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キャサリンの裁判⑦

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 裁判は淡々と進む。ボスザ弁護士が準備した証人達が冷静だからだ。ほぼ、ローザ伯爵家の使用人だが、中にはキャサリンに言いくるめられてやらかしたものも出廷。恥ずかしいだろうに、出てくれたのは素晴らしいと思うが、みんな、キャサリンに憎悪の眼差しを向けている。
 リージョン弁護士は、キャサリン専属メイド達から出る真実にいちゃもんつけている。

「キャサリン嬢に対して、忠義はないのかっ」

 ありません、と断言。

「私達はジョージ・ローザ伯爵に雇われています。忠義はジョージ・ローザ伯爵です」

 専属メイドの代表が答える。
 それから出るわ出るわキャサリンの愚痴が。

・衣装に関してはとにかく優柔不断
・ヘアメイクもやり直しが毎回ある、学園には何度も遅刻し、それをメイド達の不手際にした
・お茶会等では特にひどい、遅刻できないからと言っても聞く耳もたない、最後は支度が遅いとなじる
・馬鹿みたいな買い物も、止めても聞かない。似たようなドレスや靴があり、それ以外にも袖を通していないものがあると言っても聞かない
 エトセトラ、エトセトラ。
 出るわ出るわ。傍聴席も呆れ返っている人が増えていく。

「ひどいわっ、お友達と思っていたのにっ」

 キャサリンが悲嘆のような悲鳴。見た目はあれだから、知らない人が見たら同情を誘うだろうが。
 専属メイド達は、冷めた目。

「お友達? 都合のいい道具ではありませんか?」
「私はジョージ・ローザ伯爵様に雇われただけです」
「毎回毎回、やり直しやり直し。しかも直してもやっぱり別のドレスにするかやら、やり直し、内心イライラして仕方なかったですよ」
「クラーラ奥様が声をかけてくださったから、やってきただけです」
「そうです。自分がウィンティアお嬢様の部屋から、服を盗んで、勝手にチャリティーにだして、それも自分の名前で。全部私達に責任押し付けたくせにっ」
「ひ、ひどいわ、私、そんなこと」
 
 キャサリンはわなわな震えている。
 すると、専属メイド代表が、キャサリンに向き合う。

「では、キャサリンお嬢様、私達の名前はご存じですよね? 当然名字もです、何年もお仕えしていますから」

「ひどいわ、マーリィッ」

「私はマーナです。その方は、二年前に辞めましたわ。やっぱり覚えていませんでしたね。で、名字は? 私、これでも爵位ある方の妻ですの」

 キャサリンが答えられるわけない。何年も支えているのに、自分の専属メイドの名前しらないって。キャサリンの専属メイドは五人だが、皆、うろ覚えだ。
 リージョン弁護士が専属メイドから、キャサリンの人となりを聞き出そうとしたが、あまりいい結果なるわけもない。
 リージョン弁護士は、キャサリンがセーレ商会のシャンプーやコンディショナーの宣伝について聞くと、確かにキャサリンの売り込みは凄かった事だけはわかった。
 ただ、その場だけならなんとかなるが、次、その次とお茶会に呼び、接している貴族は、キャサリンのマナーのなさに気がついて引いている様子だった。なので、キャサリンがもってくる手土産、入手困難な季節限定品目的で呼ばれるようになっていったと。
 商品だけが欲しくて、キャサリンと深く繋がりたくはい、できたらクラーラ伯爵夫人を呼びたかったが、商会業務や屋敷の管理、体調なので呼べず、仕方なくキャサリンを呼んだと、数人のお茶会主催者が証言した。
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