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第三章

帰国、そして

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俺は帰国して早速信長様に拝謁を申し出た。

直接アイズに王宮まで送ってもらい、王宮でおろしてもらったのだ。

始め、衛士たちはドラゴンが降り立ってきたことで騒いでいたが、俺たちの顔を見ると見知ったものがいたようで混乱はすぐに収まった。

「おう、お主は・・拝謁か?」

「はい。ご老公にお話が。」

「よし、通れ。」

衛士ともすっかり顔なじみになった。

俺は信長様の部屋の前で待つとやがて声がかかった。

「入れ」

声に従って入室する。

「信長様にはご機嫌うるわしゅう・・」

「よい。儂がそのような挨拶を面倒がるのは知っておるだろう?それとも氷竜の国で礼儀でも学んできおったか?」
信長様はそう言って笑う。

「此度のことはサンダユウから聞いておる。良くやってくれた。」

「はい。今回も仲間に助けられました。特に、戦闘のみでなく、治療にアイリスが大活躍でした。」

「ふむ。聞いている。ヴァレンティ家の息女だな。ヒールに優れた才を持つというが・・。」

「はい。この度はそのヒールのおかげで王の心臓の血栓を取り除くことができました。」

「ゲカシュジュツという奴じゃの。やりおるな。おかげで氷竜国も安定が戻ったであろう。」

「はい、今後は王が再び施政に戻るかと思われます。」

そこで信長様はフッと笑った。

「それで・・?今回は報告だけではないのであろう?」

さすが信長様だ。情報網が半端ないな。

「おっしゃる通りです。この度は氷竜国の新たな産業について進言させていただきたく。」

俺はそこでスキーについて説明した。

・・・

「ふむ・・スキーとな。転移者からも聞いたことはないものじゃな。」

「娯楽産業なので今まで進言がなかったのでしょう。為政者に進言するものでもありませんから。」

「しかし、お主は面白いことを考えるのう・・そうか・・産業復興に娯楽産業をのう・・。」

「これは私の世界では既に一大産業となっています。成功事例もあることですし、是非ご協力を考慮いたきたく、お願い申し上げます。」

「ふむ・・こちらにとっても利のある話であるな。よし、いいだろう。氷竜族との繋がりも強化されるのは悪いことではない。」

「はっ。これを機に氷竜族の力を頼りにできることもあるかと思います。」

「フッ。なかなか良いことをいうではないか。良かろう。初期投資については全面的に協力しよう。」

「ありがとうございます!」

信長様は戦争だけでなく楽市楽座など経済にも通じていた方だ。経済センスも尋常ではない。
ちなみに、5大軍団を自由自在に操ったその知能指数は150は下らないと言われている。理解が早いのも当然だろう。

「して、今回の報酬じゃが、金もそうじゃが、領地も考えておる。ローゼンデールはその方が喜ぶであろう。」

「ありがとうございます!私は領地はいりませんが、ローゼンデール家には領地をお願いいたします。今回の戦いでは大部分がローゼンデールのものが活躍しておりましたので。」

「ふむ。お主は欲がないのう。わかった。そのようにいたそう。4人であったのう。褒賞は10万ベルムじゃ。お主が分配するがいい。」

「かしこまりました。ありがとうございます。」

――――――――

翌日。

俺はアカネ、アイリス、アイズに昨日の信長さまのことを話した。

「今回もお金に領地ね・・ありがたい話だわ・・。」
アカネが感慨深げだ。

「お金については、今回は1万俺、あとは3万ずつ皆で分けてくれ。」

「ちょっと!そういうわけにはいかないわよ!とどめ刺したのはユージなんだから!」
アカネがむくれて言う。

「いや、俺はとどめ刺しただけだ。今回は戦闘はアカネ、アイズ、治療はアイリスだったから・・」

「指揮を執ったのはあなたでしょう?前みたいに平等でいいわよ。じゃないと受け取れないわ!」
アカネも譲る気はなさそうだ。

仕方ない。

「わかった。じゃあ、前の通り2万5千ベルムずつ皆で分けよう。」

「それが一番だよ。」
アイリスも笑う。

「ん。僕も満足。」
アイズも言う。一応姫だが貧乏留学生なので嬉しいようだ。

――――――――

Bクラスにて

「おいおい、またドラゴン倒しちまったってなぁ?今度は複数かぁ?」
ダースが早速からんできた。

「まぁ・・今回は少し活躍できたかな・・。でもほとんどアカネとアイズのおかげだけど。」

「おお、さすが俺の女神だぜ!」
ダースは相変わらずアカネがお気に入りらしい。

「それで、今度はおいくらいただきましたの?」
レインが聞いてきた。

「ああ、今回は2万5千ベルムだ。またコルトン家に預けるからよろしく。」

「ふふ、承りましたわ。それにしてもどんどん武功を上げるのですね?」

「うーん・・実感ないけど。そうなのかなぁ?」

「そうですわよ!普通中等部の生徒がドラゴンなんて倒せませんわ!」

まぁ、そうかもしれない。仲間にも恵まれてるけど。

「でも自分的には今回氷竜族とローム王国の繋ぎができたことが嬉しいんだ。これで氷竜族が経済的に発展したら、皆のためになるしな。」

「ふふ、その、スキー・・でしたか?私もやってみたいですわ!」

「ああ、楽しいと思うよ。みな普段修練してるからすぐに滑れるようになるんじゃないかな?」

「ああ、そうそう。私考えたのですけど、コルトン家も一つその事業に加えていただいてよろしいかしら?」

「そりゃ、構わないし、多分、氷竜族もローム王国も助かると思うけど。いいのか?」

「それは、事業のためですもの!お金の匂いのするものは逃しませんわ!」
とレインは笑った。

コルトン家が入ってくれれば事業の成功率もあがりそうだな。

「わかった。じゃあご家族に話しておいてくれるかな?」

「かしこまりましたわ!お任せくださいませ!」

ありがたい話だ。

「ユージ君。活躍だったようだな。」
フレンダがそう言って近くに来た。
相変わらず、道場でも教室でも凛々しいな。

「まぁ、皆のおかげだよ。そうそう、今回は重力魔法が早速役に立ったよ。」

「それは父上もお喜びになるだろう。教えがいがあるというものだ。」

「うん。ライム道場で学んだことは全部今回生きたよ。」

「父上もユージ君は筋がいいと言っていたからな。・・おっとこれは言わない方が良かったか。」
といってポニーテールを揺らして失笑する。

俺が筋がいい?嬉しいけどそんなこと言われたの初めてだ。

「まぁ、今回はアイリスも大活躍だったからな。アイリスも褒めてやってくれよ。」

「わ・・私は何もしてないよ。ただ治療しただけだよ!」

「治療といっても心臓から血栓を取り除いたんだろう?それは俺のいた世界じゃたいそうな技術だよ。」

「心臓を治療したのか?すげーな!アイリスちゃん!」
ダースが感心している。

やっぱりこの世界でも心臓の治療は難しいんだな。

「そのうち、ヒーラーとして、この国に名を轟かせることになるかもしれませんわね。うふふ。」
レインがそう言って笑う。

金持ちでも病気やケガはどうしようもないからな。ヒーラーや医者に頼るなら腕の確かな人物を欲しがるのは当然だろう。

「うーん・・我が道場でも怪我人が絶えないからな・・。ヒーラーがいてくれるとありがたいのだが・・」
フレンダがそんなことをブツブツ言っている。

「あ、怪我人が出たらすぐに駆け付けるよ!いつでも言ってね?」
とアイリスが微笑む。

「それは本当にありがたい。道場では毎日のように怪我人が出ているからな。」
そういうとフレンダは笑った。

――――――――

ライム道場にて

「今回は重力魔法が早速役に立ちました。」
俺がそうお礼を言うと、

「ふむ。役に立ったのならなによりだ。だが、まだまだ修行の道は遠いぞ。」
とゴートン先生にたしなめられた。

「ふふ、でも今回は氷竜を倒したのですよ?大したものです。」
とフレンダが言ってくれた。

「うん。以前は目を突くのが精いっぱいだったんだけど、今回は目も含め逆鱗でとどめをさしたり、ドラゴンを仕留めることができた。」

「しかし、未だ長期の戦闘は苦手だろう?精進するがいい。」
とゴートン先生に言われた。

「はい。どうぞよろしくお願いします。」

また、稽古の日々が始まった。

そして・・そんな時、学園で事件が起きた。
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