異世界で山家として生きる者。

hikumamikan

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2話 山家の少女は水脈を追う。

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山に帰ろうと町の門へ向かっていた処、冒険者ギルドで魔石を買い取って貰ったお姉さんに呼び止められた。

「良かったあ~。未だ町に居られたあ」
「どっどうしました?」
「あのレイナさんは水脈も辿る事が出来ますか?」
「ええ水の中の魔素を辿れば出来ますよ」
「一寸今からギルドに御足労願えませんか。依頼主の方も見えてますので。あっ、依頼料はそれなりに有りますよ」


急ぐ旅でも無いし面白そうな依頼なので冒険者ギルドにお姉さんと行くことにした。


「私目町から徒歩だと二時間程の村で村長を務めさせて頂いております、キースと言うものです」
ギルドに着くと飲食コートにサブマスターとか言う人とお茶をしてた依頼人らしき人が、ギルドの受付のお姉さんと私を見て声を掛けて来た。

何で私を見て直ぐに声を掛けたかと言うと、受付のお姉さんは「若い山家のお嬢ちゃんが町に居られるので未だ捕まえられるかも知れません」って、ギルドを出たそうな。

依頼の内容は村の井戸が枯れそうで新たな井戸を掘る為に確実な水脈が知りたいとの事。
そこそこ深く掘れば水は出るけどまた枯れても困るので、確実な方を取りたいらしい。
取り敢えず村長キースさんの馬車で、ギルドの私を呼び止めたお姉さんと一緒に村へ向かった。


村へ入って先ずは枯れそうな井戸を見さして貰うと、水の中には殆ど魔素がなかった。
魔素は少し重さが有るのか空気中には余り存在しない。
かと言って遥か天空からも降り注いで来るので、次第に地上に染み込んでいるものと思っている。
私の感覚では目に見る事はおろか、身体をもすり抜けるので物凄い微粒子だと推察している。
あと、この大地を循環している様に思う。それは南から北へそしてまた北から南へと巡る魔素が感じられるのを、旅をしながら何となく感じている。

それでも時として水や動く大地の中に混じって魔素は色々巡ったり、はたまた1ヵ所に多く溜まってしまったりもする。
溜まると普通の獣が魔物に成ったり、特別な魔物が新たに現れたりもする。
この新たに現れた魔物は他に比べるとかなり強かったりするので、それを感じ取ると私は避けて移動している。

「どうでしょうか、何か分かりました」
そうキースさんに訊ねられたので。
「何か大地の変動で僅かな水脈が遮られた気がします」
「・・・そう言えば少し前に割りと大きな揺れが有りました」
「地震とか有るとたまに層がずれて水脈が切れる事が有りますね」
「やはり水脈が途切れましたか」
「この水脈は小規模なのでおそらくは」
「新たに発見出来ますか?」
「明日山に入ってから探して見ますが、必ずしも見つかるとは限りません。そこは了解しておいて下さい」
「それは仕方無い事だとは承知してますが、代わりに成るものは有りますか」
「水脈とはいかなくても、水はこの大地のを中には染み込んで涌いて来るので、深くは成りますが井戸は出来ますよ」
「その場所は見つけられるのですか?」
「通常より魔素が溜まっている所は、大方の場合水が涌きます」
「そうですか」
キースさんはその答えに少し安心した様だ。


一先ず今日は村で泊まる事にした。
宿を紹介して貰おうとキースさんに尋ねたら、キースさんの離れが開いているので御自由にお使い下さいとの事だった。
食事はキースさんの方から提供して貰えるらしいので、甘えさせて頂く。


翌日何故かギルドのお姉さんが付いて来るけど無視して山に向かう事にした。
まあ冒険者でもあり猟師として常に山に入っている護衛さんが2人いるから大丈夫。
いやいや私は山師として単独で魔物のいる深い山々に入っているんだよ。
そりゃ未だ12歳ぐらいなんだけど、普通の冒険者より強かったりするよ。
思わず笑いそうに成った。
「レイナさん・・・?」
「私一応一人で大丈夫なんだけど」
「「「いや!いや!いや!」」」




「この井戸は誰が掘ったんですか?」
キースさんに怖い顔で聞いてみた。
「・・・あっ、いや、その二百年前に村の開拓で掘られた物だから」
「あいやあ~20歩しか無いのに・・・」


そうあれから山の水脈を辿り村に入った瞬間に発見してしまった。
いわゆる地底湖。
水脈から湧水して地下の空洞に溜まりそこから幾つかの水脈に別れ流れていた。
あの井戸はその水脈の中でも一番細かった。
てか何でこの大湧水湖を見逃すかなあ。

まあ村の端っこの野営地だったので直ぐに井戸掘り工事に取り掛かれたけどね。

それから僅か5日で水が出てギルドのお姉さん調べると。
「あっ、それで付いて来たんですか?」
「そうですよ。飲用に適するかどうかわかんないでしょ」
そのお姉さんは鑑定スキル持ちで、私では調べられない事が解るみたい。

あっと言う間に7日過ぎて、あっと言う間に井戸が出来て。
あっと言う間に半年生活できるお金が貰えた。
良いのかと思って思わずにんやりした。
帰りの馬車でにやけた顔をギルドのお姉さんに指摘される程美味しい仕事だったのは確か。


帰りの馬車の中で聞いてみた。
「石灰は大丈夫でした?」
「うん鍾乳洞では無いみたい。噂だと太古に神殿が有ったって言われていた場所で、一夜にして消えたって伝説が有るのよね」
「・・・・・」
いけないいけない、そう言う事は忘れよう。
・・・だって探検したく成っちゃう。


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