307 / 338
キャサリンの裁判②
しおりを挟む
「ま、キャサリンに着いた弁護士は、キャサリンの妄言を信じていると言うか、彼女の狂信者のような者ね。彼のような男は少なくないわ。パトロン的な貴族もいるわ。こちらが把握しているけど」
「パ、パトロン」
「鼻の下伸ばしたバカよ。あの見た目だけがキャサリンの強みだからね。ただね、あのキャサリンは男に希望を持たせて、焦らせるのが上手いわ。まだ純潔なのが不思議なくらいに、あちこちの男達を手玉にしているわ」
へー。
白けた目になる。
そう言えば、キャサリンの仮の婚約者はどうなったのかな? 父方の又従兄弟。
「とっくに解消されてるわよ。キャサリンは嫌だから、貴女に鞍替えしようとしたらしいけど。はっきりローザ伯爵がお断りしているわ」
なんじゃそりゃ。
「裁判は直ぐに始まるわ。ウィンティア嬢にも出廷を要求されるかもしれないけど、心配しないで、ウーヴァ公爵家の使用人が付き添いますからね」
なら、心配ないかな。
「ローザ伯爵が負けはしないわ。ただ、心配なのは貴女よ。しばらくは屋敷に大人しくしていなさい」
「はい」
裁判が始まり、私にキャサリン側の弁護士から出廷要請が来たが、裁判所が許可しなかった。キャサリンが訴えているのは、ローザ伯爵家であり、次女であり、ほとんどローザ伯爵家にいない私は関係ないからね。
なので、課題以外やることない。
小豆に似た豆が手に入ったので、加工に専念している。薬膳に使われていて、ウーヴァ公爵領、エヴァエニエス領、グラーフ領でも栽培されて、健康食や病人食としてお粥に使われている。
どら焼きにしたいなあ。ゼリーはあるから、加工次第で羊羹なんて出来るかも。
「あのー」
「はいっ、ウィンティアお嬢様っ」
「なんでしょう、ウィンティアお嬢様っ」
振り返るとウーヴァ公爵家のシェフと、ホテルのシェフがガン見している。
「あんまり、見られると緊張しまして」
「「すみません」」
と、ちょっぴり離れる。ちょっぴりね。
もう。
その後、何だかんだとアンコもどきできて、なんちゃってどら焼き出来上がり。あら、うまく出来たね。
レオナルド・キーファーも喜んでくれたし。
そして、何やらセシリア女公爵が書類を出してきた。
「どら焼きのお店を出しますから、アドバイザーとして、ウィンティア嬢に売り上げの一部が来ます」
「え? 別に大したものではないですから、お使いください」
「そうは行かないわ。そう言って、カレーパンの権利も向こうなんでしょう」
「まあ、そうですけど」
そうカレーパンのお店は相変わらず大行列だ。だけど、私は金銭を受け取ってない。テヘロンにはお世話になってますからね。特にキリール・ザーデクの件では。
代わりなのか、たまにテヘロンから香辛料が届く。なかなか手に入らないから、嬉しい。
「これはケジメよ、さ、書きなさい。貴女には負債が行くようなものではないわ。好きにお使いなさい」
私は少し考えて受けた。
このお金は、コクーン修道院で保護されている子供達の絵本を送るための資金にした。
「パ、パトロン」
「鼻の下伸ばしたバカよ。あの見た目だけがキャサリンの強みだからね。ただね、あのキャサリンは男に希望を持たせて、焦らせるのが上手いわ。まだ純潔なのが不思議なくらいに、あちこちの男達を手玉にしているわ」
へー。
白けた目になる。
そう言えば、キャサリンの仮の婚約者はどうなったのかな? 父方の又従兄弟。
「とっくに解消されてるわよ。キャサリンは嫌だから、貴女に鞍替えしようとしたらしいけど。はっきりローザ伯爵がお断りしているわ」
なんじゃそりゃ。
「裁判は直ぐに始まるわ。ウィンティア嬢にも出廷を要求されるかもしれないけど、心配しないで、ウーヴァ公爵家の使用人が付き添いますからね」
なら、心配ないかな。
「ローザ伯爵が負けはしないわ。ただ、心配なのは貴女よ。しばらくは屋敷に大人しくしていなさい」
「はい」
裁判が始まり、私にキャサリン側の弁護士から出廷要請が来たが、裁判所が許可しなかった。キャサリンが訴えているのは、ローザ伯爵家であり、次女であり、ほとんどローザ伯爵家にいない私は関係ないからね。
なので、課題以外やることない。
小豆に似た豆が手に入ったので、加工に専念している。薬膳に使われていて、ウーヴァ公爵領、エヴァエニエス領、グラーフ領でも栽培されて、健康食や病人食としてお粥に使われている。
どら焼きにしたいなあ。ゼリーはあるから、加工次第で羊羹なんて出来るかも。
「あのー」
「はいっ、ウィンティアお嬢様っ」
「なんでしょう、ウィンティアお嬢様っ」
振り返るとウーヴァ公爵家のシェフと、ホテルのシェフがガン見している。
「あんまり、見られると緊張しまして」
「「すみません」」
と、ちょっぴり離れる。ちょっぴりね。
もう。
その後、何だかんだとアンコもどきできて、なんちゃってどら焼き出来上がり。あら、うまく出来たね。
レオナルド・キーファーも喜んでくれたし。
そして、何やらセシリア女公爵が書類を出してきた。
「どら焼きのお店を出しますから、アドバイザーとして、ウィンティア嬢に売り上げの一部が来ます」
「え? 別に大したものではないですから、お使いください」
「そうは行かないわ。そう言って、カレーパンの権利も向こうなんでしょう」
「まあ、そうですけど」
そうカレーパンのお店は相変わらず大行列だ。だけど、私は金銭を受け取ってない。テヘロンにはお世話になってますからね。特にキリール・ザーデクの件では。
代わりなのか、たまにテヘロンから香辛料が届く。なかなか手に入らないから、嬉しい。
「これはケジメよ、さ、書きなさい。貴女には負債が行くようなものではないわ。好きにお使いなさい」
私は少し考えて受けた。
このお金は、コクーン修道院で保護されている子供達の絵本を送るための資金にした。
101
お気に入りに追加
547
あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎


婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる