ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには？

キャサリンの裁判①

　高等部の生活が始まったが、私の注目のまとだ。
　あのお茶会での噂が出回っているしね。あからさまに言われないのは、ひとえに私の婚約者が、ウーヴァ公爵家の縁者であるからだ。

「ローザさん、大丈夫？」

　アンネが小声で心配してくる。

「気疲れはしたけど。ごめんなさいね、せっかくお茶会に来てくれたのに」

「いいのよっ、そんなのっ」

　お茶会に参加していたクラスメート達が心配そうだ。いずれわかる事だから、話しておくか。

「これは秘密よ。いずれはしれ渡るけど、実はね」

　クラスメートの耳がダンボに。

「あれがローザ伯爵家を訴えるみたいなの。理由は、正式に発表されるから。ただね、おそらく裁判になれば、私、しばらく学園に来れなくなるの」

　これはユミル学園の決まりね。
　裁判などがおき、その家に属している生徒は基本的に休学しなくてらならない。ちゃんと課題が出るから、きちんとこなせば、落第はしない。

「裁判なら仕方ないわね」

　と、リーナ嬢。

「でも、どんな風に訴えるの？」

　ターシャ嬢が首を傾げる。

「ごめんなさい、言えないの」

「あっ、そうよね、ごめんなさい」

　クラスメートが心配してくれる。
　それから数日後、私は寮の荷物をまとめて、ウーヴァ公爵家に避難することになる。
　キャサリンがローザ伯爵家相手に訴えを起こしたのだ。
　前もって知らせがあったので、落ち着いて迎えの馬車に乗り込む。
　はあ、高等部に進学したばかりなのに。
　ウーヴァ公爵家に着くと、当たり前の様にいつもの部屋に通される。

「ウィンティアお嬢様、アンジェリカ様がお呼びです」

「はい」

　いつもの様にアンジェリカ様の元に。
　アンジェリカ様は自身の書斎で事務処理していた。じっとしていられない質みたい。たまにアンジーのお店の人が来たりしている。

「お帰りなさいウィンティアさん」

「只今戻りました。本日からお世話になります」

「気にしなくていいのよ。さ、座って」

「失礼します」

　私は定位置に座る。

「帰って来てそうそうだけど、これからの話よ。お母様は領地からお戻りになるのは来週になるわ」

「はい」

「で、ウィンティアさんには窮屈かと思うけど、しばらく屋敷で待機よ。ローザ伯爵には弁護士にボスザ伯爵が着くわ」

　ナタリア達の裁判でも弁護士してくれた人ね。

「キャサリンは現在ローザ伯爵家を出されているわ。自分から訴えるの家に居座ろうとしたって、どこまで厚かましいのかしら、出ていくならローザ伯爵夫妻が出ていくべきだってね」

　はあ？　訴え先の当主を追い出そうとしたの？

「当然、ローザ伯爵は許すわけないわ。あのお茶会から、キャサリンをローザ伯爵家には入れてないわ。ローザ伯爵家が所有するアパートメントにいるわ。生活に必要な物は、ローザ伯爵が送ったらしいけど。監視のためにスウサとウランが通ってお世話しているけど、相も変わらずよ。あれだけ、うちのお茶会でやらかしているのに、被害者面よ」

「あのアンジェリカ様、キャサリンの資金ってどうなっているんですか？」

　裁判起こすにも最低限のお金がいる。どうしたんだろう？

「ああ、弁護士代とか？　一応あれでもセーレ商会の広告塔だったでしょう？　最低限の広告代はあるわ、ま、ある程度ね」

　セーレ商会みたいな自身の商会を持ち貴族は、その宣伝をするのはその貴族の役割。やって当たり前で、報酬なんてないのが当たり前だが、ただ、キャサリンの宣伝効果が大きく、払わなくてもいいけど、最低限の報酬を与えていたみたい。それに新しい顧客を捕まえてきたら、ドレスも新調していたみたいだし。これで、事務所で仕事していたら、お給料として貰えるが、キャサリンはお茶会等で宣伝しただけ。たまにトラブル起こしながらね。