上 下
14 / 72
第一章

再戦

しおりを挟む
俺たちは王都に帰ってきた。

ヴァレンティ家の馬車で寮まで送ってもらい、アカネ、アイリスに別れを告げる。

寮の前まで送ってもらうと
「アイリス、今回はありがとう。馬車、ずっと俺たちを待ってくれてて助かった。ヴァレンティ家の皆さんにもお礼を言っておいてくれ。」

「ううん、私も色々学べたから。」
とアイリスも朗らかに笑う

ヴァレンティ家の馬車が去った後、

「ユージ、またあいつと戦うの?」
とアイズが聞く。

「うん・・あいつは俺が超えなきゃいけない壁のような気がする。多分・・」

「そう。僕がユージを守る。」

「いや、今回は俺一人でやる。やらせてほしいんだ。」

「なんで?」

「あいつは過去の俺の亡霊だからだ」

「?よくわからない。」

「とにかく、今回は俺の問題なんだ。頼む。」

「そう・・。わかった。よくわからないけど。」
アイズは無表情の中にも少し逡巡した感情をにじませて言う。

――――――――

学校が始まる。

俺たちは始まるまでの短い期間の中、手を付けていなかった宿題などに追われ、忙しい日を送った。

時に自室で一人ホーンテッドに向かい話しかけたりもしてみたが・・
特に反応はなかった。

おいそれと会話をできるようなものでもないらしい。

やがて学園の秋学期が始まった。

――――――――

ローム王国は上下に長く伸びており、日本のように四季がある。

学校は主にセメスター制(2学期制)を取っていて日本での夏、冬にあたる時期に長期休暇が設定されている。ただ、日本のように湿気が高いわけではないので、比較的爽やかな空気となっている

俺とアイズは揃って登校していた。

「よう、ユージ!休みはどうだった?」
さっそくキースが話しかけてくる。

「ああ、まぁ実り多い休暇だった」

「ふーん?」
と、何かを聞きたそうな顔をしている。

「ああ、アイリスも修業してより強力なヒールを使えるようになったみたいだよ。」
というと、

「お前、それも大事だけど、そーじゃねーだろ。アカネちゃんとは何もなかったのか?」

「!ないよ、あるわけないだろう?」
慌てて打ち消す。本当にそれどころじゃなかった。

そもそもアカネ、アイリスは学園ヒエラルキーの頂上なのだ。たまたま親しくさせてもらっているが元々最下層の人間としては手を出すなどおこがましい。
アイズだって氷竜族のお姫様だしね。忘れそうになるけど。

――――――――

昼食時。

「もう、休みはほとんど修業だったから残った宿題をやっと最終日に終えたわ」
アカネが言う。

「アカネは優等生なんだろう?勉強は余裕じゃないのか?」

「そんなことないわよ。努力してるの!」

やっぱり簡単にSクラスでやっているわけではないんだな。

「ところでアカネは何位くらいなんだ?」

「私は三位くらいね。二位から五位はあまり差がないけどね。そのあたりの順位はいったりきたりよ。」

なるほど。上位で競い合ってるんだな。

「ところで。」
アカネが話を変える。

「ウルヴァン、来てるわよ。」

・・よし。

――――――――

俺は昼食後にできるだけ急いでSクラスに向かう。
ウルヴァンのことだ。まともに授業受けずに帰ってしまうかもしれないからな。

・・Sクラスに行くのって緊張するな。

廊下から教室内を見てみると、みな頭が良さそうに見えた。

ウルヴァンは窓際の席に一人、つまらなそうに外を見ていた。

「よう」
ウルヴァンに話しかける。

「ああ?てめぇはこの前の雑魚か?なんだ?」
ウルヴァンは早速噛みつきそうな顔で振り向く。

「この前の続きをしたい。放課後近くの河川敷まできてくれないか?」

「ふーん、この前のじゃ懲りなかったってわけか?言っとくけど今度はあんなもんじゃ済まさないぜ?」

「ああ、覚悟はしてる。」

「ギャハハ!俺に二度挑んでくる奴はいねぇからな!珍しいぜ、お前。いいだろ、付き合ってやるぜ!」

――――――――

放課後、ついてくるというアカネ、アイリスを説得し、俺は一人で河川敷に行くと言った。
アイズは説得したにも関わらず来たがっていたが、今回は一人でいくべきだと思ったので、特に強く止めておいた。補習もあるし。

「ユージ、大丈夫?剣も持ってないじゃない。」
別れ際、アカネが心配そうに顔を向ける

「ああ、この前みたいにはならないと思う。剣はちょっと考えがあって置いてきた」

「・・そう。気を付けてね・・。」
アカネが心配そうに眉をひそめる。

「ありがとう。まぁ力を尽くしてみる。」
俺は内心の怯えを隠しつつ、みなに別れを言った。

河川敷にやってくる・・と、待つ間もなく、ウルヴァンがやってきた。

「おう、今回は一人かぁ?この前のドラゴンと一緒じゃなくていいのかぁ?雑魚ってのは群れないと何もできねぇからなぁ!」

「いや、今回は皆の力を借りたくない。もし俺が倒れたらそれまでだ。」

「ハッ!いい度胸じゃねぇか!後悔すんなよ、雑魚が!この前程度で済むと思うなよ!」

と、俺に向けて獰猛な笑みを浮かべてきた。

俺は「ホーンテッド、力を貸してくれ!」と念じる。
力が体に流れ込むのがわかる。これなら・・

「雑魚の相手は退屈だからなぁ!さっさと終わらせるぜ!精神破壊メンタルブレイク!」

瞬間、ウルヴァンの体から術が放たれる!

来た!

無色の波動・・!微妙に周囲と異なるエネルギーが俺に向かってきている。
よし、見える!これなら感じていたことができそうだ。

バチィッ!

俺は手で精神破壊メンタルブレイクを払い落していた。
厳密にはホーンテッドの力を手にまとい、見えない魔法を切っていた。

「ああん?」
ウルヴァンは少々予想外といった顔でこちらを見ている。

「なんだぁ?てめぇ・・何をしたぁ?」

ウルヴァンは一瞬意外そうな顔をした。

「手で払い落しただけだ。」
と答える。

ウルヴァンは予想外の対応に、
「払っただぁ?なんだそりゃあ?」
と一瞬驚きを見せるが、

「・・だがこの程度だと思うなよ?」
とその獰猛なオーラを隠すことなく言った。

俺は
「ホーンテッド、来い!」
と唱える。

次の瞬間、手にホーンテッドが握っていた。

できる予感があったから、寮からリモートで呼び寄せたのだ。

「ああ?なんだてめぇ?武器召喚?・・そうか休みの間に色々お勉強してきやがったってわけかぁ?」

「ああ、大変だったよ。でも今回はこれは使わない。」
と、俺はホーンテッドを鞘ごと腰に戻していた。

「てめぇ、武器もなしに俺とやりあおうってのか?」

「いや、厳密にいえば剣の力を借りている。ただ手に持っていないだけだ。」

「ふーん、なんか面白れぇことしてやがんな。じゃあ今度は全開だ!廃人になっちまえ!」

いうがはやいか、
精神破壊メンタルブレイク全開アンリミテッド!」
と術を放ってきた。

今度はより強力な術の波動が見える。強力な分周囲の色との差異も強い。

俺はそれを体をかわし、手で払いのけ、左右にかわし、時に飛んでよけて見せた。

「てめぇ・・何してやがんだぁ?」

「お前の術を見て回避しているだけだ」

「俺の術を見るだとぉ・・?そんな奴は今まで見たことねぇ・・てめぇ何もんだ?」

「俺はただの弱い雑魚だよ・・お前の言う通りな。だが今は様々な力を借りてここにいる。」

「ああ?よくわかんねぇなぁ・・だが多少変わったのは確かなようだなぁ!」

と今度は炎魔法を放ってきた。

それを払いのけると、今度は炎が正面から周囲へ変化し俺を囲むように迫ってくる。

「ハァ!」
今度は四方八方の炎の一カ所のみ払い、そこから脱出する。

「まだまだいくぜ!これはどうだ?」

ウルヴァンは雷魔法を向けて俺を刺し貫こうとする。

俺は払うより体を左右にかわし、いなす。

「面倒くせぇなぁ!これはどうだ!サンダーストーム!」

これはウェイ部長の技・・!本当に様々な魔術に精通してるな。

これは食らうわけにはいかない。体ごと持っていかれてしまう。

俺はウルヴァンの放たれる術気を見てそこから目標の辺りに見当をつけ、その場所から大きく飛びのいた。

一部雷撃で服が焼けたが致し方ない。

「てめぇ・・本当に何やってやがんだ?」

「かわしてるだけさ。今度は俺の番だ!」

俺は言うが否や距離を詰め、ウルヴァンに向かって左ジャブから右ストレートを放つ。

「ハッ!近づけば勝負になるってかぁ?甘いんだよ!」
ウルヴァンはスウェーでかわし、同時にカウンター気味に右ストレートを放ってくる。

俺はギリギリでそれをかわし、バックステップする。

すぐに右ハイキックが飛んできた。

今度は両手を固めて左頭部をガードし、右ローキックを放つ。

ウルヴァンは膝でカットしすぐに返しのローキック。

と同時に至近距離から炎魔法を使ってきた。

グッ!
ローはカットしたが・・少し炎魔法を食らった。至近距離でも魔法を放てるのか。
体術も素人じゃないな・・。

特殊な機関に拾われたと聞いたがそこで仕込まれたのだろうか?

「これだけだと思うなよ?こっちは武器も遠慮しねぇ!」

今度はウルヴァンが、懐からナイフを取り出し突き出してくる。

危なくそれをバックステップでかわす。。

そうしてお互いに体術、魔術をぶつけ合うこと数合、
俺のほうにダメージが積み重なっていく。
だが、決定打だけは与えない。

「ああ!もうこれはどうだ?精神破壊メンタルブレイク範囲スコープ!」

俺の周囲に精神破壊メンタルブレイクが迫ってくる。前後左右逃げ場はない。俺は正面のみ打ち払い包囲網を正面突破。

そのままウルヴァンに再度接近し、
「ハァアッ!」
前蹴りを放つ。

ウルヴァンはそれを余裕のある素振りでステップバックしてかわす。

「至近距離にも安全地帯はねぇんだよ!まだわからねぇのか!精神破壊メンタルブレイク全開アンリミテッド!」

高密度の術が俺を正面から打つ。

サイドステップしたがかわし切れず、術に囚われる。

精神汚染が入り込んでくる。

それは俺がルースの作った空間で味わったような、自分の否定の嵐だった。
なるほど、自分の最ももろい部分につけこみ、それを拡大し、意識を失わせるわけか・・すこし精神破壊メンタルブレイクのことが分かった気がした。

一瞬気が飛びそうになるが・・

・・しかし、
「俺は・・俺だ!ホーンテッド、もっとだ!もっとこい!」

力が流れ込んでくるのがわかった。 あの空間で問答したことが呼び起こされる。

自己を強く持つことが多少ダメージを減らしてくれるようだ。

気が付くと結果として精神破壊メンタルブレイクに耐えていた。
足がガクガクしているが・・・何とか立っていた。

しかし、これはまともに喰らったら一瞬で意識が刈り取られるな・・復活が危ぶまれるレベルで。

「てめぇ・・!!いい加減鬱陶しんだよ!!」

ウルヴァンはイラついたようにナイフを俺の腹に突き入れてきた。

あぶなっ! 

俺は危うく手で払いのけ、そのまま払った手でボディブロー。ようやくウルヴァンにヒット。

一瞬ウルヴァンも息が詰まったようだが、すぐに立て直し、今度は雷撃を手にまとい顔面にフックを放ってきた。

俺はかわしきれず、フックを喰らい一瞬意識が飛びそうになる。
が、何とか立て直す。

俺は、
「そんなもんか?ナイフはお飾りか?」
と挑発する。

「あぁ?寝言言ってんなよ?俺はナイフも一流なんだよ!」

とウルヴァンはナイフを握りなおす。
そして胸に向け、ナイフを突き出してくる! 

その瞬間、俺が唱える
「コール!柳生石舟斎!」

再び力が湧き上がる。

そして・・

・・・

次の瞬間、ウルヴァンのナイフを奪い取り、その喉元にあてていた。

柳生無刀取り。
剣聖・上泉信綱が考案し、弟子の柳生石舟斎が完成させた新陰流の無手での対武器制圧術。
柳生一族が秘伝としていたというものだ。

「ここまでだ。もう魔術を放つ隙も与えない。」
俺はウルヴァンに向かって言う。

「それとも、このままナイフに突かれるか、魔術を放つのが早いか、比べてみるか?」

「チッ!」

ウルヴァンは地面にドカッと座り、

「てめぇ、妙な技を使いやがるな・・・だが俺の精神破壊メンタルブレイクが敗れたわけじゃねぇ!」

「ああ、お前の精神破壊メンタルブレイクは恐ろしい技だ・・俺ももう一回かすりでもしていたら昏倒していただろう。だが今回は俺の勝ちだ。」

「雑魚がちったぁ成長しやがったってか・・忘れんなよ? 次はこうはいかねーぜ?」

「それは全力でごめんこうむりたいな。」
俺は素直な気持ちを吐露する。

「チッ!もう行きやがれ!」

「ああ、もう行く。だけど最後にお礼を言わせてくれ。今回俺が多少なりとも強くなれたのはお前のおかげだ、ウルヴァン。」

「ああ?知らねぇなぁ?雑魚が多少できるようになったからって調子のんじゃねぇぞ?」

「ああ。その通りだな。じゃあな、ウルヴァン。」

俺はその場を去った。

河川敷の上にはアカネとアイリスがいた。
アイズはおとなしく補習を受けているようだ。

「ユージ、ボロボロじゃない。とても勝った人に見えないわ。」
アカネが言う。

「実際ボロボロだよ・・実は立ってるのも・・」
というと気が抜けたのかその場に座り込んだ。

「ご・・ごめん、アイリス・・ヒールお願い・・」

アイリスが駆け寄り、
「ユージ君!ちょっと待って!ヒール!」
体に力が戻り、俺はなんとか立ち上がることができた。

「もう!全然大丈夫じゃないじゃない!」
アカネが怒ったように俺を支える。

「アハハ・・そうみたい・・」
俺は苦笑していた。最後までしまらないなぁ・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

今日から始める最強伝説 - 出遅れ上等、バトル漫画オタクは諦めない -

ふつうのにーちゃん
ファンタジー
25歳の春、転生者クルシュは祖国を出奔する。 彼の前世はしがない書店経営者。バトル漫画を何よりも愛する、どこにでもいる最強厨おじさんだった。 幼い頃の夢はスーパーヒーロー。おじさんは転生した今でも最強になりたかった。 その夢を叶えるために、クルシュは大陸最大の都キョウを訪れる。 キョウではちょうど、大陸最強の戦士を決める竜将大会が開かれていた。 クルシュは剣を教わったこともないシロウトだったが、大会に出場することを決める。 常識的に考えれば、未経験者が勝ち上がれるはずがない。 だがクルシュは信じていた。今からでも最強の座を狙えると。 事実、彼の肉体は千を超える不活性スキルが眠る、最強の男となりうる器だった。 スタートに出遅れた、絶対に夢を諦めないおじさんの常勝伝説が始まる。

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる

ゆる弥
ファンタジー
転生した体はなんと骨だった。 モンスターに転生してしまった俺は、たまたま助けたテイマーにテイムされる。 実は前世が剣聖の俺。 剣を持てば最強だ。 最弱テイマーにテイムされた最強のスケルトンとの成り上がり物語。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

時代錯誤の大剣豪、異世界を駆ける 〜目覚めたら第二王子だったのだが、私はこの身体を立派な武士に仕立ててから持ち主に返すつもりである〜

さいぞう
ファンタジー
  『治に置いて乱忘れず』  天下泰平の世において、余りにもストイックに武士たることを追求しつづけた一人の男がいた。その男の名は子龍。時代錯誤と揶揄された剣豪である。  その男の日常は常軌を逸したものであった。早朝より怒声と共に木刀の打ち込みをすること500回。その後、居合いをすること300回。終われば槍の稽古、弓、鉄砲と続き、最後は馬の稽古で締めとなる鍛錬を毎日欠かさずこなし続けた。 その狂人振りは鍛錬だけには収まらない。  様々な武具を集めては部屋に乱雑に置き部屋は武具で溢れかえっていた。兵法書も好み、読み集めた兵法書は1700冊を超えている。兵法書を読む合間も机を叩き拳を鍛えあげ、夜は合戦を想定し甲冑を着たまま就寝した。常在戦場を胸に掲げ、食事は玄米に味噌だけで過ごしてきた。  そんな男も69で病にかかり、その生涯を終えることとなる。男は人生を振り返り心の中で願った。 (せめて、一度でも己の修練の成果を発揮できる場があったらば…)  男はそのまま息を引き取った。  死んだはずであった男が次に目を覚ますと世界は一変していた。男は異世界で小国の第二王子として生きることになってしまった。  だが、男はこれを良しとはしない。若者を犠牲にしてまで果たしたい願いなどない。こうして男は、入れ替わってしまった身体の持ち主であるカイルが目覚めるのを待ちつつ、この身体を立派な武士として仕上げておくことを決意するのだった。  果たして、男はこの異世界で何を思い、どのような生き方を選択するのか。 武士×異世界の物語が今始まろうとしている。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...