329 / 338
キャサリンの最後④
しおりを挟む
ペーター・ラムダ子爵の証言がなくても、私はローザ伯爵家ジョージ・ローザとクラーラ・ローザの次女であると言う事実だけが述べられていく。
それに、伴い、キャサリンの私がティアラ・ローザの不義の娘だ、ローザ伯爵家に捨てていったと言う言葉が偽りである事と判断された。
どうして、そんな発言をしたか、とバトンタッチしたヒルダ夫人に質問されたキャサリン。
「だってあの子、ずっと家にいなかったのですっ。お父様とお母様が顔も見たくないと疎んじていた証拠ですわっ」
「ウィンティア嬢は、祖母のティーナ夫人が貴女の『魅了』に操られたローザ伯爵から守るために、別荘で育てられたのですよ」
「きっとおばあ様は、不義を働いた娘と同じ顔だから、表に出せないから、そうしたんですわっ」
「ティーナ夫人を死に追いやった自覚はないのですか?」
「そんなの誰かが勝手にしただけですわっ」
キャサリンワールド炸裂。
「何故、ウィンティア嬢をそのように思ったきっかけは? 本当に容姿だけですか?」
「そうですわっ、いきなり来て妹だなんて信じられませんっ。それに皆言ってましたわっ、ティアラにそっくりって」
「そっくり、それだけで?」
「だって、今まで家から追い出されていましたものっ」
堂々巡りだ。
「皆、言ってましたっ、あのティアラお嬢様って何度もっ」
埒が明かないと、ヒルダ夫人は別の証人を出した。
ローザ伯爵家の長く務める使用人だ。
まずは執事だ。
「ティアラお嬢様は、確かにおなくなりになりました。私はティアラお嬢様がお生まれになる前からローザ伯爵家にお仕えしてます。お生まれになってからずっと見守っていたティアラお嬢様の死は、想像以上に苦しいものでした」
執事が思い出すように続けた。
「大旦那様と大奥様は私ごときの苦しみではなかったはず。ティアラお嬢様が亡くなって、元婚約者から恥知らずな訴えまで起こされました。大旦那様と大奥様は気力で立ち向かわれました。そして、やっと落ち着いてからクラーラ様が輿入れされて、お生まれになられたのがキャサリンお嬢様とウィンティアお嬢様です」
「その時のローザ伯爵家の様子は?」
「キャサリンお嬢様の時は第一子もありましたが、すでに顔だちがよく、それは可愛がられておりました。ウィンティアお嬢様は、男児を望まれていましたが、ティアラお嬢様の面影が、それを払拭しました。クラーラ奥様も、それは喜んでいました」
なんと、クラーラ・ローザ、つまり、旧姓クラーラ・ラムダは、ユミル学園でティアラ・ローザと顔見知り。語学クラブの先輩がクラーラ、ティアラは後輩だった。そのきっかけがあり、ジョージ・ローザと婚約した。もともとジョージ・ローザは、別の婚約者がいたが、妹のティアラがミッドナイト貧血で亡くなったのを機に婚約解消している。
「ローザ伯爵家全員が思っていたはずです。ティアラお嬢様が帰って来てくれた、と。中にはそれを呟いた者もいましょうが、ティアラお嬢様が生んだなんて言うわけありません。クラーラ奥様が出産し、産声を聞いていたからです」
次に証言したメイド長も同じような感じだった。
どうしたら、キャサリンが早くに亡くなったティアラ・ローザが、ウィンティアを産んだと勘違いしたのか分からない、と。
「それに旦那様と奥様は、ティアラお嬢様の命日は必ずお墓参りに向かっていました。キャサリンお嬢様も必ず連れて、です。三年前にやっとコクーン修道院から戻ってくるウィンティアお嬢様に関しても、何度も説明しておりました」
と、証拠の業務日誌を出す。
たくさんの付箋紙、そこには墓参りとそのための花の準備など。そして、ウィンティアを迎え入れる為の準備、キャサリンへの説明が書かれていた。その中には、キャサリンの奇行や、それに伴うトラブル、どう処理したかが書かれていた。
それを、証拠として提出した。
それに、伴い、キャサリンの私がティアラ・ローザの不義の娘だ、ローザ伯爵家に捨てていったと言う言葉が偽りである事と判断された。
どうして、そんな発言をしたか、とバトンタッチしたヒルダ夫人に質問されたキャサリン。
「だってあの子、ずっと家にいなかったのですっ。お父様とお母様が顔も見たくないと疎んじていた証拠ですわっ」
「ウィンティア嬢は、祖母のティーナ夫人が貴女の『魅了』に操られたローザ伯爵から守るために、別荘で育てられたのですよ」
「きっとおばあ様は、不義を働いた娘と同じ顔だから、表に出せないから、そうしたんですわっ」
「ティーナ夫人を死に追いやった自覚はないのですか?」
「そんなの誰かが勝手にしただけですわっ」
キャサリンワールド炸裂。
「何故、ウィンティア嬢をそのように思ったきっかけは? 本当に容姿だけですか?」
「そうですわっ、いきなり来て妹だなんて信じられませんっ。それに皆言ってましたわっ、ティアラにそっくりって」
「そっくり、それだけで?」
「だって、今まで家から追い出されていましたものっ」
堂々巡りだ。
「皆、言ってましたっ、あのティアラお嬢様って何度もっ」
埒が明かないと、ヒルダ夫人は別の証人を出した。
ローザ伯爵家の長く務める使用人だ。
まずは執事だ。
「ティアラお嬢様は、確かにおなくなりになりました。私はティアラお嬢様がお生まれになる前からローザ伯爵家にお仕えしてます。お生まれになってからずっと見守っていたティアラお嬢様の死は、想像以上に苦しいものでした」
執事が思い出すように続けた。
「大旦那様と大奥様は私ごときの苦しみではなかったはず。ティアラお嬢様が亡くなって、元婚約者から恥知らずな訴えまで起こされました。大旦那様と大奥様は気力で立ち向かわれました。そして、やっと落ち着いてからクラーラ様が輿入れされて、お生まれになられたのがキャサリンお嬢様とウィンティアお嬢様です」
「その時のローザ伯爵家の様子は?」
「キャサリンお嬢様の時は第一子もありましたが、すでに顔だちがよく、それは可愛がられておりました。ウィンティアお嬢様は、男児を望まれていましたが、ティアラお嬢様の面影が、それを払拭しました。クラーラ奥様も、それは喜んでいました」
なんと、クラーラ・ローザ、つまり、旧姓クラーラ・ラムダは、ユミル学園でティアラ・ローザと顔見知り。語学クラブの先輩がクラーラ、ティアラは後輩だった。そのきっかけがあり、ジョージ・ローザと婚約した。もともとジョージ・ローザは、別の婚約者がいたが、妹のティアラがミッドナイト貧血で亡くなったのを機に婚約解消している。
「ローザ伯爵家全員が思っていたはずです。ティアラお嬢様が帰って来てくれた、と。中にはそれを呟いた者もいましょうが、ティアラお嬢様が生んだなんて言うわけありません。クラーラ奥様が出産し、産声を聞いていたからです」
次に証言したメイド長も同じような感じだった。
どうしたら、キャサリンが早くに亡くなったティアラ・ローザが、ウィンティアを産んだと勘違いしたのか分からない、と。
「それに旦那様と奥様は、ティアラお嬢様の命日は必ずお墓参りに向かっていました。キャサリンお嬢様も必ず連れて、です。三年前にやっとコクーン修道院から戻ってくるウィンティアお嬢様に関しても、何度も説明しておりました」
と、証拠の業務日誌を出す。
たくさんの付箋紙、そこには墓参りとそのための花の準備など。そして、ウィンティアを迎え入れる為の準備、キャサリンへの説明が書かれていた。その中には、キャサリンの奇行や、それに伴うトラブル、どう処理したかが書かれていた。
それを、証拠として提出した。
90
お気に入りに追加
548
あなたにおすすめの小説
冤罪で追放された令嬢〜周囲の人間達は追放した大国に激怒しました〜
影茸
恋愛
王国アレスターレが強国となった立役者とされる公爵令嬢マーセリア・ラスレリア。
けれどもマーセリアはその知名度を危険視され、国王に冤罪をかけられ王国から追放されることになってしまう。
そしてアレスターレを強国にするため、必死に動き回っていたマーセリアは休暇気分で抵抗せず王国を去る。
ーーー だが、マーセリアの追放を周囲の人間は許さなかった。
※一人称ですが、視点はころころ変わる予定です。視点が変わる時には題名にその人物の名前を書かせていただきます。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?
西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね?
7話完結のショートストーリー。
1日1話。1週間で完結する予定です。
アラフォーだけど異世界召喚されたら私だけの王子様が待っていました。
ぬくい床子
恋愛
40才の誕生日、異世界に召喚されてしまった。
初めてのはずなのに何故か私のことを知ってる人達がいる。
どうもこの世界に聖女として来たことがあるらしい。
魔王が復活しそうなのでまた召喚されてしまった。
何故か見た目が若返っている。
「君が確かにここにいると感じたい」と王子様に抱きしめられるが以前の記憶がない。
魔王の攻撃を受けるが影を倒すたびに一度目に召喚された時の記憶が少しずつ戻ってくる。
「何としても君の記憶を取り戻したい」
自分との記憶を思い出して欲しい王子様。
召喚されたからにはこの世界を守りたいと聖女は願う。
完結しております。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる