7 / 40
ユフィール5
しおりを挟む
カタン、と小さな音が聞こえて目を覚ました。
朝なのだろう、室内はカーテンの隙間から差し込む明かりに照らされ、うっすらと明るい。天蓋のカーテンを手で退けると、いつの間にか室内に運び込まれたワゴンの上で紅茶がいい香りを放っていた。
身体を起こしたけれど、まだ鉛のように全身が重い。どうにもすぐに動けなくて、ベッドの上で背中にクッションを当て上体だけ起こした。
(夢……)
ただの夢ではない。
あれは、私の前世の夢だ。昨日突然思い出した、私の違う世界での前世。
何の違和感もなくすべて受け入れられるのは、あれが私の別の人生だったから。
『ゆふセンセ』
彼の明るく人懐っこい笑顔が鮮やかに脳裏に蘇る。
冷たい風も夜の空気も、あの肉まんの味も。
『たかつき! 高槻レン!』
知らない街並みに明るく輝く街灯、車の行き交う音、コンビニの看板に家々の窓から漏れる明かり。そしてあの、懐かしい年老いた雑種犬。
(なぜ、今になって思い出したのかしら)
私はしばらく、朝日の差し込む部屋で動くことができなかった。
*
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
身支度を整えて侯爵夫妻のもとへ謝罪に訪れた。
イリス夫人がやや眉間に皺を寄せて私を見つめるのを居心地悪く思いながら、侯爵閣下がテーブルに置かれた紅茶を勧めてくださるのを有難く頂戴する。すっきりとした香りが朝にぴったりだ。
「まだ顔色がよくない。長旅で疲れたところを無理したのだろう」
「申し訳ありません、そんなつもりはなかったのですが……」
「自己管理も侯爵家の人間として大切なことよ。自分の体調くらいちゃんと把握なさい」
「申し訳ありません」
ぴしゃりと響く夫人の声に、その通りだと益々俯く。
「気を付ければいいだけよ」
「はい」
「貴女は少し……」
「イリス、今は少し休ませてあげよう」
閣下が何かを言おうとした夫人の肩を優しく撫でると、夫人はそのまま口を噤んだ。細められた瞳が私を観察するように見つめるのを落ち着かない気持ちでじっと耐える。
「食事は摂れたか?」
「はい。料理長にご配慮いただきました」
「ふむ、料理長に言ってしばらくは君の部屋に運ばせよう。自分のペースで気にせずゆっくり休息をとることも必要だ」
「いえ、大丈夫です」
「我々は貴族社会に身を置いているが、ここは家庭でもある。無理をする必要はない。それに今の貴女の優先事項は、アレクに会うことだと思うが」
それは、そのために体調を整えておけということなのだろう。なんだか想定外に優しい言葉に、俯いていた顔をそっと上げる。閣下は自身も紅茶をひと口飲み、私と目が合うとふっと優しく瞳を細めた。
「……お心遣い痛み入ります」
「そんなに固くならずともいい。貴女は家族になるんだから」
よく休みなさい、と閣下に言われ、改めて頭を下げると私は応接室を後にした。夫人は最後まで何も言うことなく、ただ私をじっと見つめていた。
扉の外で待っていたあの護衛騎士が、私の前を先導して部屋へと連れて行ってくれる。
(ここはお屋敷なのだから、護衛は必要ないと思うのだけれど)
それともまた倒れるのを警戒されているのだろうか。そう思うとなんだか申し訳ない。彼にも家庭があるのだと聞いているから、四六時中、私のそばを離れないというのも無理な話だ。
「あの」
騎士の背中に声を掛けると、白金の頭がこちらに少しだけ頭を傾けた。
「昨日は、迷惑をかけてしまってごめんなさい」
「……いえ。私こそお疲れだというのに気が付きもせず、ご無理をさせて申し訳ありませんでした」
「そんなことはないわ。屋敷まで運んでくださったのでしょう? ありがとう」
「仕事ですから」
ぶっきらぼうにそう言う騎士に、ふふっと笑みがこぼれた。
「それでもよ。ありがとう、ハンス」
騎士の、ハンスの広い背中から、小さな声で「いえ」と声が聞こえた。
*
「お嬢様、こちら昨日の本屋で買おうと思っていものが届きました」
部屋へ戻るとアナが嬉しそうに荷物を荷解きしていた。そこには昨日買おうと腕の中に抱えていた本がチェストの上に積み上げられている。私が倒れた混乱の中で、持ち帰ることができなかった品々を店の人が届けてくれたらしい。アナも置いてきてしまった商品を嬉しそうに箱から取り出している。
「よかったわ。また改めて伺いたいわね」
嬉しくて山から一冊手に取ると、その下からあの深緑の本が現れた。
(……!!)
声にならない悲鳴を上げて、思わず隠すようにその上に本を重ねる。
ちらりとアナを見ると、彼女は自分の買ったものを嬉しそうに隣の部屋へ運ぶところだった。
(ど、どうしてこれが……)
あの官能小説だ。
この本が置かれている場所で倒れたのだ、おそらく手にしていた本と混ざってしまったのだろう。
(よ、読みたい、かも)
そう、前世では好んで恋愛小説を読んでいた。だからなのか、確かに今も恋愛小説が好きだ。けれど官能小説は読んだことがない。
(でも、以前は……前世では読んでいたわ。そう、TL小説とかも)
前世のことはぼんやりとしか思い出せないことばかりだけれど、こうして何かきっかけがあると思い出せるようだ。
(これを見て前世の記憶が蘇ったのね)
アナがいないことを確認して、深緑の表紙を手に取り、そっと撫でる。箔押しの文字がシンプルで美しい。
前世では好んでよく読んでいた異世界転生や転移モノ。まさか自分がこうして前世の記憶を持つ転生した人間だなんて、転生するなんて思わなかった。当然だけれど。
(でも、わかったところで生活が変わるわけではないわね)
ただ少し、前世の記憶が今の私を変えるような気がする。
それが何なのか、今はまだわからないけれど。
私は深緑の本を、ベッド脇にある鍵付きのチェストにそっとしまった。
朝なのだろう、室内はカーテンの隙間から差し込む明かりに照らされ、うっすらと明るい。天蓋のカーテンを手で退けると、いつの間にか室内に運び込まれたワゴンの上で紅茶がいい香りを放っていた。
身体を起こしたけれど、まだ鉛のように全身が重い。どうにもすぐに動けなくて、ベッドの上で背中にクッションを当て上体だけ起こした。
(夢……)
ただの夢ではない。
あれは、私の前世の夢だ。昨日突然思い出した、私の違う世界での前世。
何の違和感もなくすべて受け入れられるのは、あれが私の別の人生だったから。
『ゆふセンセ』
彼の明るく人懐っこい笑顔が鮮やかに脳裏に蘇る。
冷たい風も夜の空気も、あの肉まんの味も。
『たかつき! 高槻レン!』
知らない街並みに明るく輝く街灯、車の行き交う音、コンビニの看板に家々の窓から漏れる明かり。そしてあの、懐かしい年老いた雑種犬。
(なぜ、今になって思い出したのかしら)
私はしばらく、朝日の差し込む部屋で動くことができなかった。
*
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
身支度を整えて侯爵夫妻のもとへ謝罪に訪れた。
イリス夫人がやや眉間に皺を寄せて私を見つめるのを居心地悪く思いながら、侯爵閣下がテーブルに置かれた紅茶を勧めてくださるのを有難く頂戴する。すっきりとした香りが朝にぴったりだ。
「まだ顔色がよくない。長旅で疲れたところを無理したのだろう」
「申し訳ありません、そんなつもりはなかったのですが……」
「自己管理も侯爵家の人間として大切なことよ。自分の体調くらいちゃんと把握なさい」
「申し訳ありません」
ぴしゃりと響く夫人の声に、その通りだと益々俯く。
「気を付ければいいだけよ」
「はい」
「貴女は少し……」
「イリス、今は少し休ませてあげよう」
閣下が何かを言おうとした夫人の肩を優しく撫でると、夫人はそのまま口を噤んだ。細められた瞳が私を観察するように見つめるのを落ち着かない気持ちでじっと耐える。
「食事は摂れたか?」
「はい。料理長にご配慮いただきました」
「ふむ、料理長に言ってしばらくは君の部屋に運ばせよう。自分のペースで気にせずゆっくり休息をとることも必要だ」
「いえ、大丈夫です」
「我々は貴族社会に身を置いているが、ここは家庭でもある。無理をする必要はない。それに今の貴女の優先事項は、アレクに会うことだと思うが」
それは、そのために体調を整えておけということなのだろう。なんだか想定外に優しい言葉に、俯いていた顔をそっと上げる。閣下は自身も紅茶をひと口飲み、私と目が合うとふっと優しく瞳を細めた。
「……お心遣い痛み入ります」
「そんなに固くならずともいい。貴女は家族になるんだから」
よく休みなさい、と閣下に言われ、改めて頭を下げると私は応接室を後にした。夫人は最後まで何も言うことなく、ただ私をじっと見つめていた。
扉の外で待っていたあの護衛騎士が、私の前を先導して部屋へと連れて行ってくれる。
(ここはお屋敷なのだから、護衛は必要ないと思うのだけれど)
それともまた倒れるのを警戒されているのだろうか。そう思うとなんだか申し訳ない。彼にも家庭があるのだと聞いているから、四六時中、私のそばを離れないというのも無理な話だ。
「あの」
騎士の背中に声を掛けると、白金の頭がこちらに少しだけ頭を傾けた。
「昨日は、迷惑をかけてしまってごめんなさい」
「……いえ。私こそお疲れだというのに気が付きもせず、ご無理をさせて申し訳ありませんでした」
「そんなことはないわ。屋敷まで運んでくださったのでしょう? ありがとう」
「仕事ですから」
ぶっきらぼうにそう言う騎士に、ふふっと笑みがこぼれた。
「それでもよ。ありがとう、ハンス」
騎士の、ハンスの広い背中から、小さな声で「いえ」と声が聞こえた。
*
「お嬢様、こちら昨日の本屋で買おうと思っていものが届きました」
部屋へ戻るとアナが嬉しそうに荷物を荷解きしていた。そこには昨日買おうと腕の中に抱えていた本がチェストの上に積み上げられている。私が倒れた混乱の中で、持ち帰ることができなかった品々を店の人が届けてくれたらしい。アナも置いてきてしまった商品を嬉しそうに箱から取り出している。
「よかったわ。また改めて伺いたいわね」
嬉しくて山から一冊手に取ると、その下からあの深緑の本が現れた。
(……!!)
声にならない悲鳴を上げて、思わず隠すようにその上に本を重ねる。
ちらりとアナを見ると、彼女は自分の買ったものを嬉しそうに隣の部屋へ運ぶところだった。
(ど、どうしてこれが……)
あの官能小説だ。
この本が置かれている場所で倒れたのだ、おそらく手にしていた本と混ざってしまったのだろう。
(よ、読みたい、かも)
そう、前世では好んで恋愛小説を読んでいた。だからなのか、確かに今も恋愛小説が好きだ。けれど官能小説は読んだことがない。
(でも、以前は……前世では読んでいたわ。そう、TL小説とかも)
前世のことはぼんやりとしか思い出せないことばかりだけれど、こうして何かきっかけがあると思い出せるようだ。
(これを見て前世の記憶が蘇ったのね)
アナがいないことを確認して、深緑の表紙を手に取り、そっと撫でる。箔押しの文字がシンプルで美しい。
前世では好んでよく読んでいた異世界転生や転移モノ。まさか自分がこうして前世の記憶を持つ転生した人間だなんて、転生するなんて思わなかった。当然だけれど。
(でも、わかったところで生活が変わるわけではないわね)
ただ少し、前世の記憶が今の私を変えるような気がする。
それが何なのか、今はまだわからないけれど。
私は深緑の本を、ベッド脇にある鍵付きのチェストにそっとしまった。
90
お気に入りに追加
199
あなたにおすすめの小説
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
恋がしたいなら、ネタバレ禁止!~自分の幸せを最優先して、すべてぶちまけた悪役令嬢ですけど何か文句あります?~
待鳥園子
恋愛
なんと、乙女ゲームの悪役令嬢イリーナに生まれ変わったと気がついた私。
王太子であるランベルトにすべてをぶち撒けて、自分は悪役令嬢にならず、安全に逃げることにした!だって、悪役令嬢なんて面倒そうだし貴族令嬢に生まれ変わったからには省エネで生きたい。
いよいよ乙女ゲームのハッピーエンドの卒業式で、何故かランベルトから名前を呼ばれることになって!?
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく
たまこ
恋愛
10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。
多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。
もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。
【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
あなたに忘れられない人がいても――公爵家のご令息と契約結婚する運びとなりました!――
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
※1/1アメリアとシャーロックの長女ルイーズの恋物語「【R18】犬猿の仲の幼馴染は嘘の婚約者」が完結しましたので、ルイーズ誕生のエピソードを追加しています。
※R18版はムーンライトノベルス様にございます。本作品は、同名作品からR18箇所をR15表現に抑え、加筆修正したものになります。R15に※、ムーンライト様にはR18後日談2話あり。
元は令嬢だったが、現在はお針子として働くアメリア。彼女はある日突然、公爵家の三男シャーロックに求婚される。ナイトの称号を持つ元軍人の彼は、社交界で浮名を流す有名な人物だ。
破産寸前だった父は、彼の申し出を二つ返事で受け入れてしまい、アメリアはシャーロックと婚約することに。
だが、シャーロック本人からは、愛があって求婚したわけではないと言われてしまう。とは言え、なんだかんだで優しくて溺愛してくる彼に、だんだんと心惹かれていくアメリア。
初夜以外では手をつけられずに悩んでいたある時、自分とよく似た女性マーガレットとシャーロックが仲睦まじく映る写真を見つけてしまい――?
「私は彼女の代わりなの――? それとも――」
昔失くした恋人を忘れられない青年と、元気と健康が取り柄の元令嬢が、契約結婚を通して愛を育んでいく物語。
※全13話(1話を2〜4分割して投稿)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる