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どういう流れ?
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「目が回ったわ!」
ダンスを終えて、グライスナー卿は誰とも踊ることなく私を連れてテラスへ移動した。冷たい果実水を手渡される。
「今夜は美味しいワインもあるのよ」
「だめ、身体を動かした後だからお酒が回るよ」
「弱くはないのよ?」
「でも今日は駄目」
テラスの手摺に腰かけ、夜風に当たる。火照った体を冷やす夜の風が気持ちいい。
「あの」
「うん?」
もじもじと空になったグラスをいじると、グラスの中に残されたレモンとベリーがころころと転がる。
「今日は、楽しかったわ。ありがとう、あ、あ……ア、デル、さま」
言ってからぶわっと顔が熱くなった。多分、これまでにないくらい顔が赤いと思うわ!
「ででででも違うのよ別に顔に絆されたとか騎士の隊服に見惚れたとかじゃなくて本当に単純に今日の踊りが楽しかったって言うかやっぱりそれはきちんと伝えるべきだしお礼も伝えて出来ればまた踊りたいなと思ったから名前を呼ぶくらいはいいかなと思っただけなのよ!」
「早口!」
アデルは声を出して笑うと私の手からグラスを取り上げ離れた場所に置いた。
「また踊ってくれるの?」
アデルは手摺に腰掛ける私の顔を覗き込む様に手摺に手をついて顔を寄せてきた。
「そ、そそうよ! 貴方くらい踊れるなら構わないわ!」
「そっかぁ、よかった。騎士の隊服も気に入ってくれたみたいだし」
「騎士の隊服は素敵なデザインですもの!」
「俺、似合うでしょ」
顔を寄せて囁くように話すその声の温度に、心臓がものすごい音を立てている。こんなに近かったら聞かれるかもしれないわ!
「イヴァン様には敵わないわ!」
「ははっ、確かにそうだね。……ねえ、カタリーナ嬢。やっぱり貴女は素直で真っすぐで、可愛い人だね」
アデルはそう言ってにっこりと微笑むと、身体を離し、私の手を取り目の前で跪いた。
纏っているマントがふわりと舞い、床に広がる。
遠くで誰かが息をのむのが聞こえた。
アデルは俯き私の手の甲に額を押し当て、指先に口付けを落とすとその手を取ったまま私を見上げた。
ダンスホールから差し込む明かりがキラキラとアデルの金色の髪を照らし、青灰色の瞳が複雑に輝く。その美しさに息が止まった。
「カタリーナ・ドルマン嬢。私、アデル・グライスナーは、生涯貴女と共にあり、貴女を護り、貴女にこの命を捧げることを誓います。どうか、私に貴女と共に人生を歩む栄誉を、貴女の生涯の伴侶となることをお許しいただけますか」
小説の一説のように、騎士が跪き私を見上げている。濃紺のマントが床に広がるのも厭わず、跪き私を見上げる美しい一人の騎士。
……待って。待って待って待って!
そうじゃなくて!
これって、これって結婚の申し込み⁉ 騎士が愛する女性に愛を乞うあれじゃない⁉ 待って、落ち着いて私、ねえどうするのどうしたらいいの⁉ こんな理想的な容姿のしかも騎士に跪かれて私の理想の結婚の申し込みだけど返事、返事しなくちゃいけない⁉ え、今⁉ 時間は猶予はないの⁉ ちょっとくらい考える時間があっても良さそうじゃない⁉ ていうかまだ会って今日で二回目なのよ⁉
「カタリーナ嬢?」
そっと声を掛けられて、はっと視線をアデルに戻す。
不思議そうに私を見上げる顔と目が合うと、アデルはふわりと微笑んだ。
だから! 顔が! いいのよ!
「俺と結婚してくれる?」
「……は……ぃ……?」
それは返事だったのか、疑問だったのか。ホールから聞こえてくる音楽の音にすらかき消されそうな小さな声で、私はアデルの問いに答えていた。
ダンスを終えて、グライスナー卿は誰とも踊ることなく私を連れてテラスへ移動した。冷たい果実水を手渡される。
「今夜は美味しいワインもあるのよ」
「だめ、身体を動かした後だからお酒が回るよ」
「弱くはないのよ?」
「でも今日は駄目」
テラスの手摺に腰かけ、夜風に当たる。火照った体を冷やす夜の風が気持ちいい。
「あの」
「うん?」
もじもじと空になったグラスをいじると、グラスの中に残されたレモンとベリーがころころと転がる。
「今日は、楽しかったわ。ありがとう、あ、あ……ア、デル、さま」
言ってからぶわっと顔が熱くなった。多分、これまでにないくらい顔が赤いと思うわ!
「ででででも違うのよ別に顔に絆されたとか騎士の隊服に見惚れたとかじゃなくて本当に単純に今日の踊りが楽しかったって言うかやっぱりそれはきちんと伝えるべきだしお礼も伝えて出来ればまた踊りたいなと思ったから名前を呼ぶくらいはいいかなと思っただけなのよ!」
「早口!」
アデルは声を出して笑うと私の手からグラスを取り上げ離れた場所に置いた。
「また踊ってくれるの?」
アデルは手摺に腰掛ける私の顔を覗き込む様に手摺に手をついて顔を寄せてきた。
「そ、そそうよ! 貴方くらい踊れるなら構わないわ!」
「そっかぁ、よかった。騎士の隊服も気に入ってくれたみたいだし」
「騎士の隊服は素敵なデザインですもの!」
「俺、似合うでしょ」
顔を寄せて囁くように話すその声の温度に、心臓がものすごい音を立てている。こんなに近かったら聞かれるかもしれないわ!
「イヴァン様には敵わないわ!」
「ははっ、確かにそうだね。……ねえ、カタリーナ嬢。やっぱり貴女は素直で真っすぐで、可愛い人だね」
アデルはそう言ってにっこりと微笑むと、身体を離し、私の手を取り目の前で跪いた。
纏っているマントがふわりと舞い、床に広がる。
遠くで誰かが息をのむのが聞こえた。
アデルは俯き私の手の甲に額を押し当て、指先に口付けを落とすとその手を取ったまま私を見上げた。
ダンスホールから差し込む明かりがキラキラとアデルの金色の髪を照らし、青灰色の瞳が複雑に輝く。その美しさに息が止まった。
「カタリーナ・ドルマン嬢。私、アデル・グライスナーは、生涯貴女と共にあり、貴女を護り、貴女にこの命を捧げることを誓います。どうか、私に貴女と共に人生を歩む栄誉を、貴女の生涯の伴侶となることをお許しいただけますか」
小説の一説のように、騎士が跪き私を見上げている。濃紺のマントが床に広がるのも厭わず、跪き私を見上げる美しい一人の騎士。
……待って。待って待って待って!
そうじゃなくて!
これって、これって結婚の申し込み⁉ 騎士が愛する女性に愛を乞うあれじゃない⁉ 待って、落ち着いて私、ねえどうするのどうしたらいいの⁉ こんな理想的な容姿のしかも騎士に跪かれて私の理想の結婚の申し込みだけど返事、返事しなくちゃいけない⁉ え、今⁉ 時間は猶予はないの⁉ ちょっとくらい考える時間があっても良さそうじゃない⁉ ていうかまだ会って今日で二回目なのよ⁉
「カタリーナ嬢?」
そっと声を掛けられて、はっと視線をアデルに戻す。
不思議そうに私を見上げる顔と目が合うと、アデルはふわりと微笑んだ。
だから! 顔が! いいのよ!
「俺と結婚してくれる?」
「……は……ぃ……?」
それは返事だったのか、疑問だったのか。ホールから聞こえてくる音楽の音にすらかき消されそうな小さな声で、私はアデルの問いに答えていた。
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