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待つ間⑨
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それから細々とした事が決まる。
愛そもくそもないじいさん、失礼、高位神官は仕事の都合でしばらく首都を離れるが、代わりの神官がいつでも対応してくれるって。
これに関しては不安。
キャサリンが事を起こすことが出きるのは『魔了』の魔女が目を付けて、寄生するからだ。『魅了』より強い力がある『魔了』を封じるのは、このじいさん、じゃない高位神官だけなのに。
おそらくキャサリンが本格的にやらかすには、レオナルド・キーファーが帰って来てたらかな? それに狙っているのはアサーヴ殿下が出てくる新ゲスルート。だが、キャサリンの気まぐれでレオンハルト殿下を狙うとして、どちにしても、レオナルドをウィンティアから奪い、自殺に追い込むと言う前提が必要だ。
今のレオナルド・キーファーがキャサリンに靡くと思えないが、もしもがある。『魔了』は『魅了耐性』訓練したとしても防げないし。アサーヴ殿下にもこれ以上迷惑かけられない。
うーん、どうしたものか。
悩んでいると、まず高位神官がキャサリンに再び念のため『魅了封じ』を施してから、首都を出ることになった。
もしこれが破られる、つまりキャサリンのおかしな宣いに無条件に賛同するような輩が出てきたら、即拘束し『魅了』されていないかチェックされる。
問答無用で行えないのは、それだけ『魅了』はデリケートな問題だからだ。中には全く関係ないのに、つまらない嫉妬から『魅了』持ちだと通報され、一家離散、ひどいときは集団リンチとかあった。一つや二つの事例ではないから、慎重になるんだって。ただ、私が色々神様からの情報を得ているので、迅速には動けるって。
「現状出きるのはこれくらいでしょう」
と、セシリア女公爵が締めてお開きになる。
結構長く話していたので、辺りは夕暮れ。
「ウィンティア嬢、長い時間疲れたろう? 明日、お菓子を送ろう、ゆっくりしなさい」
本当にオーガスト王太子殿下のファンクラブ入ろうかな?
私は拙いカーテシーでお礼を伝える。
そして、再び子鴨の様に、獅子のようなウーヴァの女傑の後に続いた。
「ウィンティアさん、疲れたでしょう?」
アンジェリカ様が優しく気遣ってくれる。
「はい、大丈夫です」
特に体調は問題ない。
セシリア女公爵も話しに加わり、おしゃべり。
でもなあ、まさかキャサリンの『魅了封じ』をした神官に会えるとは思わなかったけど。
ぽつり、と呟く。
「ああ、あの愛想笑いもできない、ナットウ神官長ね。まあ、『魅了封じ』の腕は確かだけど」
と、アンジェリカ様。
…………………………………えっ? ナットウ? ナットウって、納豆? ねばねば納豆? ナットウて名前?
まさか、名字じゃないよね?
「ナットウって、まさかナットウって」
ぶつぶつ。ねばねば納豆、ねばねば納豆。
すると、セシリア女公爵とアンジェリカ様が顔を見合せる。
「ウィンティア嬢、ナットウ神官長の名前を知っているのはなら、どこで知ったの? 貴族名鑑から抹消されたのは、半世紀以上前よ」
やっぱり名字だったっ。流石に名前がナットウは、あれよね。
あら? どこかで見た気がする。どこだっけ、えっと、えっと、えーっと。
………………………あっ。
「シャーリー・ナットウ。事例五の被害者っ」
「そうよ」
と、セシリア女公爵が目を臥せる。
「ナットウ神官長は、シャーリー・ナットウ伯爵令嬢の実の弟よ」
愛そもくそもないじいさん、失礼、高位神官は仕事の都合でしばらく首都を離れるが、代わりの神官がいつでも対応してくれるって。
これに関しては不安。
キャサリンが事を起こすことが出きるのは『魔了』の魔女が目を付けて、寄生するからだ。『魅了』より強い力がある『魔了』を封じるのは、このじいさん、じゃない高位神官だけなのに。
おそらくキャサリンが本格的にやらかすには、レオナルド・キーファーが帰って来てたらかな? それに狙っているのはアサーヴ殿下が出てくる新ゲスルート。だが、キャサリンの気まぐれでレオンハルト殿下を狙うとして、どちにしても、レオナルドをウィンティアから奪い、自殺に追い込むと言う前提が必要だ。
今のレオナルド・キーファーがキャサリンに靡くと思えないが、もしもがある。『魔了』は『魅了耐性』訓練したとしても防げないし。アサーヴ殿下にもこれ以上迷惑かけられない。
うーん、どうしたものか。
悩んでいると、まず高位神官がキャサリンに再び念のため『魅了封じ』を施してから、首都を出ることになった。
もしこれが破られる、つまりキャサリンのおかしな宣いに無条件に賛同するような輩が出てきたら、即拘束し『魅了』されていないかチェックされる。
問答無用で行えないのは、それだけ『魅了』はデリケートな問題だからだ。中には全く関係ないのに、つまらない嫉妬から『魅了』持ちだと通報され、一家離散、ひどいときは集団リンチとかあった。一つや二つの事例ではないから、慎重になるんだって。ただ、私が色々神様からの情報を得ているので、迅速には動けるって。
「現状出きるのはこれくらいでしょう」
と、セシリア女公爵が締めてお開きになる。
結構長く話していたので、辺りは夕暮れ。
「ウィンティア嬢、長い時間疲れたろう? 明日、お菓子を送ろう、ゆっくりしなさい」
本当にオーガスト王太子殿下のファンクラブ入ろうかな?
私は拙いカーテシーでお礼を伝える。
そして、再び子鴨の様に、獅子のようなウーヴァの女傑の後に続いた。
「ウィンティアさん、疲れたでしょう?」
アンジェリカ様が優しく気遣ってくれる。
「はい、大丈夫です」
特に体調は問題ない。
セシリア女公爵も話しに加わり、おしゃべり。
でもなあ、まさかキャサリンの『魅了封じ』をした神官に会えるとは思わなかったけど。
ぽつり、と呟く。
「ああ、あの愛想笑いもできない、ナットウ神官長ね。まあ、『魅了封じ』の腕は確かだけど」
と、アンジェリカ様。
…………………………………えっ? ナットウ? ナットウって、納豆? ねばねば納豆? ナットウて名前?
まさか、名字じゃないよね?
「ナットウって、まさかナットウって」
ぶつぶつ。ねばねば納豆、ねばねば納豆。
すると、セシリア女公爵とアンジェリカ様が顔を見合せる。
「ウィンティア嬢、ナットウ神官長の名前を知っているのはなら、どこで知ったの? 貴族名鑑から抹消されたのは、半世紀以上前よ」
やっぱり名字だったっ。流石に名前がナットウは、あれよね。
あら? どこかで見た気がする。どこだっけ、えっと、えっと、えーっと。
………………………あっ。
「シャーリー・ナットウ。事例五の被害者っ」
「そうよ」
と、セシリア女公爵が目を臥せる。
「ナットウ神官長は、シャーリー・ナットウ伯爵令嬢の実の弟よ」
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