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あれから…………②

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 寝起きでぐずぐず言ってたフィーリは、アナとルインがあやしてくれてる。
 生む時大騒ぎしたのだけど、二人目ほしいと願うようになるのが不思議だ。
 私は恵まれていると思う、だってベテランベビーシッターをウーヴァ公爵が準備くれたし、家事だって適宜ウーヴァ公爵家から来てくれるメイドさんがやってくれる。

 ナタリアが目立ち出したお腹でお茶の準備をしているので、アンジェリカ様に付いてきたメイドさんもお手伝いに入る。
 見晴らしのいい屋敷の庭でお茶だ。
 子供達が、はしゃぎながら走り回る。

「本当に、ウィンティアさんには感謝だわ」

 と、改まるアンジェリカ様。

「どうしたんですか?」

「妊活よ。諦めなくて良かったわ。あんなにかわいい子供に恵まれたわ」

「ジョナサン様の理解があったからですよ」

「ふふ、貴女のそういうの変わらないわね」

 アンジェリカ様が優しい母親の眼差しを向ける。

「私と生まれのせいで、アナとルインは苦労するわ」

 と、呟く。
 アンジェリカ様はいずれルルディ王国貴族の頂点であるウーヴァ公爵を継ぐ。
 その次は、長女のアナスタシアになる。
 理由はルインは、王配になるのが運命つけられているからだ。
 レオンハルト王太子殿下とリリーナ嬢は無事に結婚して、二人の王女に恵まれた。だが、第二子を生んだ後、リリーナ嬢は体調を崩して、子供がのぞめなくなった。そうなると、第一王女エレイン殿下が、いずれ女王になる。なら、その伴侶は? となる。年齢的、血筋的にルインになるのが、自然の流れになり、既に婚約者となっている。
 ウーヴァ公爵家を継ぐのはアナスタシア、王配になるのがルインとなる。それが、アンジェリカ様の血筋であるウーヴァの役割だが、母親であるアンジェリカ様は、二人の負担になると思っていることだ。

「でもそう思うのは避けられないですよね。その時、側にいてあげられるのは、アンジェリカ様だけですよ」

 それは避けられないのなら、たよりになる母親が側にいてあげること。セシリア女公爵だってそうしたって聞いたし。

「ふふ、そうね。そうだわ、明後日お茶会だったわね」

「はいうちうちのお茶会です。初めてマルティンが婚約者のマナ嬢を連れてきます」

「早いわね、あんなに小さかったマルティンが婚約者連れてくるなんて。ザーデク子爵は安泰ね」

「そうですね」

 ナタリアはバトレルさんに嫁いだし、マルティンはローザ伯爵家に養子になったし。
 一番以外だったのは、ヴァレリーだ。
 なんと侯爵令嬢リーナ嬢がお嫁に来た。印象的なのはご家族だった。

「娘を娶ってくれてありがとうっ」

「どうか見捨てないで頂戴っ」

「根はいいこなんだっ、根はっ」

「たまによくわかない事があっても、目をつむってくれっ」

 ヴァレリーとナタリアびっくりしてた。私もびっくりよ。
 馴れ初め聞いたら、どうやら私関連で話が盛り上がり、リーナ嬢がヴァレリーを気に入ったみたい。押し掛け女房みたいな感じだったが。仲良くやってる。そのリーナ嬢はセーレ商会でバリバリの営業、ヴァレリーはユミル学園の大学を出てから、セーレ商会会頭、つまり生物学上の父親の秘書をしている。二人の間には息子が1人いる。
 フィーリの婚約者に、と画策しているらしいが、溺愛しているレオナルド・キーファーが拒否。まだ早いってさ。
 自分は八歳のウィンティアの婚約者になったのに、ね。

 それから、ステラ様はテヘロンに帰ってから、精神鍛練だと神殿に入った。修行僧になったのだが、任期を終えて、現在それは美しい女性となり王族として公務をしている。去年、内緒で会いに来てくれた。テヘロン大使館で大変お世話になった侍女さんも来てくれて、フィーリの為に素敵なワンピースをプレゼントしてくれた。あまりにも素晴らしい刺繍なので、いまでも大事にしている。ステラ様は結婚予定はないって。仕事が楽しいって。うーん、ステラ様の美しさが継承されないのは、なんだか相当な損失している気がする。
 アンネとは今でも文通している。マークと結婚して、マークの故郷で図書館で働いている。双子の女の子が生まれたって。
 みんな、それぞれの形に収まった感じだ。
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