ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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願い②

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「え? え? まさか、まさか、まどか?」

 真っ先に気がついたのは、お母さんだった。

「お、お母さんっ、ごめんなさいっ、意地張ってごめんなさいっ」

 私は不安定な中で、手足をバタつかせる。必死に、近付こうとバタつかせる。

「まどかっ、まどかっ」

 みどりお姉ちゃんも気がついてくれて、こっちに向かって手足をバタつかせる。ウィンティアの中は、水の中のようで、お母さんとみどりお姉ちゃんは必死な形相だ。お父さんは狂ったように手足を動かして、こちらに向かっている。

「まどか、まどかっ、まどかっ」

 真っ先に着いたのはお父さんだ。腕を掴まれたら、ぎゅう、と抱き締めてくる。

「まどかっ、まどかっ、ごめんなっ、全部全部全部、お父さんが悪かったんだっ、全部全部、お父さんが悪かったんだっ、ごめんなっ、ごめんなっ」

「お、お父さんっ、ごめんなさい、意地はって、ごめんなさいっ」

 父は不景気だったが、必死に働いていた。好きなお酒もゴルフもずっと我慢していた。わかっていたのに。
 お母さんが抱きついてきた。

「まどかっ、ごめんなさいっ、辛い時に、わかってあげられなくてごめんなさいっ、まどかを傷つけてばっかりでごめんなさいっ」

「お母さん、ごめんなさいっ」

 泣き崩れそうはお母さん。
 お母さんはパートをしながらも、毎日お弁当はかかさず作ってくれた。庭の手入れも、家の掃除も手を抜かず、いつも栄養を気遣ってくれていた。わかっていたのに。

「まどかっ、ごめんなさいっ、何も知らないで、ごめんなさいっ。無神経なことしてごめんなさいっ。結婚式なんてしなければ、あんなことにならなかったのにっ」

「お、お姉ちゃんっ」

 ぎゅう、と抱き付いてきたみどりお姉ちゃん。
 お姉ちゃんは頭が良かった。違う、きちんと勉強を怠らず、努力した結果だ。それにまさみちゃんから聞いていた、結婚式は挙げずに写真だけにしようと、相手の男性とはなしていたが、向こうの家族が小さくでもいいから式を挙げてと言われたからだ、と。相手の男性には、私の事は話していたが、仲直りするきっかけになるからと、伯母さんを通じて招待状を送ったと。わかっていたのに。

 わかっていたのに。

 私は意地になり、大人になれずに、結婚式に行かなかった。
 だから、バチがあったたんだ。
 だけど、それによって、お父さんやお母さん、みどりお姉ちゃんにまったく影響がないわけない。少しふくよかだったお母さんは頬が痩け、お父さんも痩せていた。健康的痩せたという感じはない。そして、みどりお姉ちゃん。胸元の名札は、山岸みどりのままだ。
 つまりそれは、結婚してないってこと。

 私のせいだ。私のせいだ。私のせいだ。

「うわあああん、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」
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