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キャサリンの裁判③

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 裁判が始まり一ヶ月半が経過。
 とうとう、私が証言台に立つことになった。
 向こうの弁護士から再三の要求があり、まだしっかりした成人ではない、高等部の学生の身分であるため、裁判所は聞く内容を確認してからの出廷だ。

「心配ありませんからね。おそらく向こうは攻撃してくるでしょうが、答えたくないものには答えなくていいはずよ」

 と、なんと付き添いにセシリア女公爵が着くことに。アンジェリカ様も息巻いていたが、お腹が大きいので、総出でとめられている。
 私は詰襟のカチッとしたブラウスに、シンプルな濃紺スカート。髪はナタリアが三つ編みにしてくれる。本日は学園の創立記念日でお休みになので、付き添いしてくれる。そして、婚約者である、レオナルド・キーファーもだ。
 この裁判は現在注目の的で、傍聴席のチケット欲しくて長蛇の列らしい。
 キャサリン側は、今まで受けた、ローザ伯爵家での非道な扱い、セーレ商会の広告塔のために馬車のように働かせたと訴えているが、ローザ伯爵夫妻は、いままで溜めていた数々の証拠を付き出して優勢だって。

「おそらく貴女を責めて、均衡を崩したいのでしょう」

 馬車に揺られて、セシリア女公爵が感情の籠らない声を出す。
 裁判所は大きな歴史的建物みたいで、たくさんの人達が集まっていた。
 それに伴い警らの人達もずらり。

「ごうつくばりの、傷もののくせにっ、ウーヴァ公爵の傘をかりやがってっ、表に出て、恥ずかしくないのかっ」

 誰かが、いきなり投石。
 ま、あたりっこない。予想はしていたしね。
 護衛として着いてきたいぶし銀の執事さんが、年齢を感じさせない動きで叩き落としたからだ。裁判が行われる部屋に実際入るのは、私とセシリア女公爵、レオナルド・キーファー、ナタリア、バトレルさんだけ。バトレルさんは本日、ウーヴァ公爵家の執事服、こっちが似合う。
 セシリア女公爵が一睨み。
 警らの人達が総出で押さえている。
 あーあ、キャサリンの妄言を信じたバカかな。
 ゴシップ紙は、キャサリンを擁護するような内容を書き立てているそうだ。

「無礼者っ、我々ウーヴァに石を投げるとは、連れていきなさいっ」

 セシリア女公爵が、大の大人でも怯むような声色で一喝。石を投げたのは、貴族じゃない様子。男性だが、よく見えないまま連行されていく。その後すぐに、ウーヴァ公爵家に対する傷害罪で起訴されたそうだ。
 裁判所に入る前からこうだよ、気が重い。
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