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キャサリンの最後④
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ペーター・ラムダ子爵の証言がなくても、私はローザ伯爵家ジョージ・ローザとクラーラ・ローザの次女であると言う事実だけが述べられていく。
それに、伴い、キャサリンの私がティアラ・ローザの不義の娘だ、ローザ伯爵家に捨てていったと言う言葉が偽りである事と判断された。
どうして、そんな発言をしたか、とバトンタッチしたヒルダ夫人に質問されたキャサリン。
「だってあの子、ずっと家にいなかったのですっ。お父様とお母様が顔も見たくないと疎んじていた証拠ですわっ」
「ウィンティア嬢は、祖母のティーナ夫人が貴女の『魅了』に操られたローザ伯爵から守るために、別荘で育てられたのですよ」
「きっとおばあ様は、不義を働いた娘と同じ顔だから、表に出せないから、そうしたんですわっ」
「ティーナ夫人を死に追いやった自覚はないのですか?」
「そんなの誰かが勝手にしただけですわっ」
キャサリンワールド炸裂。
「何故、ウィンティア嬢をそのように思ったきっかけは? 本当に容姿だけですか?」
「そうですわっ、いきなり来て妹だなんて信じられませんっ。それに皆言ってましたわっ、ティアラにそっくりって」
「そっくり、それだけで?」
「だって、今まで家から追い出されていましたものっ」
堂々巡りだ。
「皆、言ってましたっ、あのティアラお嬢様って何度もっ」
埒が明かないと、ヒルダ夫人は別の証人を出した。
ローザ伯爵家の長く務める使用人だ。
まずは執事だ。
「ティアラお嬢様は、確かにおなくなりになりました。私はティアラお嬢様がお生まれになる前からローザ伯爵家にお仕えしてます。お生まれになってからずっと見守っていたティアラお嬢様の死は、想像以上に苦しいものでした」
執事が思い出すように続けた。
「大旦那様と大奥様は私ごときの苦しみではなかったはず。ティアラお嬢様が亡くなって、元婚約者から恥知らずな訴えまで起こされました。大旦那様と大奥様は気力で立ち向かわれました。そして、やっと落ち着いてからクラーラ様が輿入れされて、お生まれになられたのがキャサリンお嬢様とウィンティアお嬢様です」
「その時のローザ伯爵家の様子は?」
「キャサリンお嬢様の時は第一子もありましたが、すでに顔だちがよく、それは可愛がられておりました。ウィンティアお嬢様は、男児を望まれていましたが、ティアラお嬢様の面影が、それを払拭しました。クラーラ奥様も、それは喜んでいました」
なんと、クラーラ・ローザ、つまり、旧姓クラーラ・ラムダは、ユミル学園でティアラ・ローザと顔見知り。語学クラブの先輩がクラーラ、ティアラは後輩だった。そのきっかけがあり、ジョージ・ローザと婚約した。もともとジョージ・ローザは、別の婚約者がいたが、妹のティアラがミッドナイト貧血で亡くなったのを機に婚約解消している。
「ローザ伯爵家全員が思っていたはずです。ティアラお嬢様が帰って来てくれた、と。中にはそれを呟いた者もいましょうが、ティアラお嬢様が生んだなんて言うわけありません。クラーラ奥様が出産し、産声を聞いていたからです」
次に証言したメイド長も同じような感じだった。
どうしたら、キャサリンが早くに亡くなったティアラ・ローザが、ウィンティアを産んだと勘違いしたのか分からない、と。
「それに旦那様と奥様は、ティアラお嬢様の命日は必ずお墓参りに向かっていました。キャサリンお嬢様も必ず連れて、です。三年前にやっとコクーン修道院から戻ってくるウィンティアお嬢様に関しても、何度も説明しておりました」
と、証拠の業務日誌を出す。
たくさんの付箋紙、そこには墓参りとそのための花の準備など。そして、ウィンティアを迎え入れる為の準備、キャサリンへの説明が書かれていた。その中には、キャサリンの奇行や、それに伴うトラブル、どう処理したかが書かれていた。
それを、証拠として提出した。
それに、伴い、キャサリンの私がティアラ・ローザの不義の娘だ、ローザ伯爵家に捨てていったと言う言葉が偽りである事と判断された。
どうして、そんな発言をしたか、とバトンタッチしたヒルダ夫人に質問されたキャサリン。
「だってあの子、ずっと家にいなかったのですっ。お父様とお母様が顔も見たくないと疎んじていた証拠ですわっ」
「ウィンティア嬢は、祖母のティーナ夫人が貴女の『魅了』に操られたローザ伯爵から守るために、別荘で育てられたのですよ」
「きっとおばあ様は、不義を働いた娘と同じ顔だから、表に出せないから、そうしたんですわっ」
「ティーナ夫人を死に追いやった自覚はないのですか?」
「そんなの誰かが勝手にしただけですわっ」
キャサリンワールド炸裂。
「何故、ウィンティア嬢をそのように思ったきっかけは? 本当に容姿だけですか?」
「そうですわっ、いきなり来て妹だなんて信じられませんっ。それに皆言ってましたわっ、ティアラにそっくりって」
「そっくり、それだけで?」
「だって、今まで家から追い出されていましたものっ」
堂々巡りだ。
「皆、言ってましたっ、あのティアラお嬢様って何度もっ」
埒が明かないと、ヒルダ夫人は別の証人を出した。
ローザ伯爵家の長く務める使用人だ。
まずは執事だ。
「ティアラお嬢様は、確かにおなくなりになりました。私はティアラお嬢様がお生まれになる前からローザ伯爵家にお仕えしてます。お生まれになってからずっと見守っていたティアラお嬢様の死は、想像以上に苦しいものでした」
執事が思い出すように続けた。
「大旦那様と大奥様は私ごときの苦しみではなかったはず。ティアラお嬢様が亡くなって、元婚約者から恥知らずな訴えまで起こされました。大旦那様と大奥様は気力で立ち向かわれました。そして、やっと落ち着いてからクラーラ様が輿入れされて、お生まれになられたのがキャサリンお嬢様とウィンティアお嬢様です」
「その時のローザ伯爵家の様子は?」
「キャサリンお嬢様の時は第一子もありましたが、すでに顔だちがよく、それは可愛がられておりました。ウィンティアお嬢様は、男児を望まれていましたが、ティアラお嬢様の面影が、それを払拭しました。クラーラ奥様も、それは喜んでいました」
なんと、クラーラ・ローザ、つまり、旧姓クラーラ・ラムダは、ユミル学園でティアラ・ローザと顔見知り。語学クラブの先輩がクラーラ、ティアラは後輩だった。そのきっかけがあり、ジョージ・ローザと婚約した。もともとジョージ・ローザは、別の婚約者がいたが、妹のティアラがミッドナイト貧血で亡くなったのを機に婚約解消している。
「ローザ伯爵家全員が思っていたはずです。ティアラお嬢様が帰って来てくれた、と。中にはそれを呟いた者もいましょうが、ティアラお嬢様が生んだなんて言うわけありません。クラーラ奥様が出産し、産声を聞いていたからです」
次に証言したメイド長も同じような感じだった。
どうしたら、キャサリンが早くに亡くなったティアラ・ローザが、ウィンティアを産んだと勘違いしたのか分からない、と。
「それに旦那様と奥様は、ティアラお嬢様の命日は必ずお墓参りに向かっていました。キャサリンお嬢様も必ず連れて、です。三年前にやっとコクーン修道院から戻ってくるウィンティアお嬢様に関しても、何度も説明しておりました」
と、証拠の業務日誌を出す。
たくさんの付箋紙、そこには墓参りとそのための花の準備など。そして、ウィンティアを迎え入れる為の準備、キャサリンへの説明が書かれていた。その中には、キャサリンの奇行や、それに伴うトラブル、どう処理したかが書かれていた。
それを、証拠として提出した。
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