?」
それは鉱脈は無理かも知れないが、それ以外に彼等が知らない何かを私なら知っているかもと言う話らしい。
「買い被り過ぎです」
後ろから護衛の一人アラルさんの声がする。
「そんな事無いよお~。レイナちゃんはあんな水脈を簡単に見つけちゃうんだから」
「あれは山師なら簡単にできます」
「酷いなあレイナちゃん。今いる鉱山技師らでも悲しいかな見つけられ無かったんだよ」
「・・・すっすいません」
「あはは、ガルシュいじめるなよ」
「ルフト違うぞ、この子自分の凄さが解って無いんだ」
「確かにな」
「オラルさんまで・・・」
「レイナちゃ~ん。井戸堀職人の人が言ってたよ。俺らもあんな簡単に水脈が辿れたらなあ~って。だからねレイナちゃんはあ凄い~の」
う~ん、特産品とかかあ?。
観光資源ならあの水脈の地底湖かな。
古代遺跡みたいだし。
「古代遺跡・・・」
「どうした足が止まってるぞ」
ゴドルフさんに声を掛けられた。
「あっ、すいません。一寸古代遺跡の事を考えてしまって」
「古代遺跡がどうかしたのか?」
「ゴドルフさんあの遺跡って1ヵ所だけですか」
「いやこの地は太古には神殿が有ったらしいぞ。神々の宿る地だから辺りには参拝客の宿場町が数ヶ所有ったらしい。今は宗教概念も変わっているから無いけどな」
「太古ってどのくらい昔何ですか?」
「二千年前かな。壁画や文字は今と近くて解読されているしな。神々もほぼ同じままだ」
「・・・それって何でこの地が廃れたんですか?」
「ああ二千年前に神殿を移して、今では更に王都に近い位置に有るな。だからだろうな」
「それって移して良いもの何ですか」
「知らんさ、時の権力者がしたんだろ」
「そうですか」
地底湖の遺跡は観光資源としては難しいかな。
その日の最初の野営地。
何も無いので早半分の道程まで来てしまった。
「どうしようかな」
「どうしたの?」
護衛のカリーナさんが声を掛けて来た。
「いえ、鉱脈に変わる経済的な資源が無いかなと思いまして」
「律儀だわね」
「流石に何も無いでは依頼料貰い難いです」
「そうだわねえ。本当に何も無い土地だからねえ」
「木材や水は良い土地ですけどね」
「それは他でもそうだよね」
「そうなんですよね」
「う~ん兎に角乾燥野菜と干し肉のスープ出来たから一緒に食べに行こ」
この日は晩飯を食べ簡易テントの下で寝た。
「おはようございます」
「「「「「「「「「「おはよう!」」」」」」」」」」
薄明かりの中堅パンを粗茶でふやかし食べて夜露凌ぎのテントを仕舞う。
狭い領地に何も無いから、ぐるりと奥の高い山地の山道の中程まで到達してしまった。
いやいや、一応四人で散策はしているんだよ。本当に。
湧き水を舐めたり、土を深く掘ったり、岩を削ったり。
魔力を地下に巡らしたり。
探しはしてるよ。
だけどね最初から魔素の巡りを地下に魔力を通して調べても何も出ないんだよ。
いや正確には鉱脈は有る。
有るけど道を作り村を作り・・・採算が取れ無いんだよ。
埋蔵量的に。
金なら少しでも有れば、剛力を雇ってとか有るけど、金は無かったんだよ。
「この下硬い岩盤が続いてる」
「岩盤の下は解るかい?」
「流石に魔力が届きません」
「厚いのかい」
「岩の厚みが二階の家位有ると魔力が届かないんです」
「・・・逆にそこまで届くのにビックリしたよ」
ガルシュさんは本当にビックリしたようだ。
「かなり大きな岩ですね」
「どのくらい?」
あの小山位だと私が指を指すと。
「でかいな!」
「一寸気に成るんです」
「何が?」
「僅かですが魔力が反響するんです」
「えっ、どういう事」
鐘楼みたいな反響が僅かに有ると説明したら。
「それって岩盤の下に空洞が有るかもって事だよね」
「ええ」
「空洞・・・の中はわかんないよね」
「流石に魔力が届きませんから」
「まあ掘れないし、岩の厚さが無理だし」
それは手前の低い山地の山の下り道だったから、私は絶えずその岩を調べていた。
「あっ!」
「「「「「「どうした」の?」」」」」
声をあげたので護衛の五人に心配されてしまった。
「いっ岩が突然切れました」
「「「えっ?」」」
今度は鉱山技師が反応した。
殆ど裾野、平地の森の手前。
全員で土魔法や風魔法それに辺りを燃やさない程度の火魔法で、私が辺りを探って指定した崖を破壊した。
「洞窟?」
「いやなんか違うぞ」
「これ神殿の入り口じゃない?」
「地下通路か・・・」
土魔法で蓋をして植物等で隠してから山を下った。
「随分早かったな。やはり何も無かったか・・・」
「目欲しい物は有りませんでした・・・けど、神殿の通路らしき物を発見しました」
「神殿の通路?。役に立つのか」
「解りません。ですが懸けてみるのも有では無いでしょうか」
「ふむ観光名所には成るか」
「魔物はいたか」
「土に埋もれていたので、いたとしても土竜位かと」
「ガルシュご苦労様。冒険者に依頼を出して探索して貰おう」
「あのう私共も参加をさせて下さい。明かりやガスとか水とか有りますし。それにレイナちゃんもこの度の依頼料では申し訳ないので、代わりに無料で探索したいと申しております。私共も流石に今回の成果では申し訳ないですので」
「・・・それは私としては助かるが良いのか」
「はい!」
こうして神殿らしき通路の探索隊がギルドで組まれた。
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