【完結】相棒の王子様属性キラキラ騎士が甘い言葉で誘惑するの、誰かなんとかしてください

かほなみり

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 我に返り、ひどい泣き顔が恥ずかしくて狼狽える私を、レンナルトが素早くマントで顔が見えないよう包み抱きかかえた。
 驚いて身を固くすると、連れが体調を崩したとお店の人に声をかけ、宿の手配を頼んでいるレンナルトの声が聞こえる。

(そんな嘘、バレバレだと思うけど……!)

 そう思っても、この顔ではどうしようもない。大人しくレンナルトに従うほうがいい。そんな黙るしかない私の背中を宥めるように優しくマントの上から撫で、私を抱えたまま、レンナルトは指定された宿へと移動した。
 長いような短いような時間をかけて到着した部屋で二人になると、やっと頭から被っていたマントを取られる。

「……わあ」

 その美しく高級な部屋に思わず声が漏れた。
 状況も忘れてつい珍しい気持ちで見回している私を抱きかかえたまま、レンナルトは居室から続く部屋の扉を開ける。

(……あ)

 そこは、美しいカーテンが垂れ下がる大きなベッドが中央に置かれた寝室だった。
 レンナルトは黙ったままそのベッドに近づくと、優しく私を降ろした。背中に柔らかな感触を感じ見上げれば、じっと私を見下ろす緑の瞳と目が合い、その視線の真剣さに、恥ずかしさとは違う胸の苦しさを覚えた。ごまかすように視線を周囲に巡らせる。
 レンナルトに気を取られて、何も見えてないけど。

「れ、レン? あの、ここ……」
「気になるのはわかるんだけどさ」
「え、うん、素敵な部屋ね?」
「ああ、家の名前使ったから」
「そ、なの? 大丈夫? すごく高そうだけど……」
「初めて来たから知らない」
「え?」

 初めて? レンナルトならいつも利用してそうなのに。そんな気持ちが顔に出ていたのか、レンナルトが苦笑しながら小さな声でもう一度「初めて来たよ」と呟いた。

「そ、なの? 私……」
「ゾーイごめん、もう無理」
「え? ……んぁっ」

 レンナルトは身体を起こそうとする私に覆い被さり、噛みつくように口付けをした。
 口を大きく開けたレンナルトに、まるで飲み込まれるような錯覚に陥りながら、けれど柔らかく優しく押し付ける唇のくすぐったさと甘さに、心がふわふわしてくる。

「……ゾーイ」

 時折甘い声で私の名を呼ぶその声に応えるように、私もレンナルトの唇に口付けをした。
 だって今さら、何を抵抗することがあるだろう。
 私だって望んでいることだ。
 レンナルトにもっと口付けをしてもらいたい。私からも口付けをしたいし、もっと抱きしめてほしいし抱きしめたい。
 その金色の髪を、ずっと梳いていたい。

「レン」
「ん?」
「……レンナルト」
「ああ、わかってる」
「……っ」

 私たちはそれ以上何も言わずに抱き合い、口付けを繰り返した。
 
 ベッドの上で抱き合いながら、レンナルトの大きな手が私の身体をまさぐる。隊服越しでも感じる強く、でも優しく柔らかなその刺激が気持ちよくて、はあっと深く息を吐きだした。
 いとも簡単にレンナルトに隊服を脱がされ、ズボンのベルトを抜かれる。ガチャッと床にベルトが落ちる音を聞いて、これから始まることに恥ずかしくなり顔が熱くなった。

(えっと、どうしたらいいの? 私も何かしたほうがいい?)

 与えられる感覚に身体が震えうまく頭が働かない。そんな私にお構いなしに、レンナルトは私のブーツの紐をほどいて脱がせていく。
 ゴトゴトとブーツも床に放り出され、私のズボンに手をかけるその手を思わず慌てて上から押さえると、レンナルトは身体を倒し宥めるように私の唇に吸い付いて、ゆっくりと首筋を舐め上げた。
 ぬるりとした舌の感触に小さく震え甘い声が漏れる。
 その声に気を良くしたのか、レンナルトは舌先で何度も私の首筋をなぞり唇で吸い付いた。

(……気持ちいい)

 首筋で動くレンナルトの頭を抱きかかえ、舌先に与えられる刺激に身を捩りながら首をのけぞらせた。
 気持ちよさに溺れそうだ。
 身体を起こしたレンナルトが、下着姿になった私の上に跨がりながら自分もジャケットごとシャツを脱ぎ捨て、その鍛え上げられた肉体を晒した。
 しっとりと汗ばみ上下する胸筋を見上げて、レンナルトが私に興奮しているのを感じ、身体の中心が熱くなる。

 レンナルトの長い指が器用に私のコルセットの紐をほどいた。きつく締められていた胸がふわりと解放され、思わずほおっと息を吐き出す。

「……締め上げられてるのは可哀想だけど、他の奴らの目に留まることを考えると、な」
「え? な、なに?」
「知ってはいたけど、すごく……きれいだよ、ゾーイ」
「……っ!」

 レンナルトは赤くなったであろう私の顔を見てふっと口端を上げて笑うと、薄い肌着の上から私の胸にふわりと指を沈めた。柔らかさを確かめるようにふわふわと胸を優しく揉み、持ち上げ寄せた。

「ん……っ」
「気持ちいい? ピンク色が透けて肌着を押し上げてる。……かわいいな」
「え、なん……ぁっ!」

 薄い下着を押し上げる胸の頂をレンナルトの指が弾いた。その刺激にビクリと身体を揺らすと、今度はきゅっと摘み捻るように指で弄る。
 びくびくと身体が揺れて、お腹の奥がジワジワと熱を持つ。快感が身体を走るのをどうしたらいいのか分からず無意識に太腿を擦り合わせると、レンナルトの熱い掌が太腿を撫で上げた。

「ぁっ、や……」
「かわいい、ゾーイ」

 薄い肌着の上からレンナルトが頂を口に含んだ。舌が頂を弾き、じゅうっと音を立てて吸い上げる。布越しの刺激だというのに、その甘い痺れにゾワゾワと全身が震えた。
 これが快感なのかもよくわからない。
 ただ、身体を駆け抜ける甘い痺れとレンナルトの荒い呼吸、触れ合う素肌の熱が気持ちいい。
 身体の奥からもっと、とレンナルトにすがりたい欲望が沸き起こる。
 
 肌を確かめるように、スルスルと太腿を撫でていた掌がゆっくりと内ももを這い、脚の付け根へ上がってきた。
 胸への刺激と脚の付け根をなぞる指の動きに何も考えられない。
 胸元で動くレンナルトの金色の髪を撫でると、レンナルトがふと顔を上げこちらを見た。
 浅く呼吸を繰り返す私に、レンナルトが優しく頬を撫でる。その手つきに、愛おしさが溢れてくる。

(ああもう……本当に)

 レンナルトは本当に、私を大切にしてくれている。
 ずっと、ずっとそうだった。

 レンナルトは私の顎や首筋を甘噛みし、きつく吸い上げ肌に赤い痕をつけながら、脚の間に身体を割り込ませた。

「あっ!」

 かろうじて羽織っていた肌着を抜き取られ、慌てて胸を隠そうとすると手首を掴まれシーツに押さえつけられる。
 その力強さに背中がゾクリと震える。

「隠したらだめ」
「だ、だって!」

 だってこんなの、恥ずかしいに決まってる!

「全部見たい」
「も、もう見たでしょ……!」
「もっと」

 私の手首を押さえたまま身体を倒したレンナルトが、コツンと額を合わせた。互いの熱い呼吸が唇をかすめ、息が上がってくる。

「もっと見せて」

 レンナルトの強い眼差しに動けない。
 じっくりと私の肌を見つめるその視線に、見られた場所が赤く染まっていくような気がした。
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