ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには?

鐘ケ江 しのぶ

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キャサリンの裁判⑬

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 しばらくして、生物学上の両親とボスザ弁護士達がやって来た。向こうも乱闘に巻き込まれたようで、乱れに乱れている。
 生物学上の父親は鼻血を流し、母親は髪を振り乱している。ヒルダ夫人もアップしていた髪を流している。
 それぞれ手当てを受けながら、状況確認、これからの事難しい話しばかりだ。

「え? キャサリンは罪に問えないんですか?」

「残念なことになね」

 セシリア女公爵も無表情だが、悔しそう。

「元々キャサリンはあのナットウ神官長が『魅了封じ』を行われていたし、知ってる人は知ってるわ。それが先ほど綻びて溢れたでしょう。すぐさまナットウ神官長とアサーヴ殿下が封じたでしょう」

「ま、まあそうですね」

 あれは『魔了』の魔女が取りついたんだろうけど。

「つまり、施された『魅了封じ』に問題があり、キャサリンが無意識に力を使ったという判断になるわ。『魅了』はね、使っているとわかって上で使わないと罪に問えないのよ」

 どこまでも運のいいやつ。
 で、今回の騒ぎは当然新聞とかに乗るが、互いに訴えないという形になるだろうって。
『魅了』に操られて暴力を振るった人達、そしてこちらに迎撃された人達。こちらは正当防衛だが、向こうは違う。それにこちらは天下のウーヴァ公爵家がバックにあるから、訴えるようなことはない。訴えたら、大怪我するからね。
 で、キャサリンは数日教会の特別個室に軟禁。特別個室なんて聞こえはいいが、勾留所だ。わあ、監視の人、大変だあ。

「最終弁論の日は変わりませんが、こんな騒ぎを起こしてただでは済ませません」

 ゴーン・ボスザ弁護士が悪い笑顔を浮かべている。

「しかし、向こうはおそらく今までのキャサリンの功績から、ローザ伯爵に慰謝料、違いますね、宣伝費を要求しますわ」

 ヒルダ夫人が軽く髪をまとめる。
 話を聴きながら、私は居心地悪くなる。レオナルド・キーファーがしっかり手離さず、肩を抱いているからだ。

「あの、レオナルド様、ちょっと」

 軽く腕を押す。近すぎる。

「ああ、申し訳ありません」

 と、抱き直して、お膝にON。
 何故に?
 軽く疑問になるが、誰も突っ込んでくれない。
 しかし、変わるもんだな。最初はあんなに警戒していたレオナルド・キーファーに、お膝に乗せられても、嫌悪感がない。レオナルド・キーファーは間が悪い人だが、とにかく真面目な人だ。私は最後は選ばれない、と思っていたが、もし、私山岸まどかが消えても、ウィンティアを大切にしてくれるって、約束してくれたし。
 
 嘘でないことを、願おう。

 結局、2時間足止めをくらい、やっと帰宅の許可が出た。
 あー、疲れたー。
 マルティンに癒されたかったが、寝てるわなあ。
 馬車の中で、眠気が勝り、レオナルド・キーファーに寄りかかり眠ってしまった。
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