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二年の年月②
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レオンハルト殿下暗殺の一報を聞いて、私は血の気が引いた。だって、影武者であるレオナルド・キーファーが、役割を果たす時だからだ。
だけど、セシリア女公爵から、軽傷と聞いてホッとした。理由はロナウド殿下がバカやっと捕縛されたからだ。きっとモニカ元妃殿下が焦るはずと、警備を厚くした途端に襲われたそうだ。だから、レオナルド・キーファーも軽傷ですんだ。その暗殺未遂の後、レオナルド・キーファーから直筆の手紙が来たので、その生真面目な字を見てホッとした。
ルルディ王国ではモニカ元妃殿下とロナウド妃殿下の事で持ちきりだったが、無事にオーガスト王太子殿下が即位した。レオンハルト殿下の王太子の儀式は、留学から帰って来てからになる。戴冠式で一時帰国はしたが、バタバタとシルヴァスタに戻っていった。過密スケジュールの上、護衛騎士達は誰も家族と会えずにシルヴァスタに戻った。仕方ない事だ。ただ、戴冠式に参列したセシリア女公爵から、レオナルド・キーファーに手紙を渡して貰った。傷も、右頬に小さくあるくらいだって。
学園では穏やかだ。クラスメートと仲良くなったし、ステラ様も優しい。美しさが毎年レベルアップしているステラ様に近づきたいと、私に紹介してもらおうと、何人もの男子学生が来たが、ソードさんが撃退してくれた。キャサリン関係でも来たが、実際どうなの? くらいしかない。バックにウーヴァ公爵いますからね。強く言えないみたい。
で、そのキャサリンだが、はた迷惑な行動は変わらないが、セーレ商会の新商品の売り込みが凄く、外国からの太客を掴み、とうとうシルヴァスタ王国首都で、期間限定で店舗販売されることになった。これは素直に凄いと思うが。他がねえ、相変わらずの買い物癖に、勘違い発言。見た目がいいので騙されて男が後を絶たない。
カルメン王国でも例の子爵令嬢が見つかり、監視を始めたし、その両親に秘密裏に接触し、事情説明がなされた。きちんとした対応すれば、普通の子爵令嬢としての人生が歩める。『魅了』があるからと、人生を諦める必要はないからね。子爵夫婦は、きちんと理解したようだと。エヴァエニエス侯爵夫人の私的なお茶会で報告を受けた。
いよいよ、レオンハルト殿下が帰って来る。シルヴァスタでも優秀だったって。帝王学の講義は本来なら四年なんだけど、一年の休講となる。もともと帝王学講座は、土日の休み以外長期の休みはない。家庭の事情とかてはないと、長くは休めない。なので、一年の休講を儲けるんだって。ふーん。
「ふふ、リリーナの結婚式の後になさるの?」
ニコニコ笑うエヴァエニエス侯爵夫人。ミルフィーユが気に入ってくれて、よく召し上がるって。
なんの事だろう?
優雅にカップを置くのは、セシリア女公爵だ。私的なお茶会のため、私を含めたこの三人と、ウーヴァ公爵家の使用人のみ。
「ええ、ちょうど後半の二年が過ぎれば、ウィンティア嬢は高等部卒業になりますので、レオンハルト殿下の挙式後に準備に入りますわ」
ぶはあっ。
「まだ、驚いているの? そう言い話でしょう?」
「あの、私、働きたいんですがっ」
すると、きょとんとするご婦人二名。
「働く? どういう事?」
セシリア女公爵がやや疑問。
「以前お世話になった治療院で、患者さんのお世話の仕事がしたくて」
こう言った仕事は、一般人の仕事で、あまり貴族女性はしない。だから、セシリア女公爵の眉がよる。
「ならば、ホテルのメニュー開発部になさい」
「もうアイディア出ません」
「絞り出しなさい。せっかくの神の舌、勿体ない」
「そんなあ」
だけど、セシリア女公爵から、軽傷と聞いてホッとした。理由はロナウド殿下がバカやっと捕縛されたからだ。きっとモニカ元妃殿下が焦るはずと、警備を厚くした途端に襲われたそうだ。だから、レオナルド・キーファーも軽傷ですんだ。その暗殺未遂の後、レオナルド・キーファーから直筆の手紙が来たので、その生真面目な字を見てホッとした。
ルルディ王国ではモニカ元妃殿下とロナウド妃殿下の事で持ちきりだったが、無事にオーガスト王太子殿下が即位した。レオンハルト殿下の王太子の儀式は、留学から帰って来てからになる。戴冠式で一時帰国はしたが、バタバタとシルヴァスタに戻っていった。過密スケジュールの上、護衛騎士達は誰も家族と会えずにシルヴァスタに戻った。仕方ない事だ。ただ、戴冠式に参列したセシリア女公爵から、レオナルド・キーファーに手紙を渡して貰った。傷も、右頬に小さくあるくらいだって。
学園では穏やかだ。クラスメートと仲良くなったし、ステラ様も優しい。美しさが毎年レベルアップしているステラ様に近づきたいと、私に紹介してもらおうと、何人もの男子学生が来たが、ソードさんが撃退してくれた。キャサリン関係でも来たが、実際どうなの? くらいしかない。バックにウーヴァ公爵いますからね。強く言えないみたい。
で、そのキャサリンだが、はた迷惑な行動は変わらないが、セーレ商会の新商品の売り込みが凄く、外国からの太客を掴み、とうとうシルヴァスタ王国首都で、期間限定で店舗販売されることになった。これは素直に凄いと思うが。他がねえ、相変わらずの買い物癖に、勘違い発言。見た目がいいので騙されて男が後を絶たない。
カルメン王国でも例の子爵令嬢が見つかり、監視を始めたし、その両親に秘密裏に接触し、事情説明がなされた。きちんとした対応すれば、普通の子爵令嬢としての人生が歩める。『魅了』があるからと、人生を諦める必要はないからね。子爵夫婦は、きちんと理解したようだと。エヴァエニエス侯爵夫人の私的なお茶会で報告を受けた。
いよいよ、レオンハルト殿下が帰って来る。シルヴァスタでも優秀だったって。帝王学の講義は本来なら四年なんだけど、一年の休講となる。もともと帝王学講座は、土日の休み以外長期の休みはない。家庭の事情とかてはないと、長くは休めない。なので、一年の休講を儲けるんだって。ふーん。
「ふふ、リリーナの結婚式の後になさるの?」
ニコニコ笑うエヴァエニエス侯爵夫人。ミルフィーユが気に入ってくれて、よく召し上がるって。
なんの事だろう?
優雅にカップを置くのは、セシリア女公爵だ。私的なお茶会のため、私を含めたこの三人と、ウーヴァ公爵家の使用人のみ。
「ええ、ちょうど後半の二年が過ぎれば、ウィンティア嬢は高等部卒業になりますので、レオンハルト殿下の挙式後に準備に入りますわ」
ぶはあっ。
「まだ、驚いているの? そう言い話でしょう?」
「あの、私、働きたいんですがっ」
すると、きょとんとするご婦人二名。
「働く? どういう事?」
セシリア女公爵がやや疑問。
「以前お世話になった治療院で、患者さんのお世話の仕事がしたくて」
こう言った仕事は、一般人の仕事で、あまり貴族女性はしない。だから、セシリア女公爵の眉がよる。
「ならば、ホテルのメニュー開発部になさい」
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「絞り出しなさい。せっかくの神の舌、勿体ない」
「そんなあ」
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