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第四章
子爵
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俺は帰るとさっそく信長様に面会を申し込んだ。
「ユージよ。今回は大儀であったな。」
「は。この度はテイマーを後一歩までおいつめたのですが、逃げられてしまいました。」
「まったくしぶとい奴よな。まぁ良い。今回は我らが共同事業であるスキー場を守っただけでよしとしよう。」
「そう言っていただけると助かります。」
「ロームよりも防衛の兵を出そう。スキー場は重要事業じゃからな。」
「ありがとうございます!」
「ところでユージよ。お主はいまだ無官じゃな?」
「ええ・・はい。私には必要のないものなので。」
「今回は名誉騎士の称号を得たとの話を聞いておる。」
「は。氷竜王からいただきました。実はいまだ実感がわきませんが・・」
信長様はそれを聞いてフッと微笑むと
「今までのお主の功にロームとしても報いねばならん。ユージよ!こたびはライン・ビーチの街を領地として与える!異論は認めん!」
「は・・ライン・ビーチというとあのクラーケンの・・しかし信長様、私はまだ学生ですが・・。」
「戦国時代であればもう元服していてもおかしくない年よ。異論は認めぬと申したであろう?」
「は!かしこまりました!」
「そして領地をもったお主には子爵の位を与える!」
「は!かしこまりました!」
子爵というものも良く分かっていないのだが・・。
「しかし、信長様、私は領地経営の何たるかがわかりません。」
「それは優秀な代官をおけばいいであろう。その者に領地の取り仕切りをまかせるのだ。多くの貴族もそうしておる。」
「は・・代官・・ですか・。」
俺はその時、一人の人物の顔が浮かんでいた。
「・・信長様、実は私に与えていただきたい配下がいるのですが・・」
「申してみよ。」
「財務部門のクリス・レーニン殿です。是非あのお方を領地経営にいただきたく存じます。」
「ほう、クリスとはな。中々見る目があるのう・・。あれは優秀な官僚で忠義心にも厚い男じゃ。」
「以前ちらりとお話を伺う機会があり、優秀な方だとお見受けいたしました。」
「よかろう!好きに使うがいい。」
「ありがとうございます!感謝いたします!」
「更に、ローゼンデール家、ヴァレンティ家にも追加で領地をつかわそう。後ほど使いのものを出すがお主からも言ってやるがいい。」
「それは・・二人も喜ぶでしょう!ありがとうございます!」
「ふふ、お主は自分より友垣の領地の方が嬉しそうじゃのう?面白い奴じゃ。」
「は・・いえ、あの二人には助けられておりますから・・」
「そして報奨金は10万ベルムじゃ。お主が分配するがいい。」
「は!ありがとうございます!」
「では今後とも精進するがいい。ではな。」
――――――――
俺は信長様の前を辞すると早速クリスを探した。
何人かに聞いてみると財務部門で仕事をしているとのことだ。
財務部門に行ってみると、クリスが書類と格闘している最中だった。
「おお、これは・・ユージ殿でしたか?アカネ様のご友人であられる。」
「はい。実はこの度、ライン・ビーチに領地をいただきまして子爵となりました。」
「おお!その若さで・・!おめでとうございます!ライン・ビーチは中規模の街ですが人も明るく気さくなものが多いので治めやすいと思いますよ?」
「ありがとうございます。それで・・私は領地経営のことが何もわかっていないものですから、代官を置くことにいたしました。」
「ほう、それは賢明ですな。」
「それで・・信長様には許可をいただいたのですが、クリス殿にライン・ビーチの経営を担う代官として仕えていただきたいのです。」
「私が!それはありがたいお話ですが・・」
「実はアカネ・・・アカネ・ローゼンデールとの話を聞いていました。クリス殿ならば信頼できると判断したのです。」
「・・なるほど。承りました。王宮官僚にも飽きてきたところですからな!この腕を振るって街の発展に貢献できるとはやりがいがあるというものです。」
クリスはそういうと笑った。
「ありがとうございます!では是非よろしくお願いいたします!」
「承りました。では現在の仕事が片付きましたら早速任地に赴きましょう。」
「助かります。重ね重ねよろしくお願いいたします。」
「いえいえ。王宮官僚の中には、中枢に関われるということで離れたがらないものもいるのですが、私は自分の力で街の発展に貢献したいと考えていたのですよ。今回のお話は私にとってもありがたいお話です。」
「そういっていただけると助かります。クリス殿、ではよろしくお願いいたします」
「ははは!もうあなたは私の主君ですぞ!今後はクリスとお呼びください。」
「わかりまし・・わかった。クリス。ではよろしく頼む。」
「お任せください。ともにライン・ビーチを発展させていきましょう!」
良かった。気持ちよく請け負ってくれて助かった。
――――――――
俺は翌日、アカネ、アイリス、アイズに信長様との面談のことを伝えた。
「ユージ!すごいじゃない!中等部の身で子爵なんて!この調子じゃすぐに追い抜かれちゃいそうね!」
アカネは嬉しそうだ。
「私も嬉しいな。七女の身で領地をもらえるなんてないもの・・ユージ君ありがとう・・。」
アイリスも嬉しそうだ。
「僕はお金が嬉しい。」
「ああ、それと、アカネには言っておいた方がいいと思ったんだが、クリス・レーニン殿・・クリスを代官としてもらい受けることになった。」
「クリス殿ってあの財務官僚の?私は良くは知らないけど、お父様やお爺様の信頼厚い方だったみたいよ!良かったわね!」
「ああ、俺も優秀で、何より信用できると判断した。これからライン・ビーチの領地経営にあたってもらう。」
「ライン・ビーチをいただいたのね。クラーケンの時から縁があるわね。」
「ああ、それだけにせっかくいただいた領地を発展させたいと思ってるんだ。」
「頑張ってねユージ。」
アカネが微笑んでくれた。
「それで、報奨金なんだが、いつもの通り2万5千ベルムで分けようと思う。」
アカネはため息をつくと、
「ユージ。私もお金が欲しくないわけじゃないわ。でも通常、指揮官は多くの割合を取るものよ?相場は半分といったところかしら。」
「うーん・・そうかもしれないけど・・。今回も皆に助けてもらったし、俺は皆で分けたいんだ。」
「まぁユージらしいけどね。」
「僕は嬉しい。お金持ちになってきた。」
アイズがほくほくしている。家からのお金が少ないってぼやいてたからな。
「私も素直にもらっておくね!ヴァレンティ家はお金持ってるけど七女じゃ自由に使えるお金なんてないし。ありがとうユージ君。」
アイリスも喜んでくれたようだ。
「まぁもしかすると領地経営で今後はお金が必要になるかもしれないけどな。もし俺が苦しくなったら皆に頼ることもあるかもしれないから。とりあえず今回は山分けで行こう。」
「わかったわ。」「うん。わかったよ。」「僕もわかった」
三人三様にそう言った。
――――――――
「おいおい、今度は名誉騎士だって?ユージ」
「ああ、今回の功績で氷竜国から叙勲された。」
「全くお前はどこまで上っていくんだか・・。領地に子爵もいただいたんだろう?」
本当にダースは耳が早いな。
「もうお体は大丈夫ですの?」
レインが心配そうに聞いてきた。
「ああ、おかげでようやく動けるようになった。心配かけたな。」
「心配なんて・・ユージさんのご無事がなによりですわ。」
「ありがとう、レイン」
そういえば俺は日本でこんな風に心配してくれる人もいなかったな・・クラスメートに良くしてもらえてるだけで、だいぶ違う人生になってるな・・。以前は友人もいなかったからな・・。
「それに出世著しいユージさんと仲良くしておけばコルトン家にも益がありそうですもの!」
レインはそういうとウインクをしてきた。
さすがだな。
「ユージ君、もう体はいいのか?」
フレンダが聞いてきた。
「ああ、そろそろライム道場にも顔を出すと思う。」
「それは良かった。父上もユージ君の復帰を待ち望んでいたぞ。」
うーん、それは厳しい稽古が待ってるぞ、ってことだよな。ちょっと怖い。
「私もこの前は役に立てなかったからな。まぁ仕方ない。今後はより一層精進するつもりだ。」
うーん、フレンダは相変わらずだな。でも素手だとさすがに魔獣相手は厳しいんじゃないだろうか?
「私は剣も使うぞ?この前は愛刀がなかったことに加え、皆の避難誘導で戦いに参加できなかったからな。」
そういえばそんな話を聞いたような気もするな。
「しかし、重ね重ね残念だ。私も戦いに参加し、活躍できれば少しは貧乏道場に貢献できたかもしれないのに・・」
フレンダがまだブツブツ言っている。
「まぁまた次の機会に頼むよ。その時は力を貸してくれ。」
「うむ。承った。」
そして皆に振り向くと、」
「まぁとにかく、体は戻ったし、もうなんともない。皆心配かけた。」
「何言ってんだよ!」「心配するのは当然ですわ!」「武士のやせ我慢か・・ふむ興味深い。」
それぞれダース、レイン、フレンダがらしいことを言って来た。
席に戻ると、アイリスが後ろの席からつんつんしてきた。
「ユージ君、本当はまだ痛むでしょう?」
・・アイリスにはかなわないな。
「ああ、実はまだ体がミシミシ言ってる。どうも火傷だけじゃなく、戦闘中あちこちに受けた傷がまだ癒えてないみたいなんだ。」
「そりゃそうだよ。あれだけ激しい戦いをして数日で治るほど人間の体は簡単じゃないよ。今日からユージ君の寮に毎日行くからね!」
え?寮に?それは色々まずいんじゃないだろうか?
「わかった?断ることは許さないんだからね?」
アイリスが珍しく押してくる。
「ああ・・わかった・・世話になるよ。」
それからアイズの治療が始まった、
部屋に学園の女神と二人きりでドキドキしたが、アイリスの真剣な表情を見ているとそれどころじゃなくなった。
ある時、アイリスのお父さんのコーネリアスさん、お母さんのリスティさんが訪ねてきた。
「ユージ殿・・この度は娘を守っていただき、感謝の言葉もございませぬ。」
コーネリアスさんがそう言って頭を下げる。
「いえいえ、僕もこうしてアイリスに助けてもらってますから。お互い様です。」
「そう言っていただけるとありがたいが・・。こう言っては何ですが、今後何かあったらこのコーネリアスをお頼りください、力の及ぶ限り、ヴァレンティ家の総力を挙げてお助けいたします。」
「ありがとうございます。その時は頼りにさせてもらいます。」
俺は頭を下げた。
「本当にこの度はありがとうございました・・。この子はどこか抜けてるところがあるから心配なんですの・・」
リスティさんが言う。
え?抜けてる?そんなイメージはないなぁ?
「いや、アイリスは学園ではしっかりものとして通っていると思いますが・・」
「あら、そうでしたの!でしたらうまく猫をかぶっているのね。オホホ!」
「もう!母上!家とは違うんです!学園ではちゃんとやってますから!」
アイリスがプンプンしている。
そこで微笑んでいたコーネリアスさんが、
「では長居してもご迷惑ですので・・。アイリス、しっかりとユージ殿を診るのだぞ。」
「はい、わかっております。父上。」
「では失礼いたします。今後ともアイリスをよろしくお願いいたします。」
お父さん、お母さんは去っていった。
そういえばアイズのお父さんにもアイズをよろしくと頼まれたんだった、なんか少し責任を感じてきた・・。
「さ!それじゃ今日の治療をやるよ?もうあと数日で完治できると思うけどね?」
「ああ、ありがとう、頼む、アイリス。」
そうして数日がたった。
俺は完全に回復した。
――――――――
俺が回復した翌日。
最近は忙しくて中々食堂にやってこないキースがやってきた。
すると、アイリスがこんなお願いをし始めた。
「キース君!いえ、トール様!お願いがあります!」
「ん?アイリスちゃんが俺にお願いとは嬉しいな?なんだい?」
「私に魔力障壁を教えてほしいの!」
「魔力障壁か・・確かに教えられるが・・今、学園の結界の作成で忙しいんだ。うーん、そうだな。何とかやりくりするか。放課後時間を作れるかい?」
「クラブはしばらくお休みにさせてもらうわ。お願い!私には今自分や皆を守る方法が必要なの!」
アイリスは必死だ。
よほどこの前のことが堪えたんだろう。
「・・わかった。じゃあ学校が終わってから教えるよ。少し厳しいけど我慢できるかい?」
「はい!お願いします!」
アイリスも成長しようとしてるようだな。
「私は新たなオリジナル魔法の練習してるから時間がないけど、私もできれば教えてほしかったわね・・。」
アカネが残念そうに言う。
「じゃあ早速明日からでも始めよう。魔力を結構使うから体調は万全にね?」
「はい!わかりました!」
その後、アイリスはウェイ部長に事情を話し、しばらくクラブを休むことになった。
頑張れよ、アイリス。
――――――――
俺は久々にライム道場に顔を出していた。
「久しいなユージ。今回も激戦だったようだが。」
ゴートン先生がそう言って来た。
「はい。今回は攻撃力は増したのですが、雷閃でやられてしまいました。」
「雷閃か・・あれはやっかいだな・・しかし対応方法がないわけではない。」
ゴートン先生はそういうと、小さな木の玉を数十個出してきた。
「君の剣は破壊不能の属性を保有しているんだったな。ならばその剣である程度は雷閃を防げるはずだ。これから私が次々とこの玉を投げるからそれを剣ではじくんだ。」
「はい!わかりました!」
やってみると意外と難しい。剣の中心部にあてて正確にはじくことができないのだ。
「剣の中心ではじくんだ。それができれば横にそらすこともできるようになる!」
「はい!どんどんお願いします!」
俺はまた修業に没頭していった。
「ユージよ。今回は大儀であったな。」
「は。この度はテイマーを後一歩までおいつめたのですが、逃げられてしまいました。」
「まったくしぶとい奴よな。まぁ良い。今回は我らが共同事業であるスキー場を守っただけでよしとしよう。」
「そう言っていただけると助かります。」
「ロームよりも防衛の兵を出そう。スキー場は重要事業じゃからな。」
「ありがとうございます!」
「ところでユージよ。お主はいまだ無官じゃな?」
「ええ・・はい。私には必要のないものなので。」
「今回は名誉騎士の称号を得たとの話を聞いておる。」
「は。氷竜王からいただきました。実はいまだ実感がわきませんが・・」
信長様はそれを聞いてフッと微笑むと
「今までのお主の功にロームとしても報いねばならん。ユージよ!こたびはライン・ビーチの街を領地として与える!異論は認めん!」
「は・・ライン・ビーチというとあのクラーケンの・・しかし信長様、私はまだ学生ですが・・。」
「戦国時代であればもう元服していてもおかしくない年よ。異論は認めぬと申したであろう?」
「は!かしこまりました!」
「そして領地をもったお主には子爵の位を与える!」
「は!かしこまりました!」
子爵というものも良く分かっていないのだが・・。
「しかし、信長様、私は領地経営の何たるかがわかりません。」
「それは優秀な代官をおけばいいであろう。その者に領地の取り仕切りをまかせるのだ。多くの貴族もそうしておる。」
「は・・代官・・ですか・。」
俺はその時、一人の人物の顔が浮かんでいた。
「・・信長様、実は私に与えていただきたい配下がいるのですが・・」
「申してみよ。」
「財務部門のクリス・レーニン殿です。是非あのお方を領地経営にいただきたく存じます。」
「ほう、クリスとはな。中々見る目があるのう・・。あれは優秀な官僚で忠義心にも厚い男じゃ。」
「以前ちらりとお話を伺う機会があり、優秀な方だとお見受けいたしました。」
「よかろう!好きに使うがいい。」
「ありがとうございます!感謝いたします!」
「更に、ローゼンデール家、ヴァレンティ家にも追加で領地をつかわそう。後ほど使いのものを出すがお主からも言ってやるがいい。」
「それは・・二人も喜ぶでしょう!ありがとうございます!」
「ふふ、お主は自分より友垣の領地の方が嬉しそうじゃのう?面白い奴じゃ。」
「は・・いえ、あの二人には助けられておりますから・・」
「そして報奨金は10万ベルムじゃ。お主が分配するがいい。」
「は!ありがとうございます!」
「では今後とも精進するがいい。ではな。」
――――――――
俺は信長様の前を辞すると早速クリスを探した。
何人かに聞いてみると財務部門で仕事をしているとのことだ。
財務部門に行ってみると、クリスが書類と格闘している最中だった。
「おお、これは・・ユージ殿でしたか?アカネ様のご友人であられる。」
「はい。実はこの度、ライン・ビーチに領地をいただきまして子爵となりました。」
「おお!その若さで・・!おめでとうございます!ライン・ビーチは中規模の街ですが人も明るく気さくなものが多いので治めやすいと思いますよ?」
「ありがとうございます。それで・・私は領地経営のことが何もわかっていないものですから、代官を置くことにいたしました。」
「ほう、それは賢明ですな。」
「それで・・信長様には許可をいただいたのですが、クリス殿にライン・ビーチの経営を担う代官として仕えていただきたいのです。」
「私が!それはありがたいお話ですが・・」
「実はアカネ・・・アカネ・ローゼンデールとの話を聞いていました。クリス殿ならば信頼できると判断したのです。」
「・・なるほど。承りました。王宮官僚にも飽きてきたところですからな!この腕を振るって街の発展に貢献できるとはやりがいがあるというものです。」
クリスはそういうと笑った。
「ありがとうございます!では是非よろしくお願いいたします!」
「承りました。では現在の仕事が片付きましたら早速任地に赴きましょう。」
「助かります。重ね重ねよろしくお願いいたします。」
「いえいえ。王宮官僚の中には、中枢に関われるということで離れたがらないものもいるのですが、私は自分の力で街の発展に貢献したいと考えていたのですよ。今回のお話は私にとってもありがたいお話です。」
「そういっていただけると助かります。クリス殿、ではよろしくお願いいたします」
「ははは!もうあなたは私の主君ですぞ!今後はクリスとお呼びください。」
「わかりまし・・わかった。クリス。ではよろしく頼む。」
「お任せください。ともにライン・ビーチを発展させていきましょう!」
良かった。気持ちよく請け負ってくれて助かった。
――――――――
俺は翌日、アカネ、アイリス、アイズに信長様との面談のことを伝えた。
「ユージ!すごいじゃない!中等部の身で子爵なんて!この調子じゃすぐに追い抜かれちゃいそうね!」
アカネは嬉しそうだ。
「私も嬉しいな。七女の身で領地をもらえるなんてないもの・・ユージ君ありがとう・・。」
アイリスも嬉しそうだ。
「僕はお金が嬉しい。」
「ああ、それと、アカネには言っておいた方がいいと思ったんだが、クリス・レーニン殿・・クリスを代官としてもらい受けることになった。」
「クリス殿ってあの財務官僚の?私は良くは知らないけど、お父様やお爺様の信頼厚い方だったみたいよ!良かったわね!」
「ああ、俺も優秀で、何より信用できると判断した。これからライン・ビーチの領地経営にあたってもらう。」
「ライン・ビーチをいただいたのね。クラーケンの時から縁があるわね。」
「ああ、それだけにせっかくいただいた領地を発展させたいと思ってるんだ。」
「頑張ってねユージ。」
アカネが微笑んでくれた。
「それで、報奨金なんだが、いつもの通り2万5千ベルムで分けようと思う。」
アカネはため息をつくと、
「ユージ。私もお金が欲しくないわけじゃないわ。でも通常、指揮官は多くの割合を取るものよ?相場は半分といったところかしら。」
「うーん・・そうかもしれないけど・・。今回も皆に助けてもらったし、俺は皆で分けたいんだ。」
「まぁユージらしいけどね。」
「僕は嬉しい。お金持ちになってきた。」
アイズがほくほくしている。家からのお金が少ないってぼやいてたからな。
「私も素直にもらっておくね!ヴァレンティ家はお金持ってるけど七女じゃ自由に使えるお金なんてないし。ありがとうユージ君。」
アイリスも喜んでくれたようだ。
「まぁもしかすると領地経営で今後はお金が必要になるかもしれないけどな。もし俺が苦しくなったら皆に頼ることもあるかもしれないから。とりあえず今回は山分けで行こう。」
「わかったわ。」「うん。わかったよ。」「僕もわかった」
三人三様にそう言った。
――――――――
「おいおい、今度は名誉騎士だって?ユージ」
「ああ、今回の功績で氷竜国から叙勲された。」
「全くお前はどこまで上っていくんだか・・。領地に子爵もいただいたんだろう?」
本当にダースは耳が早いな。
「もうお体は大丈夫ですの?」
レインが心配そうに聞いてきた。
「ああ、おかげでようやく動けるようになった。心配かけたな。」
「心配なんて・・ユージさんのご無事がなによりですわ。」
「ありがとう、レイン」
そういえば俺は日本でこんな風に心配してくれる人もいなかったな・・クラスメートに良くしてもらえてるだけで、だいぶ違う人生になってるな・・。以前は友人もいなかったからな・・。
「それに出世著しいユージさんと仲良くしておけばコルトン家にも益がありそうですもの!」
レインはそういうとウインクをしてきた。
さすがだな。
「ユージ君、もう体はいいのか?」
フレンダが聞いてきた。
「ああ、そろそろライム道場にも顔を出すと思う。」
「それは良かった。父上もユージ君の復帰を待ち望んでいたぞ。」
うーん、それは厳しい稽古が待ってるぞ、ってことだよな。ちょっと怖い。
「私もこの前は役に立てなかったからな。まぁ仕方ない。今後はより一層精進するつもりだ。」
うーん、フレンダは相変わらずだな。でも素手だとさすがに魔獣相手は厳しいんじゃないだろうか?
「私は剣も使うぞ?この前は愛刀がなかったことに加え、皆の避難誘導で戦いに参加できなかったからな。」
そういえばそんな話を聞いたような気もするな。
「しかし、重ね重ね残念だ。私も戦いに参加し、活躍できれば少しは貧乏道場に貢献できたかもしれないのに・・」
フレンダがまだブツブツ言っている。
「まぁまた次の機会に頼むよ。その時は力を貸してくれ。」
「うむ。承った。」
そして皆に振り向くと、」
「まぁとにかく、体は戻ったし、もうなんともない。皆心配かけた。」
「何言ってんだよ!」「心配するのは当然ですわ!」「武士のやせ我慢か・・ふむ興味深い。」
それぞれダース、レイン、フレンダがらしいことを言って来た。
席に戻ると、アイリスが後ろの席からつんつんしてきた。
「ユージ君、本当はまだ痛むでしょう?」
・・アイリスにはかなわないな。
「ああ、実はまだ体がミシミシ言ってる。どうも火傷だけじゃなく、戦闘中あちこちに受けた傷がまだ癒えてないみたいなんだ。」
「そりゃそうだよ。あれだけ激しい戦いをして数日で治るほど人間の体は簡単じゃないよ。今日からユージ君の寮に毎日行くからね!」
え?寮に?それは色々まずいんじゃないだろうか?
「わかった?断ることは許さないんだからね?」
アイリスが珍しく押してくる。
「ああ・・わかった・・世話になるよ。」
それからアイズの治療が始まった、
部屋に学園の女神と二人きりでドキドキしたが、アイリスの真剣な表情を見ているとそれどころじゃなくなった。
ある時、アイリスのお父さんのコーネリアスさん、お母さんのリスティさんが訪ねてきた。
「ユージ殿・・この度は娘を守っていただき、感謝の言葉もございませぬ。」
コーネリアスさんがそう言って頭を下げる。
「いえいえ、僕もこうしてアイリスに助けてもらってますから。お互い様です。」
「そう言っていただけるとありがたいが・・。こう言っては何ですが、今後何かあったらこのコーネリアスをお頼りください、力の及ぶ限り、ヴァレンティ家の総力を挙げてお助けいたします。」
「ありがとうございます。その時は頼りにさせてもらいます。」
俺は頭を下げた。
「本当にこの度はありがとうございました・・。この子はどこか抜けてるところがあるから心配なんですの・・」
リスティさんが言う。
え?抜けてる?そんなイメージはないなぁ?
「いや、アイリスは学園ではしっかりものとして通っていると思いますが・・」
「あら、そうでしたの!でしたらうまく猫をかぶっているのね。オホホ!」
「もう!母上!家とは違うんです!学園ではちゃんとやってますから!」
アイリスがプンプンしている。
そこで微笑んでいたコーネリアスさんが、
「では長居してもご迷惑ですので・・。アイリス、しっかりとユージ殿を診るのだぞ。」
「はい、わかっております。父上。」
「では失礼いたします。今後ともアイリスをよろしくお願いいたします。」
お父さん、お母さんは去っていった。
そういえばアイズのお父さんにもアイズをよろしくと頼まれたんだった、なんか少し責任を感じてきた・・。
「さ!それじゃ今日の治療をやるよ?もうあと数日で完治できると思うけどね?」
「ああ、ありがとう、頼む、アイリス。」
そうして数日がたった。
俺は完全に回復した。
――――――――
俺が回復した翌日。
最近は忙しくて中々食堂にやってこないキースがやってきた。
すると、アイリスがこんなお願いをし始めた。
「キース君!いえ、トール様!お願いがあります!」
「ん?アイリスちゃんが俺にお願いとは嬉しいな?なんだい?」
「私に魔力障壁を教えてほしいの!」
「魔力障壁か・・確かに教えられるが・・今、学園の結界の作成で忙しいんだ。うーん、そうだな。何とかやりくりするか。放課後時間を作れるかい?」
「クラブはしばらくお休みにさせてもらうわ。お願い!私には今自分や皆を守る方法が必要なの!」
アイリスは必死だ。
よほどこの前のことが堪えたんだろう。
「・・わかった。じゃあ学校が終わってから教えるよ。少し厳しいけど我慢できるかい?」
「はい!お願いします!」
アイリスも成長しようとしてるようだな。
「私は新たなオリジナル魔法の練習してるから時間がないけど、私もできれば教えてほしかったわね・・。」
アカネが残念そうに言う。
「じゃあ早速明日からでも始めよう。魔力を結構使うから体調は万全にね?」
「はい!わかりました!」
その後、アイリスはウェイ部長に事情を話し、しばらくクラブを休むことになった。
頑張れよ、アイリス。
――――――――
俺は久々にライム道場に顔を出していた。
「久しいなユージ。今回も激戦だったようだが。」
ゴートン先生がそう言って来た。
「はい。今回は攻撃力は増したのですが、雷閃でやられてしまいました。」
「雷閃か・・あれはやっかいだな・・しかし対応方法がないわけではない。」
ゴートン先生はそういうと、小さな木の玉を数十個出してきた。
「君の剣は破壊不能の属性を保有しているんだったな。ならばその剣である程度は雷閃を防げるはずだ。これから私が次々とこの玉を投げるからそれを剣ではじくんだ。」
「はい!わかりました!」
やってみると意外と難しい。剣の中心部にあてて正確にはじくことができないのだ。
「剣の中心ではじくんだ。それができれば横にそらすこともできるようになる!」
「はい!どんどんお願いします!」
俺はまた修業に没頭していった。
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金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
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彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
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※月、水、金、更新予定!
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
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31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
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【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
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※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
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神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
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事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
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「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
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雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
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※表紙のイラストはAIによるイメージです
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