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番外編:有明の月2※ ライナルト

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 膝の上のクロエを抱きかかえ、掌を夜着の中へ滑り込ませると敏感になった肌がすぐにピンク色に染まる。指先で擽るように太腿を撫でそのままなめらかな双丘へ指を滑らせた。柔らかく張りのある肌をグッと掴む様に指に力を籠め捏ねると、口付けをする唇から小さく声が漏れる。下着をつけていないその肌を丹念に撫で、すっと指を割れ目に沿わせると、大きく身体が揺れた。
 ぷっと音を立てて唇が離れ、クロエが赤い顔を伏せた。

「だ、だめよ、そんなところ……汚いわ」
「汚くないよ」
「でも駄目なの」
「分かった。嫌な事はしないよ。じゃあこっち……」

 俺としてはクロエの全てを把握したいのだが、嫌ならば仕方ない。それはまた次の機会に試してみよう。
 割れ目に沿わせていた指でまろい張りのある双丘を揉み込む様に捏ねながら、その耳朶に舌を這わせるとクロエの口から小さく嬌声が上がる。クロエは耳が弱い。わざと音を立てるようにくちくちと耳朶を丹念に嬲りながら、腰へと掌を移動させ、肌触りのいい背中を大きく撫であげる。指で背骨をなぞり、肩甲骨に触れ、脇へ、そして下胸へ。
 肝心な部分には触れず焦らすように指先で肌を撫でると、クロエの身体がびくびくと揺れる。ふわりと胸に指を沈めふにふにとその柔らかさを堪能すると、クロエが仰け反り唇を噛んだ。その仰け反った首に強く吸い付き首筋を舌先で強く舐め上げる。噛みしめていた唇から甘い声が上がる。
 その声にゾクゾクとせり上がる欲望。すぐにでもクロエの中へ押し入りたいのを歯を食いしばって耐え、その真っ白な肌に強く吸い付きまた赤い華をひとつ咲かせる。
 俺のしるし、俺の執着。クロエの肌に次々と刻まれる赤い華は、劣情の数だけ増えていく。

「クロエ、首気持ちいいね」
「ぁ、や……」
「ん。ね、これも好きだね」

 胸に沈みこませていた指でぎゅっと果実のような小さな頂を摘まむと、一層高い声が上がった。掌で柔らかな肌を包み込み、指先で果実を弾きながら揉みしだくと俺の首に回ったクロエの手に力が入った。

 ――ああ、俺にも同じようにしるしを付けてくれたらいいのに。
 クロエの執着、俺をクロエのものだというしるしを付けてほしい。どうか、俺に付けて。

 膝の上でモゾりとクロエの腰が揺れた。無意識だろう、胸を揉みしだく動きに合わせゆらゆらと揺れている。合わせた膝をじりっと合わせるのを見て、じわじわと俺の理性が焼き切れていく。
 クロエの腰を掴み横座りだった足を開かせ跨るように膝の上に腰を下ろさせると、白い脚をとろりと蜜が流れた。

「あ……っ、やだ待って……!」
「駄目だ逃げないで」

 逃げようとするクロエの腰に腕を回し、指先で内腿をついっとなぞると大きく身体が跳ねた。そのまま蜜を掬うように指を滑らせ蜜が滴る密壺へ指を沈める。
 温かくぬかるんだそこは、ぐぷりと容易く指を呑み込み痙攣した。

「ぁっ、んんっ!」
「クロエ、きもちいいね。腰が揺れてる」
「や、やだ……っ! あっ、ああ!」

 ぐちゅぐちゅと音を立てながら指をばらばらと動かしクロエのいいところを刺激すると、クロエの腰が更に揺れ背中を逸らせた。腰をグッと支え、目の前の真っ白な胸で小さく尖る果実に吸い付くと、クロエの中がギュッと俺の指を締め付ける。

「あっ! ダメ、どうじ、にしないで……っ! ぁっ、ああっ!」

 唇で強く挟み吸い上げると、ますますクロエの中が大きく蠢く。舌先で果実を弾きぬるぬると舌を這わせると、ますますクロエの嬌声が高く上がりびくびくと身体が痙攣をはじめた。中でばらばらと動かす指の数を増やし更に掻き混ぜると、真っ白な脚にギュッと力が入り俺のシャツを握るクロエの手に力が入った。

「クロエ、イって」

 耳元に唇を寄せ囁くと、クロエの身体がピンと強張りシャツを掴んでいた手が離れた。そのまま倒れそうになるその身体をぎゅっと掻き抱き、ビクビクと痙攣するクロエを腕の中に閉じ込める。
 くったりと力が抜けたクロエの顔を覗き込むと、頬を赤らめ浅い呼吸を繰り返している。うっすらと開いた唇から覗く白い歯が、真珠のように煌めいた。汗で張り付いた髪をそっと額からよけ、ちゅっと音を立てて口付けを落とす。

「クロエ、そんな顔して余程気持ちよかったんだな」
「……ん……」

 頬を染め視線だけをこちらに向けるその表情に、じわりと下半身が疼く。快楽に溺れままならない快感に身を任せるクロエの痴態は、この上なく俺の理性を揺さぶるのだ。

「クロエ、膝立ちできる?」
「そ、んなの……むりよ」

 はあはあと呼吸を荒げるクロエはくったりと完全に体を俺に預けている。俺の肩に載せた頭を優しく撫でながら、片手で素早く自分の下衣をずるりと下ろした。痛いほどに張りつめたそれは、血管が浮き出て先走りが零れ、今にも爆発しそうなほど天を向いている。我ながら引くほどだが仕方ない。

 クロエの腰を掴みグイっと持ち上げると、俺の下半身を見たクロエがぎょっとした。

「ま、まって、そんなの無理よ」
「大丈夫だよ、昨夜たっぷり慣らしたから」
「昨夜より大きいわ!」
「そんなことないから」

 クロエの密壺にグッと己の切っ先を当てるとたらりと蜜が流れた。
 申し訳ないがこれ以上の待ては聞けない。

「クロエ、次は俺をイかせて」
「ま……っ!」

 ズンっとクロエの奥へひと息に己を突き立てると、ひゅっとクロエの喉が鳴った。熱いくらいのクロエの中がぎゅうっと締め付ける。

「クロエ、入れただけでイった? 凄い締め付けて……っ、まずい待って、そんなにしないでくれ」
「ぁ、あっ、ら、らい……っ」

 クロエの中が蠢き俺に吸い付く。腰に走る射精感をグッと奥歯を食いしばり堪え、しばらくやり過ごす。額から流れた汗が顎を伝いぽたりと落ちた。クロエの腕を取り首に回させると、クロエがはあっと息を吐きだした。その甘い息を呑み込んで目の前の唇にちゅっと口付けを落とすと、ゆるゆると緑の瞳が俺を捉える。

「ライ……あいしてるわ」
「俺も愛してるよ、クロエ。君だけだ……君だけ」

 ゆるゆると腰を動かしながら、しがみ付くクロエと口付けを交わしながら、うわ言のように愛を囁く。


 こうして毎夜のように肌を合わせ愛を囁けば、いつか俺は安心して眠ることが出来るようになるだろうか。
 自分だけが抱えるこの執着のような愛は、正しく君に伝わるだろうか。
 俺の与える快楽に溺れさせ、二度と俺から離れたりしないようにしているなど、こんな俺の気持ちを知った時、君は俺から離れたりしないだろうか。
 
 どんなに愛を囁いても不安を抱く俺に、君は気が付いているのだろう。だからこそ、俺を求め俺の傍にいてくれると言うのだろう。
 そうやって積み重ね、二人の愛を擦り合わせて、俺は、俺たちは溶けあってひとつになるのだろう。

 そうしていつか、愛しか残らない二人になればいい。
 あの薄青空に浮かぶ、白いぼんやりとした月のように。
 
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